嵐・松本潤はどんな音楽的挑戦をしてきた? セクシー&スペイシーなソロ曲を振り返る
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嵐の各メンバーによるソロ曲について、その音楽性の変遷を辿る本シリーズ。最終回となる今回は、オリジナル・アルバムに収録された松本潤のソロ曲について振り返ってみたい。
参考1:【嵐・相葉雅紀はどんな音楽的挑戦をしてきた? バリエーション豊かなソロ曲を振り返る】
参考2:【嵐・大野智はどんな音楽的挑戦をしてきた? 歌唱力を活かしたソロ曲を振り返る】
参考3:【嵐・二宮和也はどんな音楽的挑戦をしてきた? 作詞・作曲も手がけたソロ曲を振り返る】
参考4:【嵐・櫻井翔はどんな音楽的挑戦をしてきた? ラップ詞で決意表明もしたソロ曲を振り返る】
嵐は、2005年リリースの『One』より各メンバーのソロ曲が収録されるようになった。そこで松本が歌ったのは「W/ME」。“ウィズミー”というタイトル通り「このまま一緒に朝まで踊り明かそうぜ」と誘いかける一曲で、スリリングな曲調と松本のセクシーな歌い回しが印象的なファンク系の楽曲。松本の吐息や艶かしい女性コーラスがアダルトなムードを一層引き立てていて、早くもその方向性を垣間見ることができる作品だ。
2006年リリースのアルバム『ARASHIC』にはソロではないものの、松本が中心となる楽曲「I Want Somebody」を収録。ストレートなタイトルそのままに、松本たちが今宵をともにする“Somebody”を求めるという、なんとも刺激的な内容の一曲だ。もちろん、注目すべきはその歌詞の内容だけではない。全編を通して漂うミステリアスかつダーティーな雰囲気からも、当時の嵐ならではの少し尖ったイメージが滲み出ていて面白い。
『Time』(2007年リリース)の初回盤のみに収録されている「Yabai-Yabai-Yabai」では、一転してチャーミングな魅力が溢れるシンセポップに挑戦。「♪Yabai-Yabai-Yabai」とリフレインするフレーズと、松本の素朴で飾らないボーカルが耳に残る一曲で、つい一緒に歌いたくなる仕上がりだ。同じく初回盤のみの収録となった『Dream“A”Live』(2008年リリース)の「Naked」では、さらに大きく方向転換。ジャジーかつアーバンなブレイクビーツと、茶目っ気たっぷりに歌う松本のラブソングが、楽曲にユニークな対比を生んでいる。
続く2010年リリースのアルバム『僕の見ている風景』では、スペイシーなエレクトロ・ポップを軸に、ラップやボコーダーを取り入れた意欲作「Come back to me」を披露。サビや大サビでは大胆に曲調を変えるなど、思い切った展開も聴きどころだ。近年の嵐楽曲らしい、エンターテイメント性に溢れる作品といえよう。もちろん歌詞でも「悩みも不安も全部go away/その喜びだけをペーストeveryday」と、リスナーを享楽的な松本ワールドへと誘ってくれる。
松本ソロ曲の“セクシー”と“スペイシー”というふたつのキーワードが、高いレベルでマッチしたひとつの完成形が、2011年にリリースされたアルバム『Beatuful World』に収録された「Shake it!」ではないだろうか。ファンキーなダンスチューンに仕上がった同曲は、松本が「今はDance Dance Dance 喉を嗄らすまで Your Just Dance 求めればいい」と煽り立てるアンセム的な作品で、ファンならずとも思わず腰を振ってしまうかもしれない。
さらに扇情的な作品となったのは、2012年にリリースされたアルバム『Popcorn』に収録された「We wanna funk, we need a funk」だ。歌詞のほとんどが英語となっていて、情事そのものを描写したかのような表現はかなり過激だ。松本の雄々しさを堪能したいリスナーは、まずこの曲から聴いてみるといいだろう。めくるめく官能の世界を想像できるはずだ。
2013年リリースのアルバム『LOVE』収録の「Dance in the dark」は、30代となったこともあってか、大人の色気・洒脱さを感じさせる仕上がり。スウィング・ジャズやファンクのテイストを散りばめた楽曲からは、さらに奥深いエロスを見いだせるだろう。
そして最新作、2014年リリースのアルバム『THE DEGITARIAN』に収録された「STAY GOLD」では、流行の四つ打ちEDMサウンドに挑戦。「FLY HIGH 終わりなき旅へ/ついて来いよ/共に行こう」と、歌詞は松本が得意とする“誘う系”の楽曲だが、その行き先はこれまでよりもずっとスケールアップ。「無限の未来へ」という言葉からは、デビュー15周年を迎え新たな次元に進もうとしている松本の飽くなき探究心を感じられるだろう。
さまざまなジャンルの楽曲に挑戦しながらも、そのキャラクターに沿った世界観を追究してきた松本潤。次回作ではリスナーをどんな世界へと誘ってくれるのか。
(文=松下博夫)