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ぴあ 総合TOP > <ハロプロ>20年間からベスト100曲を選出 独断だが偏見ではない楽曲レビュー(後編)

<ハロプロ>20年間からベスト100曲を選出 独断だが偏見ではない楽曲レビュー(後編)

音楽

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リアルサウンド

昨年夏のハロプロコンサートの模様を収録した『Hello! Project 2017 SUMMER 〜HELLO! MEETING・HELLO! GATHERING〜』(hachama)

 今年2018年で20周年を迎えたハロー!プロジェクト。その20年間の全楽曲数2555曲(バージョン違い等を除くと1509曲)の中から100曲を厳選レビューしていく本企画、前編(https://realsound.jp/2017/12/post-136791.html)ではモーニング娘。「モーニングコーヒー」(1998年)から安倍なつみ「息を重ねましょう」(2007年)までの50曲を紹介した。後編では残り50曲をレビューする。

■051 恋愛♥ライダー/Buono!
作詞:岩里祐穂 作曲:AKIRASTAR 編曲:西川進
収録盤:Buono!『恋愛♥ライダー』(2008年2月6日発売)

恋愛♥ライダー/Buono!

 Berryz工房の嗣永桃子と夏焼雅、℃-uteの鈴木愛理のトリオ。TVアニメ『しゅごキャラ!』主題歌を歌うユニットとして結成され、つんく♂以外の作家が手がける楽曲はロック色が強く打ち出されていて新鮮だった。デビュー曲「ホントのじぶん」や5thシングル「ロッタラ ロッタラ」もいいが、やはり初期Buono!の代表曲といえばこの2ndシングルではないだろうか。スマートなロックサウンドでありつつ、唐突にハワイアンが挿入されるなどの遊び心もいいスパイス。

■052 星の羊たち/Buono!
作詞:橋本淳 作曲:筒美京平 編曲:SHUNTARO
収録盤:Buono!『Café Buono!』(2008年2月20日発売)

 1stアルバム『Café Buono!』は〈小さなステージでもあたしたちにはブドーカン〉という歌詞の「ロックの神様」、テクノポップのパロディ的な「Internet Cupid」など良曲が詰まった一作だったが、本曲では橋本淳&筒美京平という歌謡曲界のレジェンド作家が突如楽曲提供したのが驚きだった。様々な解釈を許容する深みのある歌詞世界はさすがの一言。ハロプロメンバーが筒美京平楽曲を歌うという記念碑的な一曲となった。

■053 リゾナント ブルー/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木Daichi秀行
収録盤:モーニング娘。『リゾナント ブルー』(2008年4月16日発売)

リゾナント ブルー/モーニング娘。

 モーニング娘。の2007年6月〜2010年12月までの期間は、メンバー変動の少なさ(まっさらの新人が入ってこない)によるパフォーマンス力の向上、大人っぽい楽曲が比較的多く続いたことなどにより、アルバム『プラチナ 9 DISC』になぞらえて「プラチナ期」と呼ばれることが多い。その時期の代表的なシングルが本曲だろう。メインMVがダンスシーンのみで構成されていることからも、その実力の自負がうかがえる。

■054 C\C (シンデレラ\コンプレックス)/High-King
作詞・作曲:つんく 編曲:AKIRA
収録盤:High-King『C\C (シンデレラ\コンプレックス)』(2008年6月11日発売)

 娘。と宝塚のコラボ演劇『シンデレラ the ミュージカル』応援ユニットがHigh-King。娘。を含む各グループからリーダーを中心に選抜された5人組で、シャッフルユニットの一種ともいえる。当時まだスマイレージ結成前の前田憂佳が抜擢されているのがポイント。レゲトン色濃いトラック、サビではヴォーギング風の振り付けといった癖の強い楽曲を見事にパフォーマンスしている。カップリング曲「記憶の迷路」も情緒的な展開のユーロビート曲で人気が高い。

■055 マノピアノ/真野恵里菜
作詞・作曲:KAN 編曲:たいせい
収録盤:真野恵里菜『マノピアノ』(2008年6月29日発売)

 松浦亜弥以来久々のハロプロ大型新人ソロアイドル、真野ちゃんのインディーズ1stシングル。幼稚園〜中3まで習っていたというピアノを弾き語りながら歌う清楚な一曲。歌唱力の高さではなく成長していく過程を楽しむことがアイドルポップスの愛で方のひとつだとするなら、本曲もその伝統に則っているといえる。初期真野楽曲は三浦徳子作詞/KAN作曲/たいせい編曲という編成が多く、Buono!と同じく非つんく♂ワークスによる新鮮さがあった。

■056 行け 行け モンキーダンス/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:Berryz工房『行け 行け モンキーダンス』(2008年7月9日発売)

