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『シン・ウルトラマン』デザイン公開 成田亨案をもとにカラータイマーなし

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CINRA.NET

©2021「シン・ウルトラマン」製作委員会

2021年公開の映画『シン・ウルトラマン』から、「ウルトラマン」のデザインとタイトルロゴが公開された。

『シン・ゴジラ』の庵野秀明と樋口真嗣がそれぞれ企画・脚本、監督を務める同作。1966年放送の『ウルトラマン』の企画発想、原点に立ち返りながら、現代社会を舞台に「未だ誰も見たことのないウルトラマン」が存在する世界の体験を目指すという。主人公の「ウルトラマンになる男」役に斎藤工、その相棒役に長澤まさみがキャスティング。加えて西島秀俊、有岡大貴、早見あかり、山本耕史らが共演に名を連ねる。

デザインとロゴは12月14日、15日に東京・水道橋の東京ドームシティで開催された『TSUBURAYA CONVENTION 2019』のオープニングセレモニーで発表された。「ウルトラマン」のデザインは、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などの作品で「ウルトラマン」をはじめとするキャラクターや怪獣、メカ、防衛隊のコスチューム、基地のセットのデザインを担当した成田亨が、1983年に描いた絵画『真実と正義と美の化身』をコンセプトとしている。

庵野秀明は「ウルトラマン」のデザインにあたり「現在のCGでしか描けない、成田氏が望んでいたテイストの再現を目指す」として、『真実と正義と美の化身』など成田亨による「ウルトラマン」のイメージをもとに再構成した体表のラインや、佐々木明制作のマスク、古谷敏の体型データをベースとした体躯を取り入れ、眼の部分に覗き穴を入れない、スーツ着脱用ファスナーに伴う背鰭を付けない、カラータイマーを付けないなどの作業を行なったという。主演の斎藤工はウルトラマンのデザインについて、「ずっと見ていられる美しさがありますね。すごく自然な生命体な気がします」とコメントしている。

『TSUBURAYA CONVENTION 2019』のオープニングセレモニーでは、「ウルトラマン」のデザインの雛形も公開された。

樋口真嗣監督のコメント

『ウルトラマン』との思い出
『ウルトラマン』は物心ついた時から浴びるように観て育ちました。自分にとって心の一部です。
『シン・ウルトラマン』撮影現場の雰囲気
色んなキャストの方と、世代を超えた仲で「ウルトラマン」を通じて良いチームになりました。撮影は楽しく、撮影が終わっても、いつまでも気分に浸っていたいです。
『シン・ウルトラマン』の「ウルトラマン」デザインの感想
かつて自分で「ウルトラマン」をやってしまう程、「ウルトラマン」が好きな庵野秀明の想いを結晶させたいというのが我々の仕事です。庵野が望んでいる、どういうのが好きなのか、どういう「ウルトラマン」を見たいのか、作りたいのか、という事を徹底的に集めてこの形になりました。
成田亨さんと佐々木明さんが最初に作られた彫刻の複製をよく見ると、左右非対称になっていて、それがものすごく人間的なものを感じて、「これは人の手が作った素晴らしいものなんだ」「一番最初に作られたものにもう一度戻りたい」そんなところから全てが始まりました。
メッセージ
今日お見せできたのはごく一部で、これからまだまだやらなければならない事がいっぱいあります。2021年に向けて完成させるべく、頑張っていきたいと思います。ご期待ください。

斎藤工のコメント

「ウルトラマン」との思い出
父が『ウルトラマンタロウ』の現場で働いていた影響もあって、「ウルトラマン」や怪獣の人形が唯一の遊び道具でした。
『シン・ウルトラマン』の出演オファーを受けた時の感想
“ウルトラマンになる男”に選ばれた時は、まさか自分が本当に変身する、という人生とは思っていなかったので夢の様でした。物語の内容はまだお話しできませんが、「だから僕がやるんだ」という理由がそこに書かれていた気がしたという不思議な体験をしました。
『シン・ウルトラマン』の「ウルトラマン」デザインの感想
ずっと見ていられる美しさがありますね。すごく自然な生命体な気がします。
メッセージ
「令和の子供たち」だけではなく、「令和の大人たち」にも必要な作品が生まれようとしています。オリンピック後の東京が、日本が、どうなっていくのか真価が問われる時代がやってくると思います。その時代に必要な作品が生まれると、心から期待しております。皆さん是非2021年を楽しみにお待ちください。

