Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > フジファブリック志村正彦急逝から4年ーー故郷の仲間が語る志村の功績

フジファブリック志村正彦急逝から4年ーー故郷の仲間が語る志村の功績

音楽

ニュース

リアルサウンド

 フジファブリックの志村正彦の急逝から、2013年の12月24日で4年を迎えた。今もなお彼の才能を惜しむ声も多い中、彼の創りだした音楽は今日も多くの人に愛され続けている。

 今年の命日も、志村と縁の深いアーティストが志村への想いを言葉にした。フジファブリックのデビュー当時プロデュースを務めていたGREAT 3の片寄明人は「フジファブリック志村正彦の命日。今年はGREAT3のRECで富士吉田(志村の故郷)に行けず自宅でお線香を。僕が今でも音楽を続けていられるのは彼のお陰だと思ってる」(一部抜粋)とTwitterにてコメント。また志村の盟友だったメレンゲのクボケンジは「今日は志村の命日だね。あいつと出会って僕のクソみたいな人生はとても楽しく充実した日々になりました。弱い僕のことだから出会ってなかったら音楽もすぐにやめてただろうな。まだ四年しか経ってない。確かにこの世界にいたことを忘れないです。」とTwitterに想いを寄せた。

 昨年から今年にかけ、いわゆる音楽イベント以外のところでも志村の声や楽曲が流れる機会が増えた。フジテレビ系で7月から放送された山下智久主演のドラマ『サマーヌード』では、山下演じる三厨朝日の昔の恋人役で出演した、長澤まさみ演じる一倉香澄の好きな曲として、フジファブリックの代表曲『若者のすべて』が流れ、朝日と香澄が歌詞について語り合う場面も。その会話はドラマの脚本家の金子茂樹とプロデューサーの村瀬健の議論がベースになっており、「思い出の曲はこの曲って企画段階から決めてました。素晴らしい曲です。」と村瀬がコメントしている。この放送を受け、『若者のすべて』は2007年発表曲にも関わらずiTunesチャートを急上昇。楽曲の色褪せない魅力が、これまでフジファブリックの音楽を聴いたことのない人々にも届いた結果だろう。

 さらに志村の地元、山梨県富士吉田市では、2012年から志村の命日、そして誕生日に、市の防災無線から流れる“夕方5時のチャイム”に、フジファブリックの曲が流れるという試みが行われている。2012年の命日には『若者のすべて』、2013年の誕生日の7月には『茜色の夕日』と『若者のすべて』、そして今年も命日前後の12月20日から26日に『茜色の夕日』が流れた。これは地元富士吉田市役所の若手プロジェクトチームよる企画。チャイムが流れる光景が撮られたYou Tubeの動画もアップされ、反響が大きくなっている。今回、その企画を担当している、志村の同級生でもある富士吉田市役所の職員の方に、話を伺うことができた。

「正彦のことを同級生の仲間として、誇りに思います。もっとたくさんの人たちに志村正彦の作った音楽を聴いてもらいたいです。同級生を中心としたメンバーで構成されている『路地裏の僕たち実行委員会』が主体になって一昨年の展示会(2011年12月23日、24日に行われた『志村正彦展』のこと)を開催したところ、全国から大勢のファンの方が来てくださり、心が揺さぶられました。会場にノートを置いていたのですが、ファンから温かいメッセージが書かれていて、感慨深いものでしたので、そんなファンの方への恩返しとして、何か自分たちで出来ることがあればと思い、チャイムの変更を企画しました。そして去年12月、市役所若手職員と同級生メンバーが主体となって、ご家族のご理解や地元の協力によって、チャイムの変更と展示会が実現されました。参加されたファンの方々からは、『防災無線のチャイムや企画展に感動し、一生の思い出になった』『富士吉田市にまた訪れたい』など、市役所に温かいメッセージがたくさん寄せられました」

 志村が遺した歌詞には、地元富士吉田の風景を想わせる言葉も多く記されている。そんな故郷の仲間が続ける、志村と地元への想いが詰まった活動は、今後どのように展開されていくのだろうか。

 「実際どうなるかはわからないですが、ファンの方たちからも要望が結構頂いているので、出来ればチャイムを続けていければいいなと思っています。音楽を通して地元に対する郷土愛や誇りを持って、地元の魅力を再認識して欲しいです。また、子どもたちや若者が将来に夢や希望を持って、人生を歩んでいく上での後押しになればと願いを込めています」

 今も多くのファンの中で生き続ける志村の存在。遺されたメンバーで積極的な活動を続けるフジファブリックの音楽とともに、志村が遺した音楽に触れ、改めて魅力を感じる音楽ファンは、これからも増えていくに違いない。
(文=岡野里衣子)