行け 行け モンキーダンス/Berryz工房

 ディスコ有名曲「ジンギスカン」のカバーをシングルリリースしたのが2008年春。そして同年夏にはその路線を継承しつつ今度はつんく♂オリジナルソングとして本曲が提出された。サウンドも無国籍風の怪しい感じだが、MVで着用された猿の着ぐるみもインパクト大だった。このあたりからBerryz工房の「本気でふざける」というコンセプトが芽生え、後年にタイポップスカバー「cha cha SING」として結実する。

■057 はぴ☆はぴ サンデー!/月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)
作詞・作曲・編曲:前山田健一
収録盤:月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)『はぴ☆はぴ サンデー!』(2009年2月4日発売)

 2006年、アイドルアニメ『きらりん☆レボリューション』の主役声優に抜擢されたのが、当時娘。加入直後の久住小春だった。キャラクター「月島きらり」とシンクロする形で番組主題歌を放送3年間の間に多数リリースし、本曲はそのラストシングル。ももいろクローバー「行くぜっ! 怪盗少女」でブレイクする前の前山田健一が楽曲提供しており、初デート前の心情を歌った可愛らしい曲調。曲中で歌衣装が可変するギミックも楽しい。

■058 雨の降らない星では愛せないだろう?/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 中文詞:鄭昭仁 編曲:大久保薫・湯浅公一
収録盤:モーニング娘。『プラチナ 9 DISC』(2009年3月18日発売)

 前述のとおり「プラチナ期」の由来となったアルバム『プラチナ 9 DISC』には、アッパーな「SONGS」、光井愛佳ソロによるライブ鉄板曲「私の魅力に 気付かない鈍感な人」など良曲が詰まっているが、本曲は感動的なバラードソング。この頃のハロプロはアジア展開にも目を向けていて、中国出身のジュンジュンとリンリンが娘。に加入したのもその一貫と思われるが、曲後半ではその二人による中文詞のソロパートがあるのが大きな特徴。

■059 ライバル/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:Berryz工房『青春バスガイド / ライバル』(2009年6月3日発売)

ライバル/Berryz工房

 20枚目の両A面シングルの片一方に収録されていた一曲。〈ライバルは 弱気で後ろ向きな私〉という歌詞が印象的な、激しすぎずあくまで爽やかなポップロックチューン。MVではダンボールで作られた小道具が可愛らしく、ライブでは曲終盤にシンガロングパートが足されるなど、ファンにも人気のあった楽曲だ。Berryz工房のキャリア中、前期の代表曲が「スッペシャル ジェネレ〜ション」なら、中期のそれは本曲と捉えることもできるだろう。

■060 ぁまのじゃく/S/mileage
作詞・作曲:つんく 編曲:藤澤慶昌
収録盤:S/mileage『ぁまのじゃく』(2009年6月7日発売)

ぁまのじゃく/S/mileage

 2009年当時のハロプロエッグから和田彩花・前田憂佳・福田花音・小川紗季の4人が選ばれて結成されたのがスマイレージ(当初の表記はS/mileage)。本曲はインディーズ1stシングルで、ミディアムテンポの淡くまぶしい曲調。同級生の男の子を〈君のことなど興味ない〉と突っぱねながら、最後の数行でその理由がわかるという作詞術が優れている。ハロプロの各グループのデビュー曲は特に良曲が多いというジンクスがあり、この曲もご多分に漏れず。

■061 涙ッチ/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:江上浩太郎
収録盤:モーニング娘。『⑩ MY ME』(2010年3月17日発売)

 ピアノでリードしつつしっとりとしたA、一転爆発するBという二つのパートの落差で昂揚感を煽っていく曲構成。Cパートでは熱いラップも追加され、さらにエモーショナルに。「エモい」という言葉はこういう曲にこそ使いたい。つんく♂曰く「ロックな卒業式ナンバー」とのこと。実際、亀井絵里・ジュンジュン・リンリンの卒業コンサートをはじめとして、先日の工藤遥を含め、これまで通算4回の卒コンのラスト曲に選ばれており、定番化してきている。

■062 大きい瞳/モーニング娘。 [亀井絵里、道重さゆみ、田中れいな]
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:モーニング娘。『⑩ MY ME』(2010年3月17日発売)

 亀井・道重・田中の6期メンバーはキャリアも長く人気も高い。そんな「6期最強伝説」を体現する3人の最初で最後のユニット曲だ。打ち込みビート+ロックギターというわりとオーソドックスなサウンドで、こういう曲調は凡庸さに陥ることもあれば王道の域にハマることもある。この曲は後者だった。2010年の横浜アリーナ、亀井・ジュンジュン・リンリン卒コン(つまり6期3人で歌う最後の機会)での本曲のパフォーマンスはハロプロ史に刻まれる名演。

■063 グランドでも廊下でも目立つ君/Berryz工房 [須藤茉麻、熊井友理奈]
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:Berryz工房『6th 雄叫びアルバム』(2010年3月31日発売)

