MELLOW MELLOW、ブラックミュージックに臨む姿勢「いつでも楽曲に負けないように歌いたい」
音楽
ニュース
1970~80年代のブラックミュージックをベースにしたグルーヴィーなサウンドとともに、レベルの高いヴォーカルとダンスをステージで披露するMELLOW MELLOW。サンミュージック所属のアイドルグループ・さんみゅ~としても活動するSENAとMAMI、スマイルカンパニーに所属するHINAによる3人組だ。2019年10月2日で結成2周年を迎えた彼女たちが、ニューシングル『WANING MOON』をリリース。カップリングの「Groovy Journey!」も含め、作編曲とサウンドプロデュースは、フィロソフィーのダンスの全編曲を担当する宮野弦士だ。MELLOW MELLOWの活動に真剣に向かいあう3人に、ダンスヴォーカルユニットとしての姿勢や音楽性、そしてグループに賭ける思いを聞いた。(宗像明将)
(関連:わーすたが明かす、ライブに賭ける情熱と本音「アイドルという概念を捨てて観てもらいたい」)
■『TIF』を境に輪が広がっている(MAMI)
ーーMELLOW MELLOW結成の経緯は、さんみゅ~のリリースイベントにSENAさんとMAMIさんが出ていて、そこにHINAさんが来ていたことだそうですね。
SENA:さんみゅ~の定期公演がありまして、そこにHINAちゃんと大人たち(笑)が見にいらっしゃってて、それを機に「この3人でやったらいいんじゃないか?」っていう話になったらしく。
ーーSENAさんとMAMIさんは、今もさんみゅ~で活動していますね。
SENA:曲調はガラッと違いますね。MELLOW MELLOWではライブへの気持ちのノリが違います。「イェーイ!」みたいな(笑)。
MAMI:個性の出し方は、MELLOW MELLOWのほうがもっとラフな感じで、素に一番近いんじゃないかなって思います。
ーーHINAさんはジャズダンスの経験者なんですよね。
HINA:高校生のときにいきなり歌って踊りたくなって(笑)、スマイルカンパニーのオーディションを受けて合格しました。でも、その後、MELLOW MELLOWの結成まで2年ぐらいありました。
ーーSENAさん、MAMIさんとMELLOW MELLOWを作ると言われてどう思いましたか?
HINA:もうテンションがぶち上がりました(笑)。「きたーっ!」みたいな。すごく嬉しかったです。
ーー結成から2年間を振り返ってみていかがでしたか?
SENA:今は“ダンスヴォーカルユニット”っていうコンセプトでやらせてもらっているけど、結成したときは「ちっちゃい子が頑張って歌って踊ってる」みたいな可愛らしさを前面に出していた感じはあったんです(※3人は全員身長150センチ以下)。でも、今は雰囲気やライブでの攻め方もガラッと変わって、「MELLOW MELLOWが好き」って言ってくれる方が増えました。
MAMI:最近はとにかくMELLOW MELLOWの曲を聴いてほしいという気持ちが強いので、MCもやらずにずっと歌ったりして、ライブ中もファンの方と私たちのパフォーマンスがぶつかり合っている感じです。
HINA:私はもともとダンスがすごい好きだったので、たくさん踊れるようになって嬉しいです。
ーーちなみに、SENAさんがさっき「ダンスヴォーカルユニット」って言いましたけど、アイドルではないんですか?
SENA:自ら「アイドルではないです、アーティストです」みたいな宣言はしないです。それは見て感じていただきます。
ーーそれをなぜ確認したかと言うと、『TOKYO IDOL FESTIVAL 2019』初出演の話になるからです。直射日光が射す野外で素晴らしいステージでした。あの『TIF』の手応えはいかがでした?
SENA:さんみゅ~では2012年からずっと出てるんですけど、今年が一番手ごたえを感じました。『TIF』後の定期ライブに人が増えたり、「『TIF』を見てきました!」みたいな方がたくさんいらっしゃったり、びっくりしました。
MAMI:その日を境にMELLOW MELLOWだけを見にきてくれる人が増えて、毎回のリリースイベントでも「はじめまして」の方が絶対にいて、少しずつ輪が広がってきているんじゃないかなと思います。
HINA:反響があったのが嬉しくて、びっくりです。
ーー『TIF』では、歌だけではなくパフォーマンスのレベルの高さも印象的でした。DA PUMPオリジナルメンバーのKENさんがコレオグラファーをしていますね。
SENA:KENさんは私たちが「もっと頑張りたい」と思えるような教え方をしてくれます。
MAMI:最初はやったことがないステップが多かったので、すごく苦戦したんですけど、一緒に考えながらやってくださって。
HINA:「自分たちの曲で、こういう思いがあるなら、ここはこうしたほうがいいんじゃないか」って、どうしたらいいかを教えてくれる感じですね。
ーー今、ステージに対する自信はありますか?
