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『同期のサクラ』×森山直太朗「さくら(二〇一九)」の見事なリンク 高畑充希の夢の行き先は?

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リアルサウンド

 高畑充希が主演を務めるドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)が、12月4日に第8話を迎えた。

 故郷の島に橋を架けるという夢を自らの手で潰し、“じいちゃん”こと祖父・柊作(津嘉山正種)が亡くなり天涯孤独の身になったサクラ(高畑充希)が、自暴自棄の状態になるという衝撃のラストとなった第7話。第8話では、長いこと語られることのなかった、2019年の現代にサクラが眠り続けている理由が明らかになる。

 それは、バイクに轢かれそうになる隣人夫婦の子供をサクラが身代わりとなって助けたため。メガネはひび割れ、満身創痍のサクラは、なんとか自宅に辿り着き、同期との写真を手に力尽きる。立ち直ろうとしていたサクラ。そこに至るまでには、菊夫(竜星涼)、百合(橋本愛)、蓮太郎(岡山天音)、葵(新田真剣佑)同期4人の励ましがあった。

 2018年1月、休職して1年以上が経つサクラ。体調がすぐれないと家で寝たきり、働く気力も出ないサクラのもとには、花村建設から解雇予告通知書が届いていた。何があっても助けようとしてくれたサクラに、同期たちはあの手この手で彼女を仕事復帰させようとする。それはこれまでサクラがしてきたことへの恩返しのようでもある。特に、「あんたなんかに私のつらさなんか分かるわけねんだっけ!」と投げやりになるサクラに、百合が「ブス! もうあんたみたいなブスどうなっても構わないから」と吐き捨てるシーンは、第3話の屋上でのやり取りを思い起こさせる。

 それでも、「私なんか仲間だって思わないでください」と4人を拒絶するサクラ。唯一の話し相手のAIスピーカーとの会話でも「私みたいなのは死んだほうがいいのかな」という答えに行き着き、AIにも手に負えないほどにどん底へと沈んでいく。そんな時、葵との子供を産んだ百合が、出産の際に考えていたこと、それが亡くなった柊作の遺言でもある「サクラのことをよろしく頼む」という言葉だった。

 百合たちは、サクラの誕生日である2019年3月31日に非通知の電話をかけ、ファックスの効果音とともに、玄関のドア下から擬似ファックスを送る。

「俺たちはいつまでも待ってる」
「おまえとまた一緒に働ける日を」
「だからどんなに辛くても諦めない」
「サクラのいない世界なんかに生きていたくないから」
「じゃあまた明日」

 返ってくることのなかった柊作からのファックスでもあり、同期4人が柊作の最後の望みを叶えた思いの詰まった手紙。「じゃあまた明日」は必ずサクラが口にしていた明日に繋がる希望の言葉でもある。そして、ファックスと一緒に流れる森山直太朗の「さくら(二〇一九)」。

〈僕らはきっと待ってる〉〈君とまた会える日々を〉

 今回の主題歌は、「さくら」の歌詞世界が、本ドラマと非常に共鳴するということから、「今」の歌唱で主題歌として提供してほしいと、制作陣が熱心に森山にオファーし、主題歌決定に至ったという。その思いは、この第8話のためにあったのではないかというほどに、見事に物語とリンクしている。

 ベッドの上で一粒の涙を流し、ついに目を覚ますサクラ。第1話から提示されていた終わりを脱し、第9話でサクラは就活を経て、故郷の島へ帰る決心をする。「さくら」の最後の歌詞は〈さらば友よまたこの場所で会おう〉〈さくら舞い散る道の上で〉。サクラと同期たちに残された夢「仲間とたくさんの人を幸せにする建物を造ること」が叶う時はくるのか。(渡辺彰浩)