 グループ内でも長身の須藤&熊井という組み合わせで歌われるデュオ・ユニット曲。後期YMO等の80年代テクノ歌謡を想起させる、シンセのきらめく極上のポップチューン。1番では熊井がメインボーカルで須藤が合いの手的なパートを担当し、2番だとそれが逆転するという歌割が、それぞれの声質の違いを際立たせていて面白い構成だ。歌詞も〈わざと君の腕に触った時 筋肉感じた〉など引っかかりのあるフレーズが目立つ。

■064 Danceでバコーン!/℃-ute
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木俊介
収録盤:℃-ute『Danceでバコーン!』(2010年8月25日発売)

Danceでバコーン!/℃-ute

 2009年にメンバーの有原栞菜と梅田えりかが相次いで抜け、5人組となった℃-ute。そんな先行き不安なムードを吹き飛ばすかのようにリリースされたのがメジャー13thシングルである本曲だ。強靭な打ち込みビートによるファンキーな一曲で、エルヴィス・プレスリーを彷彿とさせるヒーカップ唱法、ハードロックの定番ギターリフを口で歌ったり、〈帰りにうどん食べてくわ〉という歌詞など、フックが随所にある楽しい仕上がり。

■065 女と男のララバイゲーム/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:モーニング娘。『女と男のララバイゲーム』(2010年11月17日発売)

女と男のララバイゲーム/モーニング娘。

 亀井絵里・ジュンジュン・リンリンのラスト参加シングル。タンゴを下地にしつつ、オーケストラ風のゴージャスなサウンドで、アルバムVer.ではさらにゴージャスなイントロが足されている。そしてこの曲の特徴はなんといってもAメロ途中のブレイクだろう。高橋愛のロングトーンの合図により再開するのだが、コンサートではブレイクの長さが毎回異なっており、その間合いの緊張感がたまらない。プラチナ期の最後を飾ることになったシングル曲。

■066 愛しく苦しいこの夜に/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:湯浅公一
収録盤:モーニング娘。『Fantasy! 拾壱』(2010年12月1日発売)

 アルバム『Fantasy! 拾壱』には、道重さゆみの歌割が多い「Fantasyが始まる」、8期メンバーがメインの「すんごいマイバースディ」など、各メンバーに割り振られた楽曲が比較的多い。そして本曲では亀井絵里がメインとなっており、男女の初めての夜の機微が描かれた歌詞を歌っている。かなり際どいテーマだが下世話さはかけらもなく、ただただ切なさが伝わってくる。結局オリジナルメンバーでライブ披露されることはなかった幻の名曲。

■067 Kiss me 愛してる/℃-ute
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:℃-ute『Kiss me 愛してる』(2011年2月23日発売)

Kiss me 愛してる/℃-ute

 メジャー15thシングル。こういったセクシーかつスピーディーな曲調を高度なダンスと共に歌い踊るというケースは以前にも「都会っ子 純情」など何曲かあったが、メンバー5人になってからはほぼ初。そしてこれ以降も同タイプの楽曲を連発していくことになり、℃-uteというグループの力をもっとも発揮できる一類型となっていった。同年発売のアルバム『超WONDERFUL!⑥』収録曲も含め、5人の℃-uteが輝きを増し始めた時期の大切な楽曲。

■068 まじですかスカ!/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:宅見将典
収録盤:モーニング娘。『まじですかスカ!』(2011年4月6日発売)

まじですかスカ!/モーニング娘。

 プラチナ期を過ぎ、9期メンバー4人(譜久村聖、生田衣梨奈、鞘師里保、鈴木香音)が加入したことでまた新たなシーズンを迎えた娘。のリスタート的なシングル曲。曲名通り軽快なスカビートが鳴り響く明るいサウンド。Aメロの歌パートを9期4人それぞれが連続で担当し、続いて先輩メンバーがそれを引き継ぎ、サビでは全員のユニゾンになるという歌割がひどく感動的。サウンド的には2002年のシングル「ここにいるぜぇ!」と似通っているが、また別の成果を上げているという事実自体も嬉しい。

■069 My Days for You/真野恵里菜
作詞:NOBE 作曲:中島卓偉 編曲:鈴木俊介
収録盤:真野恵里菜『My Days for You』(2011年6月29日発売)

My Days for You/真野恵里菜

 前年2010年のシングル曲「元気者で行こう!」も良かったが、やはり真野恵里菜の代表曲といえば本曲になるのではないだろうか。中島卓偉作曲による歌メロがとにかく良い。歌詞も〈泣き虫で弱虫な〉という箇所は真野への当て書きとも取れるが、〈いつも見ててくれてありがとう 支えてくれていてありがとう〉など、歌手とファンの関係を綴った普遍的なものとなっている。ラストフレーズの〈これからもどうぞよろしくね〉は涙腺決壊もの。