庵野秀明のコメント

『シン・ウルトラマン』の「ウルトラマン」について
成田亨氏の描いた『真実と正義と美の化身』を観た瞬間に感じた「この美しさを何とか映像に出来ないか」という想いが、今作のデザインコンセプトの原点でした。

我々が『ウルトラマン』というエポックな作品を今一度現代で描く際に、ウルトラマン自身の姿をどう描くのか。その問題の答えは、自ずと決まっていました。
それは、成田亨氏の目指した本来の姿を描く。現在のCGでしか描けない、成田氏が望んでいたテイストの再現を目指す事です。世界観を現代に再構築する事は挑戦出来てもあの姿を改める必要を感じ得ず、成田亨・佐々木明両氏の創作したオリジナルへの回帰しか、我々の求めるデザインコンセプトを見出せませんでした。

その為に―――

『真実と正義と美の化身』と成田氏が当時から後年にかけて描いていた様々なウルトラマンのイメージを踏襲し融合し再構成させた新たな体表のライン。
成田氏が監修した、佐々木明氏制作によるマスク。
成田氏が望んだ、古谷敏氏の体型データをベースとした体躯。
成田氏が望まなかった、眼の部分に覗き穴を入れない。
成田氏が望まなかった、スーツ着脱用ファスナーに伴う背鰭を付けない。
そして、成田氏が望まなかった、カラータイマーを付けない。

と、いう作業を行った結果が今回のデザインです。
ウルトラマンの美しさに、少しでも近づきたいという願いから生まれた姿です。

この想いが、わずかでも観客の皆様に伝わる事が出来れば、幸いです。

企画・脚本 庵野秀明

成田浬のコメント

「シン・ウルトラマン」のデザイン発表に寄せて
昨年の初春、母と私のもとへ庵野秀明さんが来訪され「『真実と正義と美の化身』を映画にしたい」と仰っていただいた時のことは忘れません。耳を疑うほどに嬉しかったのです。

父、成田亨は、自身が試行錯誤しながら生み出した「ウルトラマン」を、生涯を通して深く愛し、誇りに思っておりました。

同時に、その「ウルトラマン」を生み出した自身の名前がクレジットから消され、デザインが変質され、商業的に利用され続ける人間社会に深い悲しみと絶望を抱いておりました。その心を正直に発した事で、誤解や誹謗中傷も受けました。

父は悲しみが癒されることなく2002年に他界しましたが、その背中を通して多くを感じながら育てられた私は、父を誇りに思い、時に哀れに思い、そして心から尊敬しています。

生前の父の言葉を思い出します。「本物は残る、本物であれ」

『真実と正義と美の化身』は、芸術家として生きた当時の父の全てが注ぎ込まれた油彩画です。その絵画が、当時まだ子どもとしてウルトラマンを見ておられた庵野さんの感性に50年以上の時を経て触れ、才能を発揮し続ける庵野さんの稀有な感性と交わり、「シン・ウルトラマン」としてどの様な姿でスクリーンに蘇るのか、期待に胸が膨れ、熱くなっております。

昭和の子どもが心踊らせた「ウルトラマン」が、令和の子どもたちに「シン・ウルトラマン」として蘇る。子ども達の心に残る忘れられない映画の誕生を心待ちにしております。

成田浬

円谷プロダクションのコメント

『シン・ウルトラマン』の「ウルトラマン」について
初めて庵野秀明氏と『シン・ウルトラマン』の企画の話をした時から、庵野氏にはある想いがありました。それは、成田亨氏の描いた『真実と正義と美の化身』を今作のデザインコンセプトにしたいということ。

成田氏の描かれたデザインは現在まで続く「ウルトラマン」の原点であり、私たちは庵野氏の「ウルトラマンの美しさに少しでも近づきたい」という想いに全面的に賛成しました。私が初めて成田浬氏とお会いしたのは2018年春でした。それ以来、亨氏の偉業について、そしてご苦労についてお伺いすることができました。その上で、この機会に改めて成田氏の円谷プロダクションでの仕事と功績に対して惜しみない賛辞をお贈りしたいと思います。

今作をご覧になる多くの方が最高にして美しい「ウルトラマン」を目撃します。どうぞご期待ください。

株式会社 円谷プロダクション 代表取締役会長兼CEO 塚越隆行