First placeが語る、がむしゃらな努力で掴んだ歌という“生きがい”「性別・世代を超えて愛されるグループになる」
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人気テレビアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマ「さだめ」で昨年夏にメジャーデビューを果たしたFirst place(ファーストプレイス)は、実力派ぞろいの男性ボーカルグループだ。2014年にKENTOとTAIHEIのデュオで活動を始め、のちにRYOMAとKAITOが加入して4人編成となるまでの数年間で多くのストリートライブを開催。そこで得た経験を生かした歌声を響かせて、幅広い層のリスナーを魅了している。11月13日に待望の2ndシングル『SNOW LIGHT』をリリースしたばかりの彼らに、「これまで」のこと、そして「これから」のことを率直に語ってもらった。(まつもとたくお)
ストリートライブをやってファンを増やすことだけで精一杯

ーー2014年7月に結成したとのことですが、KENTOさんとTAIHEIさんの出会いがきっかけだそうですね。
KENTO:当時通っていたボーカルスクールで知り合ったんです。半年に1回行われる発表会にふたりが参加していたんですが、TAIHEIの歌を聴いて「上手いな、かっこいいな」と思って。それで「よかったら今度カラオケしない?」と誘ったのがすべての始まりでした。それでカラオケ店に行って歌っていたら、ふたりの声が合うことに気付いて。じゃあ、今度一緒にライブに出てみようかという話になったんです。そのままデュオでやっていたら、いつの間にかずっと続いていた、それぐらいのノリだったよね。
TAIHEI:そうだね。最初はそういうラフな感じだったね。
ーーふたりで初めて参加したライブではどんな曲を歌っていたんですか?
KENTO:ZONEの「secret base ~君がくれたもの~」です。ふたりでハモりやすい歌だったので選びました。僕らのイメージになんとなく合っているような気がしましたし、夏のライブだったので、季節にも合うという理由です。それともう1曲、KinKi Kidsの「愛のかたまり」も歌いました。デュオ向けの曲だし、ハモリもしっかりあるということで。
ーー当時はプロのシンガーになろうという気持ちはあったのでしょうか。
KENTO:ひとりで歌っていたときに、プロのボーカリストとして活動したいというのは漠然とあったんですけれども、デュオになってからはとにかく人前で歌いたいだけでしたね。
ーーストリートライブをやりはじめたのもその頃でしょうか。
KENTO:はい。デュオでのライブに手応えを感じたので、本腰を入れてファンを増やさないといけないなと思うようになりました。最初の頃は知り合いに声をかけて来てもらっていましたから。

ーーストリートライブをやるたびにファンが増えていくという実感はありましたか?
TAIHEI:ストリートライブは原宿の竹下通り付近でやっていたんですけれども、若い人たちが集まる街ですから、そのときに流行っている曲をレパートリーにすれば人が集まってくると考えました。狙いは見事に的中してどんどんファンが増えていく中で、「もしかすると俺たちっていけるのかも」という、いかにも若造らしい自信(笑)を持つようになったんです。でもその思いが通じたのか、最終的には400人を収容できる原宿アストロホールで単独ライブをするほどのファンを獲得できました。実はRYOMAさんもこのライブにお客さんとして来ているんです。
ーーその時点でもまだプロでやっていこうとは思わなかったのですか?
KENTO:いやあ、どうだろう……。
TAIHEI:やっぱり若かったんですよね。毎日がむしゃらにストリートライブをやってファンを増やすことだけで精一杯でした。
最初に会ったときは結構ボロクソに言われた

ーーRYOMAさんがデュオ時代のFirst placeと知り合ったのは、一緒に参加したライブだったそうですね。RYOMAさんはどんな歌をステージで披露したんですか?
RYOMA:杏里さんの「オリビアを聴きながら」です。もともと昔の曲が大好きで歌番組をよく観ていたんですけれども、やっぱり昔の曲っていいなあと再認識して。スッキリとしたアレンジでメロディラインが浮かび上がるような感じのサウンドが好みですね。
ーー「オリビアを聴きながら」を歌っているRYOMAさんを、KENTOさんとTAIHEIさんは舞台袖で観ながら「すごい!」と思ったわけですか?
RYOMA:TAIHEI、お前どう思ってたの? 何にも思ってなかっただろ?
TAIHEI:たぶん自分の出番のことで頭が一杯で何にも考えてなかったと思う(笑)。
ーーでは、何を気に入って誘われたんでしょうか?