■070 シルバーの腕時計/モーニング娘。 [田中れいな、鞘師里保 (ラップ:新垣里沙、光井愛佳)]
作詞・作曲:つんく Rapアレンジ:U.M.E.D.Y. 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。『12,スマート』(2011年10月12日発売)

 歌とラップが交互に出てくるヒップホップ・ソウル的な楽曲はハロプロ内に多数あるが、その中でも本曲は特に高い完成度を誇る。歌部分を当時の娘。のエース格だった田中、そして加入間もない次期エース候補である鞘師の二人が担当というのも熱い編成だが、その脇を固めるラップ部分を1番が新垣、2番が光井と1コーラスごとに変えてくるのも面白い効果が出ていた。Rapアレンジの故U.M.E.D.Y.はハロプロ楽曲のヒップホップ成分を担っていた要人。

■071 もしも…/譜久村聖、嗣永桃子、中島早貴、真野恵里菜、和田彩花
作詞・作曲:つんく 編曲:高橋諭一
収録盤:ハロー! プロジェクト モベキマス『ブスにならない哲学』(2011年11月16日発売)

 2004年の「ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!」から7年後にリリースされたハロプロ全員集合シングルが『ブスにならない哲学』。そのカップリング曲であり、モーニング娘。をはじめとした5グループから1人ずつ選抜されたユニット曲。ダンスチューンだった表題曲とは対照的に、セリフパート多めの可愛らしいポップスに仕上がっており、「男性なのに乙女心がわかりすぎている」としばしば評価されるつんく♂のセンスが炸裂している。

■072 初恋サイダー/Buono!
作詞:NOBE 作曲:しほり 編曲:宮永治郎
収録盤:Buono!『初恋サイダー / DEEP MIND』(2012年1月18日発売)

初恋サイダー/Buono!

 ハロプロメンバー多数出演の深夜テレビドラマ『数学♥女子学園』のエンディングテーマというタイアップが付いていた一曲。ロックアイドルとしてのBuono!の明るくポップな側面が非常に良い形で結実している。対バンイベント「ゆび祭り」出場の際に披露して、ハロプロのクオリティを対外にアピール。他グループ曲のカバーが主体であるインディーズアイドル界隈において、本曲が取り上げられる率はかなり高いと言われている。

■073 超HAPPY SONG (シングル Ver.)/Berryz工房×℃-ute
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:Berryz工房×℃-ute『超HAPPY SONG』(2012年6月20日発売)

超HAPPY SONG (シングル Ver.)/Berryz工房×℃-ute

 元々はBerryz工房「Because happiness」、℃-ute「幸せの途中」というアルバム曲としてリリースされていたが、実はこの二曲には同時再生すると一曲に聴こえるという仕掛けが施されていた。ファンによってそのトリックが話題になった後、あらためて合体バージョンがシングルとして発売。ハロプロキッズから生まれた二つのグループが歌うという文脈も込みで、多幸感あふれるエクスクルーシブな楽曲と言える。

■074 One・Two・Three/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。『One・Two・Three / The 摩天楼ショー』(2012年7月4日発売)

One・Two・Three/モーニング娘。

 道重さゆみ・田中れいなの年長2名と、9・10期の後輩8名による10人体制でリリースされた両A面シングルの1曲目。記念すべき50枚目のシングルということもあってか、制作陣の力も入り、素晴らしいクオリティのエレクトリック・ダンスチューンに仕上がっている。このあたりからモーニング娘。再評価の気運が高まってきたように感じられる。昔はファンで一旦離れたがまた出戻った、あるいはこの曲から新規ファンになった……そういう声を聞く機会はかなり多い。

■075 Loving you Too much/Berryz工房
作詞:Apisit Opasimlikit 日本語詞:つんく Rapアレンジ:U.M.E.D.Y. 作曲:Thana Lawasut 編曲:鈴木Daichi秀行
収録盤:Berryz工房『cha cha SING』(2012年7月25日発売)

Loving you Too much/Berryz工房

 タイの人気歌手、バードことトンチャイ・メーキンタイのカバーとしてリリースされたのが「cha cha SING」で、カップリング曲収録された本曲も同様にバードのカバー。お祭りソング的な「cha cha〜」も人気が高いが、よりポップスに近く、日本語ラップパートを追加するなどの創意工夫もあり、MVの出来も良かったということで、LYTMこと本曲はファンの強固な支持を得た。公式主催、およびファン主催の楽曲人気投票どちらもこの曲が1位だったのだ。

■076 ももち! 許してにゃん♡体操/ももち (嗣永桃子 feat. Berryz工房)
作詞・作曲:つんく 編曲:湯浅公一
収録盤:Berryz工房『cha cha SING』(2012年7月25日発売)

ももち! 許してにゃん♡体操/ももち (嗣永桃子 feat. Berryz工房)

