Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > H ZETTRIOの自由なインストはどんな発想から生まれたか?──H ZETT Mにキャリア含めて訊く

H ZETTRIOの自由なインストはどんな発想から生まれたか?──H ZETT Mにキャリア含めて訊く

音楽

ニュース

リアルサウンド

 決してPE’Zのヒイズミマサユ機ではないH ZETT M(ピアノ)のソロから派生したトリオ・バンド、H ZETTRIO──H ZETT Mに加え、決してPE’ZのNireharaではないH ZETT NIRE(ベース)と、決してPE’Zの航ではないH ZETT KOUの3人からなるこのインスト・バンドが、セカンドアルバム『Beautiful Flight』を11月4日にリリースした。ジャズという前提にもポップスという形式にもロックという様式美にも縛られない、軽やかで、自由で、アバンギャルドなのにとても間口が広くて楽しさに満ちた、このピアノ主体のインストゥルメンタルは、どのような発想と技術から生まれてくるものなのか。なお、すでに知られているように、PE’Zは12月19日・東京・昭和女子大学人見記念講堂でのワンマンをもって解散する。その事実が彼らの音楽に与える影響まで含めて、H ZETT Mに訊いた。

20151105-hzt4.jpg

 

「バンドでスペインサッカーみたいなことをやりたい」

──このタイミングでアルバムを出そうと思われた理由を教えていただけますか。

H ZETT M:H ZETTRIOという3人の活動が勢いに乗ってきているという、その流れでのことですね。曲を作って、レコーディングして、配信して、という連続の流れですね。

──個人としては、あちこちですごいミュージシャンと一緒にやってきた経験があるじゃないですか。それでもこのメンバーふたりというのは特別なものがあります?

H ZETT M:そうですね。やりやすさは格別というか。一応設定としては別人みたいな感じになってるんですけども(笑)、ずっと一緒にやってきたというのが、阿吽の呼吸を生み出すのかな、という。サッカーで言うパス回しが速くできるみたいな、その点においてやりやすいというか。バンドでスペインサッカーみたいなことをやりたいというか、パス回しをして、相手を翻弄して、「ハアッ!」みたいなのがやりたいというか。

──H ZETT Mさんって、バンド外の仕事も多いじゃないですか。ああいう時ってわりと指定されるものですか? それとも、おまかせの方が多いですか?

H ZETT M:おまかせが多いです。「曲のここの箇所で暴れてください」っていうのがいちばん多いですね。「まじめに弾いてください」っていう人はあんまりいないですね(笑)。

20151105-hzt6.jpg

 

「中1の時、一回挫折したんですよ」

──そういう、「暴れてください」って言われるような、H ZETT Mさんの今のスタイルは、どういう過程でできていったものなんでしょう。子供の時はちゃんと弾いてたでしょ?

H ZETT M:ちゃんと弾いてましたね。レッスンもみっちりやってましたね。それが習慣になっていて。今やれているのは、その時の貯金のおかげだと思うんですけど。

──その貯金は何年くらい貯めたんですか?

H ZETT M:小学校に入ってから、中学を卒業するくらいまでですかね。で、曲はその最初の頃、5,6歳くらいから作っていて。最初は五線譜に適当に丸をつけて弾いてたんですけど、ここに書くとこの音になるというのをだんだん知って、そこをめがけて書くようになって。で、先生に見せて直してもらって、また作って……っていうので、だんだん曲らしくなっていって。それを貯めていくという。

──それは人に聴かせたりは?

H ZETT M:ピアノの発表会があるたびに弾いてましたね。

──へえー。そんな小学生いないでしょ。

H ZETT M:いや、オリジナルやる子はちらほらいたんです。そんなに多くはなかったかもしれませんけど。

──それが中学になるとどうなるんですか。

H ZETT M:そのピアノで弾くインスト曲がちょっと難解になってきて。ジャズとか聴くようになってきたので、それが入ってきて。エレクトーンも弾くようになっていたので、エレクトーンで曲を作ってましたね。最初にエレクトーンで作ったのは、ピアノの延長で、ゆるいポップスみたいな曲なんですけど。中1の時、それでコンクールに出たら、ほかの人たちのレベルがものすごく高くてですね、一回挫折したんですよ。ジャズをバリバリ弾くとか、速弾きの人が多かったんです。人にすごいと思わせなければ、コンクールも勝ち上がれないし注目されない、と思って、次の年に速弾きの曲を作ったんですよ。プログレッシブなフュージョンみたいなのに、ちょっとチック・コリアも入ってくるような。そういうわけのわかんない感を意識したのが、中2ですね。

──それでコンクールは?

