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コンサートの写真撮影、ネット投稿はどこまでOK? 弁護士に法律上の注意点を訊いた

音楽

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リアルサウンド

20131122live.jpgSNSの普及に合わせ、写真撮影の解禁をするライブが増加している。

 ポール・マッカートニーの来日コンサートが11月21日に最終公演を迎え、そのパフォーマンスにネット上でも称賛の声が数多く上がっている。そんな中、同日のNHK NEWS WEBは、ポールのコンサート会場では「携帯電話やタブレット型メディアプレーヤー以外での写真撮影は禁止」となっており、事実上、携帯などでの撮影は認めていたことを報じた。SNSの投稿には「画面の光が正直かなり邪魔」「ずっとタブレットを上にあげていて邪魔」といった、撮影に対する苦情もあり、この試みは賛否両論だったようだ。

 また、同記事によると、撮影された写真がツイッターなどのソーシャルメディアで広まることで、ミュージシャンの知名度の向上や、コンサートに足を運ぶファンの満足度を高め、収益の増加につなげようという狙いから、近年、コンサート会場での撮影を許可するケースが増加しているという。当サイトで調査したところ、日本でもモーニング娘。などが所属するハロー!プロジェクトが「ハロプロ研修生発表会 2013~3月の生タマゴShow!~」にて、観客自身のカメラ・携帯電話・スマートフォンでの撮影を許可していた。福岡を中心に活動するLinQは、2013年の年初に行われたコンサート『楽詣』にて、堂々と撮影可能を謳うだけではなく、席によってチケットの価格を変え、望遠や三脚なども持ち込める“撮影に特化した席”を設けるなどした。ロックユニットのBOOM BOOM SATELLITESは、2013年のツアー「EMBRACE TOUR 2013」で写真撮影を解禁、ファンが撮った写真を使ってPVを作成するなどして、ファンとの交流を深めたという。

 こうして広がりつつある「コンサートでの撮影解禁」だが、撮影やSNSの投稿には法的な見地からも注意が必要となる。弁護士の小杉俊介氏は、コンサートで写真撮影をした際に起こり得る問題点について、次のように指摘する。

「まず、撮った写真をSNSに投稿する場合ですが、ライブ写真をSNSで公開することそれ自体が違法なわけではありません。気をつけなければいけないのは、その投稿が『商業的利用』にあたるかどうかです。会社やお店、個人で商売をしている方で仕事の宣伝も兼ねてSNSを利用している場合、自分のページに写真を掲載する行為は、写真の顧客を誘因する力を営利目的で利用していると取られかねません。その場合、アーティストのパブリシティ権を侵害する行為に該当する可能性があります」

 実際、ハロプロのケースでは、写真撮影のルールとして「営利目的禁止」が明記されている。また、現場ではほかの観客の写り込みにも注意が必要だ。

「たとえ写真撮影がOKのライブでも、演者以外の方は写真に撮影されることについて許諾はしていませんから、観客の顔が写ると肖像権の侵害になる可能性があります。ライブを撮影した写真は、例えばその写真をSNS等で公開した場合、普通の写真より、人目に触れる可能性が高いといえます。人目に触れる可能性が高くなる分だけ、何らかのトラブルの元になる可能性は高いので、個人が特定できない写真に留めるのが無難でしょう」

 意図を問わずに「撮影OK」となっていても、公序良俗に反する写真もやはりNGとなる可能性が高い。「たとえば『パンチラ』のような写真の撮影までアーティストが許諾しているとは常識的に考えられませんから、そのような写真を撮られたことで損害を受けたとして損害賠償を請求された場合に『撮影OKって言ったじゃん』という言い訳は通用しません」(小杉氏)

 好きなミュージシャンを撮影できるのはファンにとって嬉しいことだが、ミュージシャンに対してはもちろん、周囲の観客に対しても迷惑とならないようにするのが最低限のマナー。撮影・投稿の際は、誰かに迷惑をかけていないか、一度よく考えてから行動したいものだ。
(文=編集部)