 デビュー当初から「嗣永プロ」という異名を誇っていたが、バラエティ番組進出の際には独自の髪型と身振りで「ももち」というキャラを演じるようになり、自身の考えるアイドル像を追求していった嗣永桃子。そんな彼女のキャラクターソング的なソロ曲である。まるで子供番組の体操のお姉さんが歌うような曲調で、ノベルティソングとしての楽しさに満ちている。それにしてもこのシングル、収録3曲とも強度が高くかなり濃い音盤だ。

■077 悲しきヘブン/℃-ute
作詞・作曲:つんく 編曲:板垣祐介
収録盤:℃-ute『会いたい 会いたい 会いたいな』(2012年9月5日発売)

悲しきヘブン/℃-ute

 メジャー19thシングルのカップリング曲。メンバーの鈴木愛理と岡井千聖のみがボーカルで他3人はダンスのみ担当という布陣での一曲だ。曲調自体はストレートなロックサウンドだが、鈴木と岡井のハーモニーが複雑に絡み合う歌メロディがなんといっても聴きどころで、高い歌唱力および二人の息が合わないと実現し得ないものだろう。カップリング曲ながらファン人気が高く、2年後に再録音されあらためてシングルとしてリリースされた。

■078 What’s Up? 愛はどうなのよ〜/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく Rapアレンジ:U.M.E.D.Y. 編曲:平田祥一郎
収録盤:モーニング娘。『⑬カラフルキャラクター』(2012年9月12日発売)

 10期メンバー4人(飯窪春菜、石田亜佑美、佐藤優樹、工藤遥)が加入してから初のアルバム『⑬カラフルキャラクター』収録曲。行進曲的ビート、アグレッシブなラップパートなどを組み合わせながら、愛の本質を突いた歌詞が歌われる。こういったストレートなメッセージを10代女子が歌うことの素晴らしさ、それ以上は何もいらないんじゃないかと思わせてくれる一曲だ。アルバム発売前、メンバーの本曲ダンスリハーサル映像がYouTubeにアップされたのも面白い試みだった。

■079 ラララのピピピ/モーニング娘。 [道重さゆみ]
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。『⑬カラフルキャラクター』(2012年9月12日発売)

 9期メンバーの譜久村聖と、当時娘。のリーダーを務めていた道重さゆみの二人によるテクノポップ調のユニット曲がいくつか続いていたが、サウンド路線はそのままで、道重ソロとして作られたのが本曲だ。〈やっぱ今日もカワイイや 罪な私〉など本人を想起させる当て書き風な歌詞も相まって、彼女の代表曲と言える仕上がりとなった。ライブでは当時ハロプロ研修生の金子りえ&室田瑞希がバックダンサーを担当していたのも忘れがたい。

■080 新・日本のすすめ!/スマイレージ
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:スマイレージ『②スマイルセンセーション』(2013年5月22日発売)

 ハロプロ楽曲では、一曲の中で異なる曲調がメドレーのように切り替わっていくタイプのものがいくつか見られる。そういったラプソディ(狂詩曲)あるいはプログレ的な形式をさらにエスカレートさせたのが、2ndアルバム冒頭を飾る本曲だろう。壮大なオペラ風から始まり、ヘビメタ、ポップ調と様々なサウンドが顔を見せるのが楽しい。その際、メンバーの田村芽実の迫力ある歌い上げボーカルがキーポイントとなっている。

■081 わがまま 気のまま 愛のジョーク/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。『わがまま 気のまま 愛のジョーク / 愛の軍団』(2013年8月28日発売)

わがまま 気のまま 愛のジョーク/モーニング娘。

 50枚目の『One・Two・Three』以降、娘。のシングルはEDMサウンド、そして大人数メンバーによる一糸乱れぬフォーメーションダンスが売り文句となり、5作連続週間チャート1位を記録するなど、再ブレイクを印象づけた。この曲では、イモ欽トリオ「ハイスクールララバイ」をオマージュした平手打ちの振り付け、サビの〈愛されたい!愛さーれたい!〉をファンも一緒に叫ぶところが特徴。この時期のシングル曲はどれも独自のポップネスが爆発している。

■082 ロマンスの途中/Juice=Juice
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木俊介
収録盤:Juice=Juice『ロマンスの途中 / 私が言う前に抱きしめなきゃね (MEMORIAL EDIT) / 五月雨美女がさ乱れる (MEMORIAL EDIT)』(2013年9月11日発売)

ロマンスの途中/Juice=Juice

 2013年2月にグループ結成、その半年後にリリースされたメジャーデビュー曲。いわゆる「赤羽橋ファンク」とも呼ばれる、ソウル・ファンク・ディスコといった要素を軸にしたハロプロ王道サウンド。こういったタイプの楽曲を多数編曲している鈴木俊介の堅実な仕事ぶり、笹本安詞のチョッパーベースなどが光っている。次作シングル「イジワルしないで 抱きしめてよ」の評判も良く、J=Jはハロプロ内の実力派グループとしての地位を確立していく。

