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戸田恵梨香×松下洸平、純情過ぎる抱擁 『スカーレット』が描いた“思いを伝えること”

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 『スカーレット』(NHK総合)第10週「好きという気持ち」では、喜美子(戸田恵梨香)が八郎(松下洸平)に思いを伝える。

 2人の恋愛は朝ドラ史上屈指と言っても過言ではないほどに、初々しいものだ。「運命的な出会いをしたわけでも、劇的な瞬間があったわけでもなんでもない。気ぃ付いたら、自然と好きになってた」。八郎は陶芸との出会いを振り返るが、まさに喜美子との関係もこれにそのまま当てはまる。朝夕2時間の陶芸の練習の中で、徐々に仲を深めていく喜美子と八郎。それはまるで夫婦漫才のようであり、「川原さん」「十代田さん」の苗字呼びから頑なに踏み出せない、喜美子の「付き合ってください」を拒む、八郎の結婚に対する純白な決心による何とも不思議な関係性でもあった。

 信作(林遣都)が企てた、信楽総出の「お見合い大作戦」。「ハチ」「信作」と呼び合う仲に明らかな焼きもちを焼く喜美子は、このお見合い大作戦に初めから乗り気ではなかった。まだ自分の中に眠る八郎への思いに気づかずに。

 喜美子が八郎に思いを告げる大きなきっかけとなったのが、東京から帰郷してくる直子(桜庭ななみ)。彼女は、好きになった新人指導係の牛田に彼女がおり、自分は妹としか見られていないことに悩んでいた。喜美子、百合子(福田麻由子)を隣の部屋に追い出し、母・マツ(富田靖子)にだけ、胸の内を明かす。「直子は正直もんや。自分のことをよう分かっとる。自分の中の好きいう気持ちに気ぃ付いて、好きいう気持ちを大切にしたんやな」。マツの直子への言葉は、耳をそばだて聞いていた喜美子の心にも届いていた。

 草間(佐藤隆太)の「好きな人ができると世界が広がるよ」という言葉も後押ししてか、喜美子は焼き物の欠片を見せる約束を八郎と結ぶ。川原家にやってくる八郎。欠片を見つめ熱心に語る2人をマツが優しく見守る。ここで、八郎はお見合い大作戦へ。「ええ人に出会えたらええなと思ってます」という一言に、表情が沈む喜美子。「気ぃつけて」と送り出すが、居間に置かれた八郎のハンカチを見つけ、喜美子は家を出て行く。一人、微笑むマツ。

 「あんな……一回しか言わへん。お見合い大作戦行かんといてください! 行かんといて! 好きや!」。ポイントは「行かんといて!」と「好きや!」の間に、八郎の喋り出しがあり、それに喜美子による食い気味の「好きや!」が乗っかるところ。どんな言葉が返ってこようとも、八郎に思いを伝えたいという喜美子の、今にも溢れ出しそうな心情が読み取れる。これまでに喜美子は様々な恋愛を見てきた。結婚をしていても思いが離れてしまった草間、恋愛対象に見られず悔しい思いをした直子……そこに共通していたのは、好きという気持ちに正直になること。八郎から返ってきたのは、「僕はずっと離さへん」「抱き寄せてもええですか?」という正直な思いだった。

 「泣くわ! 好きやから!」とピュアな感情をさらけ出す喜美子を、優しく抱き寄せる八郎。第10週ハッピーエンド……とはならないのが『スカーレット』。閉店する大野雑貨店の在庫処分品を抱えた常治(北村一輝)がその光景を目撃という感動が一気に笑いに変わるところで、第11週へと続いていく。

 第11週「夢は一緒に」の予告では、「一緒に夢を見させてください!」と挨拶をする八郎の姿が。あらすじによると、大野雑貨店から喫茶店に改装する大野(マギー)と陽子(財前直見)からのコーヒー茶わんづくりの相談が鍵を握るようだ。

 喜美子と八郎の前に立ちはだかる常治の存在。八郎の夢、その2は「陶芸展に出品して賞を取りたい」、その3は「好きな人と結婚すること」だが、喜美子とともにその夢を叶えることはできるのだろうか。(渡辺彰浩)