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22/7、デビュー2周年記念ライブで示した集大成 楽曲パフォーマンス面から感じたグループの厚み

音楽

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リアルサウンド

 22/7(ナナブンノニジュウニ)が9月20日に、デビュー2周年記念ライブ『Anniversary Live 2019』をマイナビBLITZ赤坂で開催した。定期公演『ナナニジライブ』の蓄積や、メンバー11人が揃って表題曲を歌唱する4thシングル『何もしてあげられない』リリースなど、グループ全体での表現を新たな段階に推し進めている今年の22/7だが、この『Anniversary Live 2019』ではライブ全体を楽曲パフォーマンスに特化したタイトなセットリストを披露した。

参考:22/7 全員インタビュー メンバーが語る、11人で踏み出す第2章のスタートとアニメ化への喜び

 ライブは8月リリースのシングル表題曲「何もしてあげられない」で幕を開け、「ロマンスの積み木」「Rain of lies」と4thシングル収録曲が立て続けに披露される。さらに「君はMoon」「とんぼの気持ち」へと続く流れでは、振付のなかに豊かなストーリー性やコンセプチュアルな意匠が織り込まれ、デビューから3年目に入ってゆくグループの表現の志向をうかがわせる。

 ここからセットリストはグループの歩みを巻き戻すように、順に3rd『理解者』、2nd『シャンプーの匂いがした』、1st『僕は存在していなかった』と、シングルごとにブロック分けされ、収録楽曲が披露されてゆく。衣装も各シングル楽曲の披露に応じてそれぞれの時期のものにチェンジし、転換の合間には各時期のアーティスト写真の撮影やリリースイベントの様子が記録された映像がスクリーンに流されて、楽曲パフォーマンスとともにグループの歴史をたどってみせる。

 「絶望の花」から始まる3rdシングルパートでは、「韋駄天娘」「未来があるから」といった加速力のある楽曲がセットリスト全体の山場を作り、22/7のライブを支えるうえでもこの3rdシングルのリリースが大きな意味をもっていたことを知らしめる。リリースされたパッケージに総体としてどのような特色があるのかが、シングルごとに区切られたセットリストだからこそ浮かび上がった。

 このライブでは各シングル表題曲については、アニメキャラクターによるMVが背後のスクリーンにも流され、ステージ上にいるメンバーたちのパフォーマンスと同期した楽曲披露となった。そのアニメーションMVとリアルメンバーとの重なりの面白さがとりわけあらわれるのが、2ndシングル表題曲「シャンプーの匂いがした」である。ダンスショットが多く使用された同曲のMVがメンバー自身のパフォーマンスとの二重写しにとって効果的なのはもちろん、クラスメイト同士の交わりを思わせる立ち振る舞いが合間に織り混ざることで、このグループが本来もっている、メンバーとキャラクターとの距離感の妙が浮かび上がる。

 22/7のヒストリーをさかのぼるセットリストは終盤、レジスタンスを謳う「地下鉄抵抗主義」と1stシングル表題曲「僕は存在していなかった」で締めくくられる。最後に初期発表楽曲に戻ってくることで、これらの曲が体現するシリアスな世界観が、22/7を貫く代表的な基調のひとつであることがあらためて確認できる。

 今回のライブでは本編を通じてMCや企画コーナーも採用せず、楽曲パフォーマンスのみで繋いでみせた。2年間の活動や楽曲リリースの積み重ねによって培われたグループとしての厚みが、そのセットリストには見てとれる。そしてアンコールでは「11人が集まった理由」が披露されたが、それに先立って2020年1月スタートのTVアニメ『22/7』の第1弾ティザー映像が公開され、登場人物の一人・滝川みうが手紙を受けとるさまがスクリーンに映し出された。

 年が明けると、『22/7』はいよいよ具体的なストーリーと世界観をもって動き出すことになる。アニプレックスとソニー・ミュージックレコーズとがタッグを組む「デジタル声優アイドル」である22/7は、アニメーションと三次元のアイドルとの双方のアウトプットによってこそ、本当の面白さ、意義深さがみえてくるプロジェクトである。その両者が足並みをそろえて2020年に向かうにあたって、この日のライブではまず、楽曲パフォーマンスの面で準備が整いつつあることが提示されたといえるだろう。(香月孝史)