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蒼井翔太、Aqours、水樹奈々、宮野真守、LiSA……アニメシーン盛り上げるアーティストが『FNS歌謡祭』に集結

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リアルサウンド

 フジテレビの歌の祭典『2019 FNS歌謡祭』が、2日に分けて催される。第1夜は12月4日の18時半から、第2夜は12月11日の19時から、それぞれ放映される予定だ。今年の総合司会には嵐の相葉雅紀とフジテレビアナウンサーの永島優美が選ばれ、令和となってから初放映となる記念すべきタイミングを、2人で盛り上げる格好である。第一夜はグランドプリンスホテル新高輪「飛天」で、第二夜は特設スタジオからの生放送となるが、放送時間が昨年よりもさらに伸び、2夜合計で9時間26分を予定している。

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 番組では多数の大型企画が目白押しである。その中でも本稿では、「アニソンスターが大集結」というズバリな企画に、蒼井翔太、Aqours、水樹奈々、宮野真守、LiSAの5組が出演するという点をピックアップしたい。

 水樹奈々は2012年に『FNS歌謡祭』初出演以来、今回で8度目となり、もはや常連といったところだろう。Aqoursは2017年以来、宮野真守とLiSAは昨年以来となるそれぞれ2度目の出演だ。また、実は蒼井翔太も出演歴がある。2018年に上坂すみれが「POP TEAM EPIC」を披露した際に、バックスクリーンのVTRで登場するというカメオ出演を果たしているのだ。とはいえ、彼本人が出演するのは今年が初となるし、アニソンシーンで活躍するシンガーやグループが5組も登場するのは初めてだ。

 これまでの『FNS歌謡祭』での彼らは他の出演者とのコラボ企画のためという側面が強く、ソロで楽曲を披露するというのは比較的少ないように見えた。だが今回の『FNS歌謡祭』では、特別企画の1つとして5組が特集される。ソロでの楽曲披露はもちろん、番組の目玉であるカバーソングを歌う可能性もある。今回選ばれた5人の国内外における活躍を見れば、番組出演の理由がおのずと分かってもらえるはずだ。

 まず水樹奈々は2009年に『NHK紅白歌合戦』に初めて出場して以降、「声優として初となる」という冠をこの10年間でいくつもかぶり、文字通りシーンを引っ張ってきた。とりわけその活躍は、ライブ活動において発揮されてきた。

 2011年12月には東京ドームでライブを初開催した。日本人女性ソロ歌手としては史上8人目、声優としては初めての開催となったが、約4年後の2016年4月には2度目となる公演に踏み切った。2010年代に日本人女性ソロ歌手で開催したのは、安室奈美恵・倖田來未・西野カナ・YUKIと彼女の5人、ちなみに数年以上の時間を置いて開催したのは、安室奈美恵と彼女の2人のみである。

 また、西武ドーム(現メットライフドーム)、千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)、横浜スタジアム、阪神甲子園球場、と合計5カ所の野球場でライブを開催し、2020年に開催予定のツアーではナゴヤドームでの開催も予定されている。この規模でライブを開催し続けることができるのは、女性ソロシンガーとしてみると非常に稀になってしまうほどだ。

 今年も近年同様にライブツアーを行ない、12月にはアルバム『CANNONBALL RUNNING』を発売、そして来年2020年12月で歌手デビュー20周年を迎える。今なお、アリーナやドーム中をところ狭しと駆け巡り、圧倒的な歌唱力を披露できる女性ソロシンガーは、過去にさかのぼってもほんの一握りだろう。楽曲だけでなく、自分のパフォーマンスもより多くの人に届けるという、ミュージシャンとして誠実な姿勢を保つ彼女が、「私は声優です」と常々語っていることを忘れてはいけないだろう。

 そんな水樹奈々のレーベルメイトといえば、宮野真守である。2013年10月には、男性声優のソロ公演としては初となる日本武道館を敢行。翌年からは横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナといったアリーナ公演を催し、その勢いのままに男性声優個人名義では史上初となるオリコンシングルデイリーランキング1位を記録している。

 声優個人名義での1位獲得は水樹に次ぐ2人目の快挙(アルバムランキングでは男性声優としてはGRANRODEOに次ぐ2組目)、その後には多数のテレビ番組に出演をするなど活躍の場を広げてきた。今年はシングル曲「アンコール」を発表し、自身史上最多9カ所、かつ初のアジア公演も含むライブツアーを開催した。