SENA:……あります!
ーー間が一瞬ありましたね。
SENA:いや、そんなことないです(笑)。自信はいつもあります。
MAMI:いろんなステージに立っていても「私たちが絶対に一番だな」って思って歌ってます。
HINA:もちろん自信を持って、全面にそれを出してやるように心がけていますね。やっぱりそうやって思っていないと、良いものって出来ないので、「私たちを見てください!」っていう思いでやっています。
ーーそしてニューシングルの「WANING MOON」のサウンドプロデュースは宮野弦士さん。楽曲を受け取ったときの感想はいかがでしたか?
SENA:宮野さんが作ってくれた前作の「Dear My Star」はサビでガーッて歌って、意識的にエモい感じにしていた部分もあって。でも今回はそういうタイプでもなくて、難しかったです。
ーー爆上がりする曲でもないし、バラードでもないですもんね。
SENA:そうなんです。どれだけリズムに自分が乗れて歌えるかみたいなところがあって。だから今回はちょっと新境地かなと。
MAMI:今までのMELLOW MELLOWは、こういう爽やかな感じを出したことがないなって。ガツガツいくような曲調じゃないので、レコーディングのときも意識して、歌い方をいつもと変えたりしました。
HINA:夏っぽいと思いました。爽やかで、テンポもゆったりしていて。
ーーレコーディングでは、どういうところが一番難しかったですか?
SENA:リズムに対してスタッカート気味というよりも、全部つながっているイメージで、なだらかな感じや少しアンニュイ、というのを意識しながら歌ってみました。
MAMI:今回はちょっと息多めに、柔らかい感じで歌うように心がけました。
HINA:自分のパートのキーは高くないんですけど、暗くなりすぎないように歌いました。寂しくなりすぎるとダメかなっていう感じで、明るさも入れつつ。
ーー作詞は深川琴美さんですが、2番の歌詞は〈メイクして〉〈ロックして〉〈面倒な〉〈ロマンスも〉〈でもまだ〉〈痛いよ〉〈たいせつ〉〈いちばん〉を縦読みすると「メロメロでいたい」になりますよね。
全員:……えっ!? 本当だ……!
SENA:えー、びっくりです。でも、嬉しいです。歌詞を書いてくださる方がそこまで思ってくれて。大きな愛情を感じるし、「大切に歌いたいな」って思います。
MAMI:今聞いてすごいびっくりなんですけど、より一層「ちゃんと歌っていきたいな」って思いました。
HINA:いやちょっと……私は気づけなかったショックが大きいです……(笑)。
■世代も性別も関係なしにまるっと取りこんでいきたい(SENA)
ーー歌詞のように「MELLOW MELLOWでいたい」という気持ちは強いですか?
全員 はい。
ーー即答でしたが、MELLOW MELLOWの活動をなぜ続けたいと思うんでしょうか?
SENA:いずれはバラバラになる日が来るかもしれないけど、3人で同じ方向を見て好きな音楽を一緒にやっているので、この3人でちゃんとやっていくことに意味があると思います。
MAMI:20歳を過ぎてまた新しくスタートできるってことがなかなかないじゃないですか。MELLOW MELLOWではそういう環境をいただけたので、ちゃんと成功させたいなっていう思いはあります。
HINA:MELLOW MELLOWを好きと言ってくれる人が私の周りにも多くて、愛されているグループだと思うんですね。3人とも個性がバラバラだけど、それがいい感じにまとまってバランスも良くて。この3人でなら頑張っていけるんじゃないかっていう希望もあるし、自分がすごいやりたいことができているから嬉しい。なので成功したいなと思います。
ーーMVは、アートディレクターでもあるKASICOさんが監督をしていますが、前半はストリートで撮って、後半は森で撮っていますね。
SENA:歌詞の通りに「MELLOW MELLOWでいたいけど、ずっと続くわけじゃないんだよ」っていうのをあの切り替わりで表してると言うか。初めてです、こんな切ないMVを撮ったのは。
MAMI:花火が消えて終わるし、切ないですよね。
HINA:「WANING MOON」の世界観がそのまま表現されているから、とてもいいなと思いました。
ーーカップリングの「Groovy Journey!」は、SENAさんがジャクソン5っぽいと感想を言ったそうですが、たしかに「I Want You Back」っぽいですよね。
SENA:ジャクソン5さんの具体的な曲名まではわからなかったですけど、そんな感じがしました。
HINA:イントロを聴いたときから「ジャクソン5さんだ!」みたいな。私の母が好きで、CDが家にあって聴いてました。
MAMI:私は詳しくないですけど、そういう雰囲気は読みとれました。
ーーMELLOW MELLOWが始まって、ブラックミュージック寄りの楽曲を歌うのはいかがでした?
