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原由子、横山剣、椎名林檎らを迎えた新作を発表 マエストロ=冨田恵一の妥協なきレコーディング術

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リアルサウンド

 冨田恵一によるソロプロジェクト「冨田ラボ」の4thアルバム『Joyous』が、10月23日に発売されることが明らかになった。ボーカリストとして、原由子(サザンオールスターズ)、横山剣(クレイジーケンバンド)、椎名林檎、さかいゆうの4人をボーカルに据え、作詞は椎名林檎、高橋幸宏、坂本慎太郎(ex.ゆらゆら帝国)、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)、堀込高樹(キリンジ)、青山陽一が担当する。

 音楽の先生をしていた母の元で育ち、子どもの頃からピアノとエレクトーンを学んだ冨田。高校時代にはインストバンドにてギターを担当していたが、練習のあとには他のメンバーが置いて帰ったドラムやベースにも触れていた。そして、ラジカセでドラムを録音し、別のラジカセでベースを重ねる”ピンポン録音”をするうちに曲の構造を理解。大学時代には多重録音のできる機械を手に入れ、それを使って制作した楽曲が音楽雑誌の賞を獲得し、CDデビューの話が舞い込んだという。

中島美嘉「STARS」のプロデュースも

 1997年にプロデュースしたキリンジが注目を集め、その後はMISIA「Everything」、中島美嘉「STARS」、平井堅「RING」など数々のヒット曲をプロデュース。音楽ファンからの評価も高く、”ポップス界のマエストロ”とも呼ばれている。

 冨田が支持される理由のひとつに、丁寧な音づくりがある。宅録がルーツにある冨田は、現在もギター、ベース、キーボードを弾きこなし、作曲や編曲、レコーディングまでほとんどの作業を自身のプライベートスタジオで行っている。ドラムは打ち込みだが、細かくサンプルを分けて作り込まれており、「生音のようだ」と評判。また、1980年以前に作られたアナログ・シンセサイザーを使用しているが、その理由として、アナログ・シンセサイザーをデジタルにシュミレートしたものでは「本物の質感が出ない」からだと過去のインタビューで述べている。その音へのこだわりは、”完璧主義”と評されるほど。

 そんな冨田がソロプロジェクト「冨田ラボ」を始動させたのは2003年。大貫妙子、CHEMISTRY、キリンジ、ハナレグミ、秦基博、安藤裕子など個性の強いミュージシャンをボーカリストに迎え、”Shipシリーズ三部作”として同年~2010年までに3枚のアルバムを発表した。

 冨田の楽曲の特徴は、音楽シーンにおける最先端のトレンドに流されていないこと。”Shipシリーズ三部作”も、70年代、80年代のテイストを取り入れた、ヴィンテージなサウンドだ。実際、冨田は過去のインタビューにて「サウンドの中にその時期の流行を取り入れるのは好きじゃない」「長く、豊かな気持ちなれる音楽をつくっていきたい」と明かしている(参照:beat freak)。世界最高峰のレコーディングバンドのひとつ、スティーリー・ダンなどに影響を受けたというが、洋楽に寄り過ぎず、”日本の高品質なポップス”を生み出し続けてきた。

 『Joyous』では、どんな音楽を聞かせてくれるのだろうか。同作には、原、横山、椎名、さかいの4人がコラボレーションした楽曲も収録されており、話題を呼びそうだ。
(文=編集部)