H ZETT M:勝ち上がりました(笑)。全国大会まで行って。

20151105-hzt5.jpg

 

「PE’Zが始まった頃には、弾きまくるのに飽きていた」

──その経験は、今のプレイスタイルの原点になっています?

H ZETT M:なってますね。弾きまくって勝ち上がったので「ああ、これがいいとされるんだな」と思って。で、高校になってバンドを始めるんです。フュージョンっぽいのをやって、弾きまくっていたんですけど。そのバンドがなくなりまして。その次にPE’Zが始まるんですけど、その頃にはちょっとひねくれて、もう弾きまくるのに飽きていて。それでPE’Zが始まった当初、アナログシンセを持ってステージでフラフラしているみたいなのを始めたんですよ。そこで一回、弾くのをやめた……ではないんですけど、プレーヤーというよりも、なんか、ヘンな人がいるっていうふうに見られたいっていうのが、そこで生まれたんです。

──それはなぜでしょうね。

H ZETT M:弾くのってなんか普通だな、普通がつまんないな、って感じたんですね。ヘンな人がいるっていうふうに見られたほうがおいしいというか、おもしろいんじゃないかと思って。プレイよりも作曲のほうが好き、というのがありまして、曲としておもしろいほうがうれしいという。で、PE’Zって怖いもの知らずみたいなバンドで、曲がよければいい、ワッと行ってくれればいい、っていうバンドだったんで、最初の何年間かはそれが続いたっていう感じがありましたね。

──PE’Zの前のバンドで、テクニック的にはやり尽くしちゃった感じがありました?

H ZETT M:っていうとかっこよすぎますけど、でもそうかもしんないですね。PE’Zの初期頃は、弾くよりもヘンなことしてた方が……声をワッて出したりしてた方が、「なんだ!?」ってなるかな、って。

──H ZETT Mさんを最初に観た時の衝撃って、ジャンルとしてはジャズなのに、楽器がちっこいシンセ1台だけっていう(笑)。

H ZETT M:KORGのX5D、あれが当時いちばん軽いキーボードだったんですよ。移動が大変なので、重いキーボードだと。めんどくさいな、ラクな方がいいなと。

──いっぱい置くのはイヤだった?

H ZETT M:イヤでしたね。キーボーディストっぽいのがイヤでした。ただ音が出ればいいかな、と。この少ない鍵盤数でおいしいとこを弾こう、っていう意識はありました。

20151105-hzt7.jpg

 

「本当に自由にやっているので、その自由さが伝わればいい」

──その次に転機はありました?

H ZETT M:PE’Zをやりだして……あ、別人なんですけど(笑)、勢いだけで行っていたのが、年齢を重ねてくると、「それだけでいいのか?」っていうふうになってきて。そうすると、ちゃんと弾こうかなという気持ちも表れてくるというか。最近は、ちゃんと弾こうっていう意識は強くなっていますね。ただ、それは、小学校の頃に戻ったっていうわけではなくて。なんかこう、弾いて、弾いて、弾かなくなって……弾かなくなった時期も、ムダではなかったなとは思ってるんですよ。ただ弾くだけではおもしろくないな、というのがあって。ごちゃまぜにして、ちゃんと弾いてるんだけど弾いてないように見せるとか、弾いてないけど弾いてるように見せるとか……そういうミックス・スタイルというか。わけわかんない感じで、そこから新しいものが生まれるとおもしろいのかな、という。最近は、それにトライしている感じですね。

──で、今年2015年でPE’Zは解散ですよね、別人ですけど(笑)。H ZETT Mさんはそれを提案された側だったわけですか?