■083 おへその国からこんにちは/ハロプロ研修生
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:ハロプロ研修生『おへその国からこんにちは/天まで登れ!』(2013年12月20日発売)※DVDシングル

 「彼女になりたいっ!!!」「天まで登れ!」に続くハロプロ研修生オリジナル曲第3弾。当初はDVDシングルとしてリリースされたが後にCD化。「彼女になりたいっ!!!」の歌詞も相当ブッ飛んでいたが、本曲もそれに輪をかけた振り切れ具合。ライブやMVでは30人前後の大人数によるユニゾン主体でのパフォーマンスとなるのが、他のハロプログループとはかなり印象が異なる。MVを今見返すと、現正規メンバーの昔の姿を確認できるのが懐かしい。

■084 時空を超え 宇宙を超え/モーニング娘。’14
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。’14『時空を超え 宇宙を超え / Password is 0』(2014年4月16日発売)

時空を超え 宇宙を超え/モーニング娘。’14

 auのCMソングという大型タイアップが付いていた「Password is 0」との両A面シングル。ポップで勢いのあるアッパーなEDMチューンだった「Password〜」とは対照的に、本曲はピアノやストリングスをサンプリングして刻んだポスト・クラシカル的なサウンド。スピリチュアルな歌詞とも相まって、まるで涅槃で鳴っているようなディープな曲調が美しい。2年後にリリースのシングル曲「The Vision」は本曲の発展型とも言える。

■085 Eli, Eli, Lema Sabachthani?/オールキャスト
作詞:末満健一、新良エツ子 作曲・編曲:和田俊輔
収録盤:モーニング娘。’14×スマイレージ『演劇女子部 ミュージカル LILIUMリリウム 少女純潔歌劇 オリジナルサウンドトラック』(2014年8月6日発売)

 末満健一が脚本・演出を務めたミュージカル『リリウム 少女純潔歌劇』は、吸血鬼伝説を題材にした内容で高い評価を得た。その高評価を支える一要因として、オリジナル劇中歌のクオリティの高さを挙げることもできるだろう。小田さくら、田村芽実、鞘師里保ら実力派メンバーが歌うソロ曲もいいが、ここでは出演者全員で劇の冒頭に歌われるテーマ曲的な「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」を挙げておく。サントラCDは名盤だ。

■086 永久の歌/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木俊介
収録盤:Berryz工房『ロマンスを語って / 永久の歌』(2014年11月12日発売)

永久の歌/Berryz工房

 11年続いたグループの両A面ラストシングル。冬のイメージを想起させるモータウン的なコーラスソング「ロマンスを語って」も可憐で美しい仕上がりだが、やはりファンにとっては「永久の歌」のほうがさらに熱く感動できる一曲である。アレンジ自体はシンプルなロックサウンドだが、何と言っても歌詞が素晴らしい。〈一緒に居た素敵な空間 最高に幸せな時間〉という一節は、Berryz工房のライブを体験したファンなら誰でも納得できるフレーズのはずだ。

■087 大器晩成/アンジュルム
作詞・作曲:中島卓偉 編曲:鈴木俊介
収録盤:アンジュルム『大器晩成 / 乙女の逆襲』(2015年2月4日発売)

大器晩成/アンジュルム

 3期メンバー3名(室田瑞希・相川茉穂・佐々木莉佳子)が加入し、グループ名が「スマイレージ」から「アンジュルム」に改名した2014年末。先行き不安な雰囲気の中、2015年最初のライブで本曲が初披露され、そんな不安は一掃された。中島卓偉作詞作曲によるファンキーなロックチューンは、ポジティブな生命力にあふれていた。特に新メンバー室田瑞希の、間奏後にハイトーンで歌い上げる箇所はアンジュルムの今後の躍進を予感させる輝きに満ちていた。状況と楽曲が上手く噛み合った好例。

■088 乙女の逆襲/アンジュルム
作詞:児玉雨子 作曲:川辺ヒロシ、上田禎 編曲:CMJK
収録盤:アンジュルム『大器晩成 / 乙女の逆襲』(2015年2月4日発売)

乙女の逆襲/アンジュルム

 前述の「大器晩成」との両A面シングルとしてリリースされた一曲。これまであるようで意外と無かった、ゴシックホラー的な意匠をまとった曲調。作詞の児玉雨子はこれが正規ハロプログループ初提供。川辺ヒロシやCMJKといった90年代音楽ファンには馴染みのある面子も初参加。つんく♂以外の作家が本格的にハロプロ楽曲の作り手として活動し始めた最初期のシングルということで、この両A面はハロプロ史において意味の大きい一作と言える。

■089 「恋したい新党」/ハロプロ研修生
作詞・作曲:つんく Rap詞:U.M.E.D.Y. 編曲:AKIRA
収録盤:ハロプロ研修生『① Let’s say “Hello!”』(2015年2月18日発売)

