便所サンダルが2万円!? マキシマム ザ ホルモンのサンダル争奪戦騒動の顛末
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7月末にリリースされた6年4ヵ月ぶりのアルバム『予襲復讐』は、3週連続アルバムチャートの1位を記録。ロングセラーとなって40万枚以上を売り上げた前作『ぶっ生き返す』をはるかに凌ぐペースで早くも20万枚を突破し、日本のロックシーン、いや、音楽シーン全体にその圧倒的な存在感をみせつけているマキシマム ザ ホルモン。その『予襲復讐』には「便所サンダルダンス」という楽曲が収められているが、ホルモンファンならご存知の通り、これはマキシマムザ亮君がライブ中でもプライベートでも常に愛用している、ニシベケミカルのV.I.Cというブランドの便所サンダルに捧げられた楽曲だ。歌の中では「利便性に富んだスタイル! こだわり抜いたフォルム! 色も渋くワイルド! サンダル界のキング!」と、その便所サンダルへの忠誠心を高らかに表明していた。
先週、そんな便所サンダルを巡って、ちょっとした騒動が巻き起こっていたのをご存知だろうか? 9月4日、ホルモンのホームページ、Twitterの公式アカウント、Facebookの公式ページで、ホルモンとヴィレッジヴァンガードのプレミアムコラボグッズが9月6日に発売されるとの告知がされた。そのコラボグッズの内容は、
●メタルポーズとホルモンバンドロゴが刻印された“V.I.Cニシベケミカル製マキシマムザ便サン”
●亮君描き下ろしイラスト入りの特製「ヌッチェの亡骸」Tシャツ
これがセットで4000円というのは、亮君が『予襲復讐』付属の楽曲レビューの中で「値段も違うし作りも全然違うし(中略)ちょっと高いよ。他とは頭一つ飛びぬけたクオリティだし」と熱く語っていたことを考えると、かなり良心的。しかし、発売日2日前の告知、数量限定ということで、ホルモンファンの間で阿鼻叫喚の便所サンダル争奪戦が繰り広げられることになった。
9月6日の発売当日、当然のようにあっという間に店頭から姿を消した便所サンダル(まぁ、Tシャツもセットですが)。ヴィレヴァンの各店舗によって事前に予約を受け付けていたりいなかったりと足並みが揃っていなかったこともあって、ホルモン関連のサイトや掲示板は大荒れ。いち早く手に入れた人がオークションサイトに2万円で出品していたことも炎上に油を注ぐことに。TwitterやFacebookで亮君自ら「買えなかった人達ごめんね m(__)m」とメッセージをアップするところにまで事態は及んだ。
騒動中にファンの書き込みをチェックしていて、個人的に「なるほど!」と膝を打ったのは、次のような意見。「ホルモンのロゴが刻印されてるっていうけど、亮君が本当に履いてる便所サンダルはホルモンロゴなんて刻印されてない普通のやつじゃないか!」(心の声=だから羨ましくなんてないもんね!)。
というわけで、本当に亮君と同じ便所サンダルが欲しい人は、血眼になって亮君と同じ普通のニシベケミカルの便所サンダルを探してみてはどうだろうか? ちなみに亮君いわく「普通のいわゆるスーパーとかじゃ絶対置いてないね」(『予襲復讐』楽曲レビューより)、「昔、葬式用に黒のVIC便サンをネットで注文しようとしたら、80足からだった」(Twitterより)とのことですが……。
■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter