松田優作をしのんだ1990年のイベント映像がDVD化、崔洋一によるドキュメンタリーも
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松田優作
1990年12月3日に東京・池袋のサンシャイン劇場で行われた「CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOW 松田優作・メモリアル・ライブ」の模様がDVD化。ドキュメンタリー「優作について私が知っている二、三の事柄」を収録したDVDとの2枚組で、2020年2月5日に発売される。
CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWは、1989年11月6日に死去した松田優作をしのぶために行われたもの。音楽、演劇、ライブペイントなど、さまざまなアートが融合したこのイベントには、水谷豊、原田芳雄、内田裕也、宇崎竜童、世良公則、桃井かおりらが出演した。2018年11月30日に死去した映画プロデューサー、黒澤満が製作を担当。映画監督の崔洋一が構成と演出を手がけた。DVDには、今回発見された映像を崔自身が細密に編集したものが収録される。
「優作について私が知っている二、三の事柄」では、水谷や桃井をはじめ、CLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWを支えた者たちへの新規インタビューを崔が実施。松田のプライベート写真や歌唱も多数収められた。
このたび、「冷たいビール」と題された崔によるコメントも到着。その中で崔は、原田からCLUB DEJA-VU ONE NIGHT SHOWの構成・演出をオファーされたときのことを回想している。
崔洋一「冷たいビール」
1990年、暑い夏の昼下がり。我が家の電話がチンと鳴った。「あっ、サイくん、ヨシオです。今さ、ウチで冷たいビールを飲んでいるんだけど、来ない?」電話の主は原田芳雄。怪しい、どう考えても怪しい。この誘い、なにかある……と思うのが普通。だが、気怠い午後の冷たいビールの誘惑に勝てる訳がない。
ままよ、と原田邸の門を叩く。
うひゃっー。何だこの面子。梅林茂(Exリーダー)、下北レディージェーンの大木雄高を中心に優作と原田芳雄の関係者たちがじっと僕を見据えている。夫人章代さんが、「まあまあまあ、サイくん」、と冷えたグラスにビールを注いでくれる。
芳雄さん、おもむろに「みんなで決めた。一周忌にメモリアル・ライブをやる」
ゴクゴクと喉を通過していくビールを一瞬恨むが、時すでに遅し。
「それでだな、構成と演出はサイくん、君がやる。それが、今日の面子の結論です。ささ、グッと飲んで」
メモリアル・ライブに賛成しつつ、演出は断固固辞。
「ウンウン、じゃさ、イメージだけでも言ってよ」苦し紛れに「(僕が)やるやらないは別にして、クラブ作りのステージで、オーナー(優作)不在のまま、ロクでもない常連とかつての従業員がグダグタと集って、歌って、身勝手なお喋りをする感じかな……屋号はCLUB DEJA-VU……」
「サイくん出来てるじゃん。それで行こうよ!」
すべてはここから始まった。