 ハロプロ研修生のアルバム『① Let’s say “Hello!”』には、全曲つんく♂作詞作曲のオリジナルナンバーが並んでいる。特に制約なく自由に制作することができたという楽曲群は、これまでつんく♂がハロプロで作ってきた様々な曲調を使って構成したベストアルバムと捉えることもできる。中でも本曲はヒップホップ・ソウル路線において一二を争うほどの完成度。U.M.E.D.Y.の男声ラップと研修生たちの女声ボーカルがしのぎを削っている。

■090 愛おしくってごめんね/カントリー・ガールズ
作詞:児玉雨子 作曲:加藤裕介 編曲:加藤裕介、A-bee
収録盤:カントリー・ガールズ『愛おしくってごめんね / 恋泥棒』(2015年3月25日発売)

愛おしくってごめんね/カントリー・ガールズ

 カントリー娘。がカントリー・ガールズと改称、メンバーも一新され再始動となった。アメリカン・ポップスを基調とする可愛らしくアイドルっぽい楽曲が多いのがカンガルの特色で、それは1stシングルとなった本曲からすでに明確に示されていた。あざといまでのセリフパート、頭に手をかざす「ごめんね」ポーズなどが強力なフック。現在は脱退してしまった幻の初期メンバー、うたちゃんこと島村嬉唄の可憐さもインパクト大だった。

■091 念には念/こぶしファクトリー
作詞・作曲:アベショー 編曲:鈴木俊介
収録盤:こぶしファクトリー『念には念 / サバイバー』(2015年3月26日発売)※DVDシングル

念には念/こぶしファクトリー

 こぶしファクトリーのインディーズ1stシングル。メジャーデビュー時には新バージョンがリリースされた(YouTubeのリンクはそちらのバージョン)。T. Rex「20th Century Boy」やThe Who「My Generation」といったロック・クラシックスへのオマージュを感じさせるサウンド、がなり声が効いたメンバーの歌唱などが特徴。これらの要素は以降のこぶしファクトリー楽曲にも引き継がれ、グループのひとつの色となった。

■092 我武者LIFE/℃-ute
作詞:SHOCK EYE 作曲:KOUGA supported by SHOCK EYE 編曲:soundbreakers
収録盤:℃-ute『The Middle Management 〜女性中間管理職〜 / 我武者LIFE / 次の角を曲がれ』(2015年4月1日発売)

我武者LIFE/℃-ute

 メジャー27枚目となるトリプルA面シングルの内の一曲。テレビ朝日系『musicるTV』の番組内企画から生まれた楽曲で、湘南乃風のSHOCK EYE、新人コンポーザーのKOUGAらが曲制作に関与。℃-uteにおいてつんく♂以外の作家が参加しはじめた最初のシングルであり、グループの魅力を引き出す楽曲の選択肢に新たなバリエーションが加わった。ライブでは曲後半のラップパート以降からの展開が一際盛り上がる。

■093 Magic of Love (J=J 2015 Ver.)/Juice=Juice
作詞・作曲:つんく 編曲:村山晋一郎
収録盤:Juice=Juice『First Squeeze!』(2015年7月15日発売)内、通常盤 特典CD『The Cover Juice』

 元々は太陽とシスコムーンの1999年シングルのカバー。当初はJ=Jのライブで歌われる過去ハロプロ楽曲カバー群の内のひとつに過ぎなかったが、高木紗友希のフェイクパートなどによってオリジナル曲と同等の人気を得るようになる。現在ではJ=Jライブに欠かせない一曲だ。近年では金澤朋子の歌パート〈どこにいるの?〉の後に〈ここだよ朋子!〉とファンコールを入れるのが定番化するなど、さらなる進化を見せている。

■094 今すぐ飛び込む勇気/モーニング娘。’15
作詞:児玉雨子、三浦徳子 作曲:泰誠 編曲:浜田ピエール裕介
収録盤:モーニング娘。’15『Oh my wish! / スカッとMy Heart / 今すぐ飛び込む勇気』(2015年8月19日発売)

今すぐ飛び込む勇気/モーニング娘。’15

 12期メンバー4人が加わってから2作目のトリプルA面シングルの内の一曲。後期メロン記念日や真野恵里菜を担当し、現在も多数のハロプログループにディレクターとして携わっている、シャ乱Qのキーボード・たいせいが初めて娘。へ提供した楽曲でもある。全編に漂う情感が美しく、特に間奏以降のストリングスやピアノに導かれていくパートが聴きどころ。つんく♂以外の作家による娘。楽曲の可能性を感じさせてもくれる。

■095 次々続々/アンジュルム
作詞:児玉雨子 作曲・編曲:平田祥一郎
収録盤:アンジュルム『次々続々 / 糸島Distance / 恋ならとっくに始まってる』(2016年4月27日発売)

