『スカーレット』草間の金言冴え渡る 喜美子が自分の気持ちに向き合うきっかけとなるか
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直子(桜庭ななみ)が草間(佐藤隆太)とともに信楽に戻ってきた前回。『スカーレット』(NHK総合)第59話では、直子の電報の真意が明かされることとなった。
参考:『スカーレット』桜庭ななみ、“姉”戸田恵梨香との共演を語る 「自分にないものを引き出してくださる」
家に着くなり、昼間から寝こけていた直子。夜になってようやく起きてきて、喜美子(戸田恵梨香)にご飯をねだる始末。この辺りの姉妹の関係性は、離れていても変わることはない。よっぽど仕事に追われているんだろうと直子の調子を推測していたマツ(富田靖子)たちだったが、どうやら帰郷の理由は他にあるようだ。
早速話が気になる一同だが、直子は「子どもは向こう行っとけ」と百合子(福田麻由子)を追い出す。さらに、「男と女の痴情のもつれや。喜美子姉ちゃんに言うても分からへんやろ?」と喜美子までも蚊帳の外にしてしまう。確かに、喜美子にその手の話は難しいだろうが、実の姉に対してなかなかの口ぶりだ。結局、マツだけが話を聞くこととなった。
直子は、職場の新人指導係に恋をしてしまったらしい。映画に誘われてすっかりその気になってしまったという。だが、相手の牛田には彼女がいることは直子も知っており、そのことで悩んでいたというのだ。次女が恋路に悩む姿に、母・マツは、「好きな人ができるいうんは自然なことやで? お母ちゃんに言わしたら直子は正直もんや。自分のことをよう分かってる。自分の中の好きいう気持ちに気ぃ付いて、好きいう気持ちを大切にしたんやな?」と投げかける。この言葉で一気にガスが抜けた直子は、スッキリした様子で「東京に戻る」とお茶を飲み干す。
マツの言葉に何かを感じ取ったのは直子だけではない。隣の部屋で聞き耳を立てていた喜美子にも刺さるものがあったようだ。昨日の放送で、八郎(松下洸平)と呼び名の論争を繰り広げ、「結婚はまだ考えられません」とひとまず決着したばかり。決着した後もどこか腑に落ちない様子の喜美子だったが、頭のどこかにそのことが引っかかっている状況なのだろう。
一方、草間は、次は台湾で仕事をすることになったという。突然の告白に驚く常治(北村一輝)だが、その前に喜美子の絵を見てやってほしいと草間に頼み込む。草間は、幼い喜美子を導いた存在だからこそ、今の喜美子の成長を見届けてほしいという気持ちもあるのだろう。こういうところはきちんと粋なお父ちゃんだ。
翌日東京へ旅立つ前、草間は喜美子の作業場へ。前日にあかまつで「お見合い大作戦」のことを聞いた草間は、喜美子と奥さんに会いに行った時のことを語り出す。戦争以降再会できていなかった草間の奥さんは、別の人と一緒にいたのだった。「結果的に、うまくいかなかったけど後悔はないんだよ? そういう人と出会えたことは本当によかったと思ってる」、「心から好きな人。好きな人ができると世界が広がるよ」と、自分の経験を踏まえて喜美子にアドバイスを送る。喜美子の大事な時期に毎回金言をくれる草間は、なんとも頼もしい存在だ。
母・マツの言葉、そして草間のアドバイスを受け、喜美子も自分の気持ちに対して、正直に考えているところなのだろう。「お見合い大作戦」を含め、明日の放送でも何やら動きがありそうだ。
(文=安田周平)