RYOMA:実はその次に開催したライブで、今度はKENTOと共演したんですよ。それで「また会ったね」と話しているうちに、同い年ということもあって意気投合して。連絡先を交換してやりとりしているうちにFirst placeのメンバーに誘われました。
TAIHEI:RYOMAさんは僕のことあまりいい印象がなかったみたいで、最初に会ったときは結構ボロクソに言われて。僕のこと全然評価してくれてなかったんです(笑)。
RYOMA:俺はひとりでやっていくと思ってたから、そんなことを言えたんだと思う。
KENTO:RYOMAは自信家なんです。
RYOMA:まあ、良くも悪くも(笑)。
ーー自らハードルを高くセットして勝負するタイプかもしれませんね。
RYOMA:まあ……そうなんですかね。難易度の高い「オリビアを聴きながら」をあえてセレクトするような人間なんで(笑)。
TAIHEI:だから最初はそんなに乗り気じゃないように見えたんですよ。でも気がついたら一緒にやっていたみたいな感じです。

ーーそして2017年にKAITOさんが加入しました。その直前まで組んでいたグループはどんな音楽スタイルだったのでしょうか?
KAITO:アコースティックデュオだったんですけれども、オリジナル曲を作り、僕はギターを弾いて相方はカホンを叩くという感じでした。相方は違うグループを兼任していたんですが、そっちのプロデビューが決まったというので、仕方なく解散することになったんです。ラストライブは対バン形式で、その相手がFirst place。それでライブ終了後に一緒に食事したとき、KENTO君に「解散するんだったら、うちに入る?」って言われたのがきっかけですね。
RYOMA:ちょうどこの日、TAIHEIがインフルエンザでライブをお休みしていて俺とKENTOだけが参加したんです。リハーサルでKAITOの歌を聴いて「めちゃくちゃいいじゃん。あいつをFirst placeに入れたら最高なんじゃない?」という話になり、それで終了後にKENTOが誘いました。
ーーとにかくこの声と合わせてみたいと思ったわけですね。
RYOMA:はい。自分たちとは違う声質で、すごくハスキーでいいなと思いました。
ーーKAITOさんは誘われたとき、どんな気持ちでしたか?
KAITO:解散した当日に誘われたので気持ちの整理がついていなかったですし、自分がこれからどうしていくか考えていなかったところに、急に新たな選択肢が出てきた、という感じです。だから正式な返事はけっこう待ってもらいましたね。
ひとりではできないカラーを作り出せる
ーーデビュー発表をした単独ライブは渋谷のduo MUSIC EXCHANGE(以下、duo)で開催しました。1000人ぐらい入るところですよね。プロになる前にこのサイズの会場で単独ライブができるのは本当にすごいことだと思います。
RYOMA:原宿アストロホールで単独ライブを終えたその足で予約しに行きました。勢いで(笑)。「たった今、アストロホールで単独ライブをやってきたんですけれども、duoでもやらせてもらえませんか」って突撃しました。そしたら窓口の方が「じゃあ、ちょっと話しましょう」と言ってくださって。
ーー何事も勢いが大切ですね。かっこいいです。
RYOMA:いえいえ(笑)。何も考えずにそのまま行ったのが正解だったのかも。
KENTO:出演者自ら会場へ行って、直接スタッフの方にお願いしたのが大きかったんでしょうね。そんな風にわざわざ来るアーティストってそもそもいない気がします(笑)。
KAITO:duoの方も「なんだ、この4人は?」っていう顔してましたもん(笑)。
TAIHEI:その後も頻繁にduoに行きました。チケットを手売りすることになり、チケットを受け取りに行ったり……。
ーーduoのチケットを手売りで売ったのもすごいことですね。
RYOMA:ありがたいことにストリートライブで完売しました。
ーーduoのライブで「ビーイングに所属」と「メジャーデビュー」が発表されたと聞いています。
RYOMA:ビーイングに所属すると決まったとき、「早くメジャーデビューしたい」と事務所にお願いしていたんですが、まさか「デビュー決定」も発表されるとは思わなかったです。
TAIHEI:メンバー全員泣きましたね。
ーー所属事務所の方は、みなさんのストリートライブを観て気に入って契約したんでしょうか?
RYOMA:原宿アストロホールでのライブを観てくれたようです。終了後、会場のスタッフさん経由で事務所の方の名刺をいただき、そこに書いてある電話番号にKENTOがすぐ連絡しなかったら、今の自分たちはなかったと思います。
ーーそれではこのあたりで、11月に出したシングル『SNOW LIGHT』について教えてください。クリスマスシーズンにふさわしいナンバーですが、仕上がりには満足していますか?