次々続々/アンジュルム

 「大器晩成」「臥薪嘗胆」に続く、アンジュルム四字熟語タイトルナンバーの第3弾。大久保薫と並び、これまで多数のハロプロ楽曲を編曲していたヒラショーこと平田祥一郎が、編曲のみならず作曲まで担当する初の一曲。アグレッシブなEDMサウンドと、アンジュの勢いあるパフォーマンスが見事に合致した非常に力強い仕上がりだ。田村芽実ラスト参加シングルということもあり、出会いと別れがテーマの歌詞を児玉雨子が巧みに描いている。

■096 泡沫サタデーナイト!/モーニング娘。’16
作詞・作曲:津野米咲 編曲:鈴木俊介 ストリングスアレンジ:クラッシャー木村
収録盤:モーニング娘。’16『泡沫サタデーナイト! / The Vision / Tokyoという片隅』(2016年5月11日発売)

泡沫サタデーナイト!/モーニング娘。’16

 鈴木香音ラスト参加シングルであり、ガールズバンド赤い公園のギタリスト津野米咲が初めてハロプロへ楽曲提供。ハロプロ楽曲のメイン要素であるディスコサウンドへ、20代かつハロプロファンを公言する彼女が挑んだ形となった。新世代の「LOVEマシーン」と喧伝されていたが、むしろ曲調的には「恋愛レボリューション21」のほうが近く、娘。の新たな代表曲になり得るポテンシャル十分の、スマートで完成度の高い一曲。

■097 辛夷の花/こぶしファクトリー
作詞・作曲・編曲:星部ショウ
収録盤:こぶしファクトリー『辛夷其ノ壱』(2016年11月30日発売)

辛夷の花/こぶしファクトリー

 1stアルバム『辛夷其ノ壱』は、アルバム用新曲を7曲収録という充実の内容だった。そのアルバム最後を飾っていたのが本曲。グループ名は「握り拳(こぶし)」と「辛夷(こぶし)の花」のダブルミーニングであり、そこをテーマとした作詞および作編曲は、若手コンポーザーの星部ショウ。フォーク調の少し泥臭いサウンドが、10代女子が歌うことで真っ直ぐな輝きへと転化された、グループの代表曲といっていい一曲だ。MVの出来もかなり良い。

■098 初恋サンライズ/つばきファクトリー
作詞:井筒日美 作曲:山田祐輔 編曲:近藤圭一
収録盤:つばきファクトリー『初恋サンライズ / Just Try! / うるわしのカメリア』(2017年2月22日発売)

初恋サンライズ/つばきファクトリー

 こぶしファクトリーと同じく2015年にグループ結成されたものの、メジャーデビューまでにかなりの時間が空いてしまっていたのがつばきファクトリー。メジャー1stトリプルA面シングルの他2曲はやや変化球気味の仕上がりだが、本曲はストレートなアッパーチューンだ。さらにセリフパートや、ファンも一緒に飛び上がることができる通称「サンライズジャンプ」などのフックによって、「つばき始まったな!」感にあふれている。

■099 ジェラシー ジェラシー/モーニング娘。’17
作詞・作曲:つんく Rapアレンジ:U.M.E.D.Y. 編曲:大久保薫
収録盤:モーニング娘。’17『BRAND NEW MORNING / ジェラシー ジェラシー』(2017年3月8日発売)

ジェラシー ジェラシー/モーニング娘。’17

 13期メンバー加入後初シングル。ヒップホップやハウスなどの黒人音楽要素をアイドルポップスに昇華させるという意味合いにおいて、本曲はただならぬ完成度を見せている。特にラップパートでは、The Sugarhill Gang「Rapper’s Delight」からの引用フレーズを帰国子女の野中美希がネイティブに発音したり、さらに「女性が持つ嫉妬」というテーマを象徴する〈Rich、Young、Girly、細い〉というリリックなど、聴き逃せない箇所多数。

■100 Fiesta! Fiesta!/Juice=Juice
作詞:井筒日美 作曲:エリック・フクサキ 編曲:大久保薫
収録盤:Juice=Juice『Fiesta! Fiesta!』(2017年8月23日発売)※配信シングル

Fiesta! Fiesta!/Juice=Juice

 ペルー出身の日系3世ミュージシャンであるエリック・フクサキが作曲。ラテン+EDMのアグレッシブなサウンド。エリック本人によるスペイン語ラップはかつてのつんく♂コーラスを彷彿とさせるし、歌詞の〈ワナノマリラ=Wanna know my real love〉が太陽とシスコムーン〈ガタメキラ=Gotta make it love〉へのオマージュだったりと、過去ハロプロ楽曲イズムが隔世遺伝している感が素晴らしい。新加入メンバー段原瑠々による、曲冒頭の堂々たる歌唱も最高。

ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。