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『監察医 朝顔』特別編に込められた作り手たちの思い 朝顔×桑原の納得の馴れ初めも

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リアルサウンド

 9月23日に最終回を迎えた上野樹里が主演を務める月9ドラマの特別編『監察医 朝顔 特別編~夏の終わり、そして~』(フジテレビ系)が、9月30日に放送された。

参考:『監察医 朝顔』フジテレビの“時代に寄り添う”手腕が発揮? 高視聴率を獲得した理由とは

 物語は、最終回となった第11話のその後。大部分が登場人物の会話からこれまでの事件や出来事をダイジェストで振り返っていくというものだ。けれど、エピローグとも思える要素もふんだんに散りばめられていた。

 つぐみ(加藤柚凪)の保育園がお休みとなり急遽、娘と一緒にいることになった平(時任三郎)や石田検事(山本未來)を巡る、丸屋大作(杉本哲太)、伊東純(三宅弘城)、神崎譲治(市川右團次)の恋愛バトル、妻の死から前向きに生きる三郎(きづき)の姿、山倉(戸次重幸)が施錠した机の引き出しに隠している秘蔵のふりかけなど、本編では語ることのできなかった人物のエピソードが語られていく。

 中でも注目は朝顔(上野樹里)と桑原(風間俊介)の馴れ初め。2人が出会ったのは、2017年。警察官の桑原がネグレクトの子供を法医学教室に連れてきた際、対応したのが朝顔だった。桑原は虐待されている子供たちを思い、すでに泣いていた。「虐待されているんですよね。あんな小さいのにかわいそうに」。朝顔は泣いている彼に、スッとハンカチを差し出し、自分を呼んでいる茶子(山口智子)の元へ。その優しさに桑原は朝顔に一目惚れ。朝顔も茶子に「先ほどの彼、いい方ですね」「お似合いですよ、あの方と」と背中を押されるのだ。その後、桑原の半年間のアタックにより、2人は交際をスタート。やがて、第1話の平と桑原がバディで法医学教室にやってくる場面に繋がっていく。

 印象的なのは、正義感が強く謙虚な桑原は出会いから泣いていたということ。しかし、そんな桑原も朝顔や平、つぐみと出会い強くなった。第9話、執刀のトラウマに悩む朝顔が再び遺体と向き合う決心を固めるシーンで桑原は「パパはね、もう泣かないって決めたの」とつぐみに真っ直ぐな目線で話しており、実際にそれ以降、桑原の泣く場面はない。

 『朝顔』は家族の日々の食事を通して生きるということを描いた作品でもあった。今回のサブタイトル『~夏の終わり、そして~』の通りに、桑原家に出される夕食は秋の味覚を代表する秋刀魚。また、これまでの構成と同じように、特別編の後半では朝顔の母・里子(石田ひかり)が被災した東日本大震災が描かれていく。

 いずれは向こうに住んで里子を捜すという平の気持ちは固く、東北の住宅情報誌を持ち、泊まりがけで再び仙ノ浦へと向かおうとしている。「お父さんビールでも飲む?」。そんな朝顔の誘いから、2人は仙ノ浦に行った際につぐみを映したホームビデオをつまみに飲むことに。2階から桑原を抱えたつぐみが降りてきて、結局みんなでホームビデオを見る4人。そんな変わらない日常の中で、諦めずに少しずつ歩み続ける朝顔や平の姿、そしてラストは迫真のスピーチが話題となった第10話の朝顔の講義シーンで終わりを迎える。ドラマの全てのメッセージが詰まった講義のシーンで『特別編』を終えるというのは、製作陣の並々ならぬ強い思いがあったに違いないだろう。

 余談だが、SNSでは『朝顔』の新聞のラテ欄が縦読みで「ま・体(た)・朝(あ)・運(う)・秘(ひ)・孫(ま)・デ(で)」と「またあうひまで」になっていることが話題になっている。最後まで多くの視聴者の心に寄り添い続けたドラマ『監察医 朝顔』。また朝顔や桑原たちの日常が動き出すことを願って。(渡辺彰浩)