KAITO:それぞれが役割を果たしたという感じはありますね。TAIHEI君の声はキャッチーでわかりやすくて力強い。KENTO君は優しいハイトーンだけど低音もよく響く。KENTO君と僕の声を合わせると化学反応というか、ひとりではできないカラーを作り出せるんです。「SNOW LIGHT」でも一緒に歌った2番のAメロがそんな風に仕上がっているんじゃないかと思います。
ーー音を長く伸ばすところが多い曲なので、歌うのが大変そうですが、実際レコーディングしてみて、そのあたりはどうでしたか?
KENTO:出だしが特に大変ですね。キーもまあまあ高いし、あまり息を吸うところがない。
TAIHEI:シンプルなのにむずかしい……。
ーーテクニックや表現力が試されるメロディラインだと思いました。
TAIHEI:本当そうだと思います。
ーーRYOMAさんはこういう曲は得意なんじゃないですか?
RYOMA:個人的にはこういうタイプのクリスマスソングが好きですね。確かにそこまで苦にはならなかったですね。この曲をどういう風に表現しようかというとまどいはレコーディングのときに若干ありましたけど。
4人のボーカルスタイルがそれぞれ違うことが「武器」
ーー『SNOW LIGHT』のリリースイベントで全国各地に行ったそうですね。中でも多くの人が行き来する施設でのイベントは最初のつかみが大切だと思いますが、そのあたりは進行していて意識しますか?
TAIHEI:自分たちのことを知らない人たちを振り向かせるテクニックは、ストリートライブを通じてある程度身に付けたと思います。本番が始まる前になるべく時間を多めにとってチラシを配ったりとか、誰もが知っているような曲を歌って歩いている人の関心を引き付け、しかるべきタイミングでオリジナル曲をやったりとか……。
ーーメンバー自らチラシ配りをしているんですか?
RYOMA:はい。そのほうが受け取ってくれるし、観た人の印象にも残るので、可能な限りやりたいと思っています。
ーー2ndシングルを出した今、First placeの次の目標は何でしょうか?
TAIHEI:僕は日頃から歌詞をストレートに届けることを大切にしているんです。疲れているときって、フェイクを多用する曲は意外と聴けないじゃないですか。でもそういう状態であっても、心の中にすっと入っていくような音楽を作れたらいいなと思っています。グループとしてはもちろん、個人的な目標でもありますね。
KAITO:わかりやすい歌、聴きやすい歌を目指すというのは、メンバー4人の共通認識だと思っています。その方向性をもっと追求していけば、自分たちの立ち位置をしっかり作れるんじゃないかと思っています。
TAIHEI:4人のボーカルスタイルがそれぞれ違うことが「武器」になっているし、初めて聴いた人が「この人、こんな声を出すんだ」と驚くほど見た目とのギャップがあるグループなので、来年はそのあたりをもっとアピールできればいいかなと思います。4人が生み出すムードも独特で、なんかふわっとしているというか、とげがない。それが曲でも出せるようにしたいです。
ーーみなさんにとってFirst placeとはどんな存在なのでしょうか?
KAITO:居心地がいい場所、ですかね。無理することもなく居られるという意味で。
TAIHEI:んー、なんだろうな……。ホームですね。帰る場所。必ず戻って来られる場所があるというのは安心します。
RYOMA:青春時代の延長です。今もまだ続いている感じがします。
KENTO:生きがいです。
ーー最後にグループならではの魅力をアピールしていただけますか?
RYOMA:ストリートライブ時代からファンのみなさんと育んできた「距離感」です。ショッピングモールなどでライブをしたときに家族連れの方が足を止めて聴いてくれるっていうのは、きっと程よい距離感、親しみやすさがあるからでしょう。それは僕たちのようなボーカルグループにとっては大きなセールスポイントです。これからも性別・世代を超えて愛されるグループになるべく努力したいと思っています。
(取材・文=まつもとたくお/写真=林直幸)
■リリース情報
『SNOW LIGHT』
発売中
初回限定盤A(CD+DVD)
¥1,636(税別)
<収録楽曲>
1. SNOW LIGHT
2. 帰り道
< 特典DVD >
「SNOW LIGHT」Music Video+Making
初回限定盤B(CD+DVD)
¥2,091(税別)
<収録楽曲>
1. SNOW LIGHT
2. 帰り道
<特典DVD>
「1周年記念!First placeの夏休み2019」
デビュー1周年を迎えたメンバーに夏休みをサプライズプレゼント! 4人で駆け抜けた日々を振り返る懐かしトークから今後の目標まで、ここでしか聞けないマル秘対談をお届けします。さらに、メンバーの絆をより深めるべく様々な企画にも挑戦!!
通常盤(CDのみ)
¥1,182(税別)
<収録楽曲>
1. SNOW LIGHT
2. 帰り道
3. 証明-アカシ-