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『シャイニング』の続編をどう受け止めたのか? 『ドクター・スリープ』キャスト&スタッフが語る

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リアルサウンド

 映画『ドクター・スリープ』が11月29日より公開となった。世界的ベストセラー作家スティーヴン・キングの最高傑作と言われる小説を、スタンリー・キューブリックによって1980年に映画化された『シャイニング』。その40年後の物語が描かれる本作では、惨劇を生き延びて大人になったダニーを主人公に、新たな恐怖が描かれる。

参考:『ドクター・スリープ』呪われたホテル再現の裏側が明らかに キューブリックへのオマージュも 

 今回リアルサウンド映画部では、主人公ダニーを演じたユアン・マクレガー、ローズ・ザ・ハットを演じたレベッカ・ファーガソン、アブラを演じたカイリー・カラン、監督を務めたマイク・フラナガン、プロデューサーのトレバー・メイシーとジョン・バーグの6名に、本作について話を聞いた。

ーー前作という位置付けであるスタンリー・キューブリックの『シャイニング』は映画史に名が残るほどの作品です。その続編に参加する気持ちはいかがでしたか?

ユアン・マクレガー(以下、マクレガー):次のストーリーを語れることがとても嬉しかった。なぜなら、スティーヴン・キングが、これらのキャラクターについて明らかにもっと語りたい何かがあると感じたから。そこには、『シャイニング』からのキャラクターが何人かと、『ドクター・スリープ』からの新しいキャラクターが何人かいる。だから、僕は彼を信頼したんだ。

ーーキューブリックの映画『シャイニング』の続編というよりも、キングの小説『ドクター・スリープ』の映画化という認識だったわけですね。

マクレガー:その通りだよ。スティーヴン・キングは素晴らしいストーリーテラー。もし彼が続編を書かなければ、僕はあの映画の続編を作ることが素晴らしいアイデアだと思ったかどうかはっきりわからない。僕らがやったのはそういうことじゃない。僕らは、スティーヴン・キングの小説を映画化したんだ。だから、それについてはとても安全に感じたよ。心配することは何もなかったんだ。

レベッカ・ファーガソン:最初に、マイク(・フラナガン)とスカイプで話してほしいという依頼があったの。内容は、スティーヴン・キングの原作小説が基となる、『シャイニング』の続編となる映画についてだった。私は「大それたことで、恐ろしい」と思ったわ。次の日に電話をもらって、役をオファーしたいと言われたの。この魅力的な役を得られたことももちろんだけど、スティーヴン・キング作品に出演できることにも興奮したわ。

カイリー・カラン(以下、カラン):私はすべての取材が始まるまで、この作品に参加することがどういう意味を持つのか、あまり把握していなかった。でも、『シャイニング』のストーリーに参加できることにとても興奮したわ。

ーーあなたが演じたアブラは、『シャイニング』におけるダニーと同じくらい本作で重要な役割を担っています。演じることのプレッシャーはありませんでしたか?

カラン:そうでもなかったわ。この作品に出ることができて、本当にとても興奮していたの(笑)。ユアン(・マクレガー)やレベッカ(・ファーガソン)との共演も本当に素晴らしかった。彼らの才能のかけらを取って、自分自身のために盗みたいぐらい。一緒に仕事をするのはすごく楽しかったし、彼らの仕事ぶりは驚くほど素晴らしかったわ。

ーーフラナガン監督はスタンリー・キューブリックの後を引き継ぐことになったわけですが、重圧はありませんでしたか?

マイク・フラナガン(以下、フラナガン):それは恐ろしかったよ。大抵の場合、そのプレッシャーに圧倒される感じだった。僕はキューブリックじゃないし、絶対にキューブリックにはならない。もう一人キューブリックが出てくることは絶対にないと思う。でも、僕はキューブリックが大好きだし、スティーヴン・キングが大好き。そして、『シャイニング』が大好きなんだ。この映画を嫌う人々はいるだろう。だけど、それはどんな作品でも起こりうること。だから、そういった問題をちょっと横に追いやって、ファンとして自分が観て楽しめる映画を作ることに集中したよ。それを見失わなければ、プレッシャーは耐えられるものになると感じたんだ。今になってようやくそのプレッシャーが消え始めた感じだね。観客が映画を観るまでは、それはなくならないと思う。今までの自分の人生で、今回の仕事のように恐ろしいと感じたことは間違いなく一度もなかったね。

ーー『シャイニング』との繋がりでいうと、オーバールック・ホテルの再現度が見事でした。

トレバー・メイシー:僕らが作るオーバールック・ホテルは、『シャイニング』のホテルと一致するようにする必要があった。興味深いことに、実は『シャイニング』のホテルの描写は全編で一貫しているわけではない。だから、どこを一致させるかについても考慮の必要があったんだ。

ーースティーヴン・キングの原作小説とスタンリー・キューブリックの映画、どちらのファンも納得させられるものにしなければいけない難しさもあったと思います。

ジョン・バーグ:そうだね。今回は、異なる3人のキャラクターをまとめあげる必要があった。ダニー・トランスは『シャイニング』の少年と同じ人物ではあるものの、まったく違う大人に成長している。苦悩を抱え、どん底を経験してきた彼は、回復の道を辿っているんだ。アブラとローズは新たなキャラクターだから、小説『ドクター・スリープ』の内容も等しく表現しなければならない。前作の映像美とも融合させながら、この3人のキャラクターを通して、新たな物語を描くのが僕らの仕事だった。マイクは、自身が憧れるふたりの英雄に敬意を表す作品を作り上げることができる、才能に溢れる監督だ。その上で、自分の映画として作り上げる自信と才能も持ち合わせていた。マイク・フラナガンは、本当に素晴らしい映画監督だよ。(取材・文=宮川翔)