SENA:私はそういう曲が好きだったし、昔から歌って踊るのもすごい好きなので、全部自分のやりたいことができているという感じです。
HINA:こういう音楽を私もやりたかったし、MELLOW MELLOWの曲は全部好みなのでうれしいです。
MAMI:逆に私はこういう曲は聴いてこなかったので、新しいジャンルなんですけど、知らなかったからこそ楽しめているのかもしれません。
ーーお互いのボーカルの魅力を、他のメンバーから聞いてみたいのですが。まずはSENAさんの魅力から。
MAMI:どの曲も、すごくなめらかに歌える人だなと思います。個人的にはジャズみたいなテイストの曲を歌うときのボーカルが好きです。
HINA:曲によって歌い方が違うし、曲1つひとつの表現の仕方がうまいですね。世界観を歌で表現できているところがすごいなって思います。
SENA:やっぱりそれぞれの曲の持ってる世界観って全部違うと思うし、そういうのを考えながら宮野さんも曲を作ってらっしゃると思うので、いつでも楽曲に負けないように頑張って歌いたいな、と。
ーーMAMIさんのボーカルの魅力は何でしょうか?
SENA:これはズバッとあるんですけど、“丸太”みたいなところ。
MAMI:あはは!
HINA:たしかに(笑)。
SENA:丸太みたいに芯がしっかりしている。本人は高音が気持ちよく聴こえてないんじゃないかって言うけど、それで胸がギューっとなる感じもして、歌詞や曲によってはめちゃくちゃ活きると思います。低めの声質だから、ダイレクトに心臓にくるし、いい声だなって思いますね。
HINA:まずギャップがいいですよね。この見た目で、この声で歌うから余計に良いと言うか。とにかく芯があるんですよ。それがいいところだと思います。
MAMI:ファンの方にもよく言われるので、芯がある、太いというのは武器にしていきたいところだなと思います。
ーーHINAさんのボーカルはいかがでしょう?
SENA:なんかこの、お嬢様が一生懸命歌って踊っているという感じが、私的にはちょっとグッと来て。ふだんは汚れたくないのにその時は汚れる、みたいな(笑)。
ーーMELLOW MELLOWをやると汚れるんですか(笑)?
SENA:違います(笑)。ふだんは泥だらけになるのは嫌なんだけど、MELLOW MELLOWをやってるときは泥だらけになってやるぞ、みたいな(笑)。ダンスも全力で踊るんですけど、それと声のギャップがありますね。裏声と地声の境目があまりなくて、柔らかくて聴き心地のいい歌声だと思います。
HINA:そうですねー、泥だらけになってます(笑)。
MAMI:ふわふわした、柔らかい歌声なので、いつも「すごいなー」って思います。
ーーこれから、MELLOW MELLOWの音楽をより広く届けていくためには、どうすればいいと考えていますか?
MAMI:毎月定期ライブをやってるんですけど、女の子が見に来てくださることが増えてきていて。これから学園祭に出て学生の方や私たちを知らない人たちの前でたくさんライブをしたいなと思います。
SENA:武者修行とかしたいんですよね。私たちのことを知らない人しかいない、完全にアウェイのところでライブをするとか。MELLOW MELLOWの曲って、幅広い人から好かれやすいから、ろうにゃくにゃんにょ? ……老若男女!(笑) 男性も女性も若い人も狙いつつ、世代も性別も関係なしにまるっと取りこんでいきたいです。
HINA:その人たちに自分たちをどう見せていくかという、精神的なトレーニングにもなるのかなって思います。メンタルは強いので(笑)、「どんな人でも取りこむぞ!」っていう気持ちでやっていきたいですね。(取材・文=宗像明将)