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『スカーレット』松下洸平、戸田恵梨香との共演を語る 「こんなに頭のいい女優さんはいない」

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リアルサウンド

 毎週月曜日から土曜日まで放送されているNHKの連続テレビ小説『スカーレット』。第46話より本格登場した松下洸平より、コメントが寄せられた。

 本作は、焼き物の里・信楽しがらきを舞台に、女性陶芸家・川原喜美子(戸田恵梨香)が、モノを作り出す情熱と喜びを糧に、失敗や挫折にめげずに生きていく波乱万丈の物語。

 松下が演じるのは、信楽にやってきた陶工・十代田八郎。真面目だが、どこか謎めいたところもあり、陶芸への熱い思いを持っている。喜美子の陶芸と人生に、大きな影響を与えていく。

 松下から寄せられたコメントは下記の通り。

■松下洸平(十代田八郎役)コメント

●『スカーレット』出演が決まったときの気持ち
実家に帰るたびに、いつも“朝ドラ”を見ている母から「“朝ドラ”に出ないの?」と言われていたんです。実は何度も“朝ドラ”のオーディションを受け続けてきて、箸にも棒にもかからない日々を数年間経験していました。ですので“朝ドラ”出演の報告をしたときの母の喜びを見たときは、本当にいい親孝行をしたなと思いました。
どんな撮影でも初日は緊張するものですが、信楽ロケの初日は「いま、自分は“朝ドラ”に出ている!」と思うといつもの倍ほど緊張してしまって……記憶があんまりないんですよね(笑)。スタジオ収録の初日も、“朝ドラ”特有のセットは、そこに自分が実際にいるように錯覚してしまうとてもリアルなセットなので、「今、自分は“朝ドラ”に出てる……」とまたもや緊張してしまいました。キャストの皆さんも、スタッフの皆さんも、本当に優しい方ばかりなので、今はものすごく楽しく撮影をさせていただいています。

●演じる八郎の印象、注目してほしいポイント
「八郎」というだけあって、八人兄弟の末っ子です。戦争などで身内との別れをたくさん経験しながら育ち、いろいろな人の人生を見てきたからこそ、どう生きるべきなのか、人一倍よく考える、とてもたくましい青年だと思っています。
喜美子の八郎に対する第一印象は、「ちょっと理解しにくい」という設定ですが、謎が多くて何を考えているかわからない人物というイメージにはならないようにしたいと思って演じています。就職した丸熊陶業で、祖父が大切にしていた思い出の絵を描いた深野先生と出会ったことで、ガチガチに緊張してしまって、最初の挨拶では自分が思っていることをちゃんと話せなかったのです。子どものころも、決して目立つ存在ではなかったと思うし、根っから明るい性格ではなかったかもしれませんが、物凄く真っ直ぐて真面目で、何事に対しても一生懸命、誠意を持って取り組める青年です。演じていてわかるのですが、誰よりも人に対する愛情の深さがある人だと思います。
八郎は、いろいろなことに共感してくれる喜美子にすごくひかれます。彼女は絵付けをやっていて、僕は陶芸家を目指し陶工として働いていて、職種は違うのですが、八郎が「陶芸を通してこういうことを伝えたい」「陶芸家になってこういうことがしたい」と話すと、「そうなんや」「八郎さんはそう思ってるんやね」とすごく共感してくれます。

●現場の印象
戸田恵梨香さんについては、「こんなに頭のいい女優さんはいない、本当にかなわないな」と思います。お芝居をちゃんと理論立てて、物事を整理する力があるのですが、最終的には感情を軸として動くことのできる人です。多くの映像のお仕事を続けてきたからこその瞬発力だと思います。僕はずっと舞台をやってきて、一ヶ月間を通して戯曲を読みとっていくという「脳」なんですが、戸田さんはこの瞬間どうするのかという前後のことも考えながら動ける方だと思うんです。さらに僕はどちらかといえば気持ちで進むタイプなんですが、戸田さんは冷静に理論立てて物事を進められる方です。そんな自分にないものを常に戸田さんに補ってもらいながら演じています。でもたまに戸田さんがうまくいかないとき、僕が動きを変えてみたりすると、またそれに対して感情を伴った動きを返してくれたりもして。そうやっていいコミュニケーションをとりつつ演じられるのは、やりやすくてありがたいです。

●吹き替えなしの作陶について
陶芸は、高校時代に少しだけ体験したことがあります。当時、僕は美術科にいたのですが、そこで何度か経験しました。でもはるか昔のことですし、ここまで本格的にやったことはないので、一から学ばなければと思って、ことしの4月ごろから徐々に撮影と並行して稽古をやらせていただいてます。ものすっごく楽しいですね! ただ実際やってみてよくわかったのは、すごい力仕事なんだとわかりました。大きな塊の重い粘土を一日何百回と練って、形を作って……という作業を朝から晩までやるわけですよね。これを女性の力でやり続けることがいかに大変なことか。肉体労働に近い、体力の必要な仕事です。特に「陶芸家」と違って「陶工」は商業ベースで一日100個単位のお皿を作らなければいけない。それで生計を立てているわけですから。本当にパワーがいる作業だと思いました。
それが楽しいと思えるのは、僕自身がものを作るのが好きだからだと思います。ゼロから何かを作り出して人に届けるという、この一連の作業をすべて自分一人で作っていくところに、演劇やドラマの仕事とはまた違った魅力を感じます。正解は自分の中にしかないと思うので、自分と向き合ってものを作っていく、自分の世界を一つのものに込めていく作業……それは絵を描くのも陶芸で器を作るのも一緒なんだなと思いました。だから難しいけれど、すごく楽しいです。気づいたら 4~5時間何も食べずに陶芸の稽古をしています。楽しいと言えるうちは、まだ本当の意味で陶芸の世界を知らないんだろうなとも思うんですけれど。やればやるほど難しいし、わかった時の喜びは実際にものを作っている人間にしかわからない喜びなので、それを少しでも感じられるのは幸せなことだと思います。

●視聴者へのメッセージ
僕が出演する、しないに関わらず「なんて面白い本(台本)なんだろう!」と家で一人で笑い転げながら読みました。脚本家の水橋先生は関西の方ではないと思いますが、この関西特有のテンポや、ボケ&ツッコミの応酬みたいなものが本当に楽しい! それは、僕が登場してからもたくさんありますし、朝から笑っていただけるシーンがいっぱいあると思うので、ぜひ堪能していただきたいと思います。たくさん笑って、たくさん泣いて、皆さまの朝を彩れるような作品にしたいと思っておりますので、ぜひ『スカーレット』をよろしくお願いします!

(リアルサウンド編集部)