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日本の前衛絵画の先駆者、坂田一男の画業を読み解く展覧会

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《キュビスム的人物像》1925年 岡山県立美術館

造形作家・近代美術史研究者の岡崎乾二郎が監修する『坂田一男 捲土重来 格納された世界のすべて、風景のすべて』が、東京ステーションギャラリーにて開幕。2020年1月26日(日)まで開催されている。

キュビスム以降の抽象絵画の展開を核心で理解し、その可能性を究極まで推しすすめた画家、坂田一男。同展は、これまで大きく紹介されることの少なかった坂田の画業の全貌を提示する初めての展覧会だ。

1889年に岡山県に生まれた坂田は、中学卒業後に絵の道を志し、第1次世界大戦終了後の1921年に渡仏。キュビスムの巨匠、フェルナン・レジェに師事して本格的に抽象画を学び、のちに助手を務めるまでになる。

フランス滞在中は複数のサロンの会員となり、国際展への参加や大規模なギャラリーでの個展を開催するなど一線で活躍。1933年に帰国すると岡山県にアトリエを構えて抽象絵画の制作に打ち込み、前衛美術集団「アヴァンギャルド岡山(A.G.O)」を主催するなど精力的な活動を続けた。

日本の抽象画家の先駆者として高く評価されたのは没後で、これまでブリヂストン美術館や、岡山県立美術館などで回顧展が開催されている。

同展は、そんな坂田を再評価する造形作家・近代美術史研究者の岡崎乾二郎氏が監修を務め、坂田の複雑な空間操作を解析すべく、坂田と同世代の画家や意外な作家たちを組み合わせて比較展示を試みる。

坂田の作品に加えて、彼が師事したフェルナン・レジェ、坂本繁二郎、ル・コルビュジエ、ジョルジオ・モランディ、ニコラ・ド・スタール、ジャスパー・ジョーンズなど、国内外の作家たちの作品約200点を紹介。20世紀絵画表現の問題群として各作品を読み解いていく。

また、坂田のアトリエは二度の大きな水害に見舞われ、多数の作品が破損、または損失の被害を受けたという。会場には、冠水のため剥がれ落ちた画面を修復・加筆を行った作品だけでなく、そうした被害の形跡を模すかのように創作に生かした作品も並ぶ。

展覧会のタイトルにもなっている「捲土重来(けんどちょうらい)」とは、一度失敗した者が再び力を盛り返すこと。歴史に埋もれてしまった坂田一男という画家を掘り起こす意味とともに、ひとたび受けた破壊を復活に転化させるような、驚くべき坂田の作品を目撃してほしい。

【開催情報】

『坂田一男 捲土重来 格納された世界のすべて、風景のすべて』 2020年1月26日(日)まで東京ステーションギャラリーにて開催

【関連リンク】東京ステーションギャラリー

※岡崎乾二郎の「崎」は「たつさき」が正式表記。

《コンポジション》1936年 個人蔵

《アンサン》1954年 個人蔵

《コンポジションA》1948年 個人蔵

《コンポジションのエスキース》制作年不詳 個人蔵

《コンポジション(メカニック・エレメント)》1955年 岡山県立美術館

《静物I》1934年 大原美術館

《静物II》1934年 大原美術館

《コンポジション》制作年不詳 個人蔵

《構成》1946年 宇フォーラム美術館

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