H ZETT M:はい。5人もいると、やっぱりいろんな気持ちがありますので。いろんな主張があって……まあ、あの……「なるほど、そうきたか」という感じですかね。メンバーそれぞれが年齢を重ねてきて、いろんな経験をして、いろんな思いが生まれて……だから、さびしい気持ちはありますけども、「それはなしだろ!」とは一概には言えなかった、というのはありますね。

──PE’Zがなくなる、H ZETTRIOが自分のメインになる、ということは、曲や演奏にも影響を与えました?

H ZETT M:まあ基本的に、曲を作るのが好きで、楽しい曲、いいなあと思ってくれる曲を作りたいなっていうのが、前々からあるんですけど。トリオになって、メンバー3人がどんどんはっちゃけるようになって、もっと楽しく笑顔になれるようなものを作りたい、っていうのが強くなっていますね。「うおっ!」って熱くなるようなものを作りたい、っていう熱さプラスハッピー感みたいなのは、年を重ねるごとに追加されているのかな、っていうのはありますね。

 自分が音楽をやる意味を考えると……楽しさが生まれて、それを誰かがいいって思ってくれると、どっかで化学反応が起こるんじゃないかな、という、そういう希望はありますね。1日落ち込んでたのに、その音楽を聴いただけでちょっと救われたとか。で、それが連鎖していくとか。自分にそれができるとうれしいですね。本当に自由にやっているので、その自由さが伝わればいいなっていうのはありますけど。本当に自由に解釈してもらってですね、気持ちがフワッと軽くなったりしてもらえればうれしいな、と思います。

(取材・文=兵庫慎司/撮影=金子山)

20151105-hzt8.jpg

 

■リリース情報
『Beautiful Flight”EXCITING FLIGHT盤”』
発売:11月4日(水)
価格:¥3,000(tax out)
<収録曲>
1.プロローグ
2.Beautiful Flight
3.Trio,Trio,Trio!!!
4.Everything
5.Something Special (Beautiful Mix)
6.Neo Japanesque
7.あしたのワルツ
8.MESHI
9.Get Happy! (Beautiful Mix)
10.Wow Wow Wow
11.あの夏のオリエンタル
12.Smile
13.Happy Saturday Night(Bonus Track)

『Beautiful Flight”DYNAMIC FLIGHT盤”』
発売:11月4日(水)
価格:¥3,000(tax out)
<収録曲>
1.プロローグ
2.Beautiful Flight
3.Trio,Trio,Trio!!!
4.Everything
5.Something Special (Beautiful Mix)
6.Neo Japanesque
7.あしたのワルツ
8.MESHI
9.Get Happy! (Beautiful Mix)
10.Wow Wow Wow
11.あの夏のオリエンタル
12.Smile
13.Beautiful Flight(2015.6.25 MUZA Kawasaki Symphony Hall)

■ライブ情報
『Beautiful Flight Night -完全なる試聴-』
11月4日(水)
場所:Billboard Live OSAKA
1st Show: OPEN 17:30 / START 18:30
2nd Show: OPEN 20:30 / START 21:30
チケット料金:カジュアルシート ¥4,900
(税込、指定席、1ドリンク付き)
サービスシート ¥6,400
(税込、指定席料および飲食代別)
お問合せ先:Billboard Live OSAKA Tel 06-6342-7722
※未就学児の入場不可

『Dancing!!! TOUR』
価格:前売 ¥5,000 / 当日¥5,500
チケット発売中

12月22日(火)北海道KRAPS HALL
OPEN 18:30 / START 19:30
Mount Alive 011-623-5555
www.mountalive.com

12月26日(土) 福岡ROOMS
OPEN 16:30 / START 17:30
BEA 092-712-4221
www.bea-net.com

12月28日(月) 京都MUSE
OPEN 18:30 / START 19:30
SMASH WEST 06-6535-5569
www.smashwest.com

12月30日(水) 下北沢GARDEN
OPEN 18:30 / START 19:30
shimokitazawa GARDEN
03-3410-3431
www.gar-den.in

■関連リンク
Website:hzettrio.info
Facebook:www.facebook.com/hzettmofficial
Twitter:twitter.com/H_ZETT_M