SIAM SHADE・NATCHINらが“覆面バンド”結成 その奇抜なヴィジュアルの意図とは?
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SIAM SHADEのベーシスト、NATCHINらが2014年6月1日、新バンドとなる21g(トゥウェンティワングラムス)を結成することを発表した。
メンバー編成は、Vo.Geno、Ba.NATCHIN、Gt.mi-ya、Dr.Act.からなる4人。奇怪な緑の仮面を被り、自身の魂を熱く声にするVo.Genoの正体は、仮面ライダーテーマソングやジャンプアニメの主題歌を歌う、知る人ぞ知るインディーズROCKバンドeversetでの活躍をしてきた経歴を持つ。Ba.NATCHINが所属するSIAM SHADEは、昨年12年ぶりに全国7か所でのツアーを成功させた。さらに、元THE YELLOW MONKEYのANNIEや、SEX MACHINGUNSのANCHANGと組んだBIG BITESのベーシストとしても活躍している。
数々の音楽ファンの注目を浴びてきた二人にとって、新たな試みとなる「21g」。なぜ今、彼らは同バンドを結成したのだろうか。その経緯をVo.Genoに聞くことができた。
「前身バンドのメンバーとは、復活までそれぞれパワーアップして会おうという約束の元で音楽に携わっており、メンバーの色んな分野での活躍を見て俺も動かなきゃ、と思いました。先輩としてお世話になっていたSIAM SHADEのBassであるNATCHINとは、音楽について何度も漠然と語り合ってはいましたが、SIAM SHADE復活ツアー等もありその時はバンドの話を具体化する予定もありませんでした」
近年、MAN WITH A MISSIONやSEKAI NO OWARIなどに見られる、顔の分からないアーティスト。バンドの世界観、物語に沿ってその正体を謎めかせるなど、アーティストによって顔を出さない理由は様々だが、Vo.genoの場合はその理由がいささか特殊だ。
「仮面を被るきっかけとなったのは、元々原因不明の目の病を患い、とにかく患った右眼を隠したいという思いから始まったものでしたが、仮面を被ることで自我を解放できることに気付きました。仮面を被ることで、年齢や人種や身分、容姿などのしがらみに捕らわれることなく、歌っていける、と」
仮面というひとつのアイテムに、自分を解き放つという想いがこめられているようだ。彼は「歌のみで闘う」という道を選んだのだろう。
「病気を患ったことで、これから先死ぬまでの間、俺は後どれくらい歌が歌えるのだろう?と不安になり、その旨をNATCHINに伝えて、すぐにでもバンドがやりたいと頼みました。答えは『YES』でした」
そこから2人のメンバー探しの日々が始まり、若く才能溢れるmi-yaとAct.に出会った。様々な年代の様々なシーンで活躍してきたメンバーにしかできない音楽が期待される21gだが、発表されたばかりでまだまだ謎の多いこのバンドの見どころは、一体どこにあるのだろう。
「若いアーティストに、俺が見た景色、それ以上のものを見せてやりたい」と、これまで日本の音楽の最前線で活躍して経験値を積んだNATCHINは言う。彼のプレイは技術が高く安定感がありながらも、エモーショナルな側面を持つ。そして激しくギターを弾き倒したかと思えば、ピアノでは繊細なメロディを表現するという二面性を持つ、紅一点のmi-ya。長いリーチのしなりから繰り出されるダイナミックな、しかし緻密に計算されたオリジナルのドラミングを披露するAct.。
「そんなメンバーの演奏で、俺も自分にしか表現できないメッセージを歌っていきたい」とGenoは続ける。彼の歌は自身の熱い想いを叫んでいるようにも聴こえる。これまで激しいサウンドに乗せて歌ってきた彼が、21gでどのような変化を遂げるのか、新しいバンドの醍醐味として注目していきたい。
21gというのは人間の魂の重さといわれている。人は死を迎えたとき生前より21gだけ減るらしい。彼らはどのように魂を使うのか、今後の活動を見守っていきたい。
(文=佐藤優香)