 そんな宮野が、どのタイミングでお茶の間にも広まったか? と言われると難しいのだが、テレビ番組『おげんさんといっしょ』(NHK総合)で「おげんさんちのねずみ」の声を務めたこと(さらに宮野似のアイドル・雅マモルも登場した)はその一助になったのではないかと思う。今後ももしかすれば彼がよりテレビ番組に出演することが増えるかもしれない。

 男性声優からはもう1人、蒼井翔太も出演する。宮野と蒼井の2人は現在、11月初旬から上演されているブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』において、ダブルキャストとして主役のトニーを演じており、水樹とともにレーベルメイトでもある。蒼井は、声優・アニソンシンガーとしては前者2人のような明確なヒットソングを持っているとは言い難いが、中性的な見た目や声色をもち、視聴者の注目を集めそうだ。

 今回の番組で「アニソンスターが大集結」とは別に、彼にはスポットライトがあたる機会がある。彼がデビューするきっかけとなったオーディションで披露した倖田來未「1000の言葉」の、倖田本人とのコラボ企画が実現したのだ。

 自身のデビューするきっかけとなった楽曲・シンガーと、相対するようにコラボできるというのは、そう多くないチャンスであろう。彼がどんなパフォーマンスをするか注目である。

 2010年代のアニソンシーンで一際輝いたといえるのが、アイドル系アニメ発グループの活躍だろう。とくに『ラブライブ!』シリーズと『アイドルマスター』シリーズの2作品で活躍するグループは、ヒットソングとライブ公演にも恵まれてきた。その潮流にのって今回Aqoursが選ばれたのは不思議ではない。

 彼女らが主役の『ラブライブ!サンシャイン!!』は今年1月に公開となった劇場版アニメでエンディングを迎えた。先輩にあたるμ’sはラストライブ以降にはほとんど活動を止めてしまったわけだが、Aqoursは対照的により活発化してきているように思える。

 今年9月にはシングル曲を発表、全国でファンミーティングを、6月にはメットライフドームで2日間に渡ってライブ公演を行なった。Aqoursはアイドル系アニメ発グループとしてみると群を抜いてメディアなどへの露出が多いグループであるが、今年もテレビにゲスト出演するなど精力的な活動が続いている。スマホゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』がロングランヒットを飛ばしていることからみても、Aqoursの活動が止まることは今のところは無いように見える。

 最後は、アニソンシーンを盛り上げるシンガー・LiSAを紹介しよう。2010年にTVアニメ『Angel Beats!』の劇中バンド・Girls Dead Monsterで歌唱を担当、翌年にソロとしてデビューして以降、『ソードアート・オンライン』シリーズや『Fate』シリーズでヒットソングを数多く生み出してきた。海外でも人気の上記2作品に加え、現在国内外で人気を博しているTVアニメ『鬼滅の刃』ではOPとEDをどちらも担当。そのOP楽曲となった「紅蓮華」は、オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキング上では「平成最後の1位」「令和最初の1位」という名誉あるものとなった。

 こうした影響力をうまくライブ活動に反映させ、日本国内ではアリーナ公演を数多く務め、海外でのライブ公演も何度となく成功してきた彼女は、いま最も求心力を持ったシンガーの一人だといえよう。テレビ番組への出演は年に数度ほどに限られてきたが、今年は『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への初出場が決定。ここ数年来の活躍と勢いを持って目に見える場所に登場するとなると、どのようなパフォーマンスを披露するかは注目すべきだろう。

 今回このような企画が立ち上がった背景には、やはり2010年代の終わりを迎えるにあたり、勢いと実績を重ねてきたアニソンシーンへスポットを当てようとする意図が見えてくる。年明けの1月2日には、同じフジテレビ系列で2次元、2.5次元コンテンツ界隈で人気のアーティストが集まる番組『オダイバ!!超次元音楽祭』が放送されることが決まっている。制作にあたるのは、なんと『FNS歌謡祭』チームだという。企画・演出を担当する浜崎綾氏が、数年に渡って企画実現を模索していたとのことで、こちらも同じくチェックすべきだろう。今回の『FNS歌謡祭』の「アニソンスターが大集結」は、2010年代に一気に花開いたアニソンシーンの盛り上がりを、2020年代へと広げていく好企画。オンエアを楽しみに待ちたい。(草野虹)