Gotchが語る、Weezer楽曲の面白さ「ロックミュージックの美しい部分が全部入っている」
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隔週木曜日の20時~21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。6月29日の放送には、ソロ名義での7インチシングル『Taxi Driver』を6月にリリースしたGotchこと後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)が登場し、“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼の音楽性を掘り下げるべく、収録現場の模様の一部をレポートしたい。
Gotchがまず、自身のルーツとして挙げたのは、Oasisの「Live Forever」(アルバム『Definitely Maybe』収録)。彼がこの曲に出会ったのは浪人生の時代で、リアム・ギャラガーの声を聴いた途端、雷に打たれたような衝撃を受けたという。その度合いは「この曲を聴いてなかったら自分が音楽をやってなかったんじゃないかというくらい」だそうだ。
また、楽曲自体はギターコードもシンプルで、コピーもし易いのだが、Gotch曰く「全然(本家の)感じが出ない。BメロからAマイナーに行くあのニュアンスはリアムじゃないと出ないのかもしれない。ノエル(・ギャラガー)がシンプルな進行で曲を作っても、リアムが歌うだけで魔法がかかる」と、ギャラガー兄弟の2人が織りなす楽曲の特徴について述べた。アジカンとオアシスといえば、インディーズ時代からの名曲「E」のアウトロで「Live Forever」のギターソロを引用するなど、Gotch含めメンバーの音楽にも強い影響を及ぼしたバンドなだけに、このチョイスは納得だ。
続けて、“10代20代の節目となった曲”として挙げたのは、Foo Fighters「I’ll Stick Around」(アルバム『Foo Fighters』収録)とReef「Naked」(アルバム『Replenish』収録)。Oasisに出会った衝撃以降、東京で洋楽アーティストの来日公演を見るようになったというGotch。当時Foo Fightersは川崎のCLUB CITTA’で、Reefは当時新宿にあったLIQUIDROOMのライブに足を運んだそうで、「距離が近かったし何もかも新しい体験で感動した」と両バンドにとって初来日だった一夜を振り返る。
また、Reefのライブではゲイリー・ストリンガー(Vo)がMCで「何してもいいよ」と言ったことから、観客がステージへ上がったそうで、Gotchもその一人だったと語ってくれた。その数年後、バンドはLIQUIDROOMのステージに立ち、Gotchはステージ上で感慨深い気持ちになったという。改めて洋楽バンドの来日公演が生む異様な熱狂を感じさせられたエピソードだ。
番組中盤では、“音楽を始めてから影響を受けた曲”としてWeezer「Only in Dreams」(アルバム『Weezer』収録)が紹介された。同曲はGotchが主宰を務めるレーベルの名前にタイトルを使うなど一際思い入れの強い楽曲で、ルーツを紹介する際はほとんどこの楽曲やブルーアルバムの魅力をレコメンドしている。最新のオリジナルアルバム『Wonder Future』でも、Weezerと同じ卓を使ってレコーディングすることに挑戦するなど、その愛はとどまるところを知らない。
GotchはWeezer楽曲の面白さについて「曲の構成が変で『それ、本当にいる?』という展開がある。間奏で今まで出てきていなかった展開が登場したりと、曲全体の構成で心をつかみにくる。当時は演奏の上手さでハードロックには勝てなかったけど、アイデアで勝ったわけです」と解説。そのなかで最も美しい構成はアウトロだそうで、「一回終わりかけて、終わったかなと思ってからベースだけになって楽器が1つずつ戻ってくる。そこから最後のソロと終わりにかけては、ロックミュージックの美しい部分が全部入っている」と語ってくれた。
なお、番組では意外なチョイスともいえる彼の“100年後に残したい音楽”や、新作『Taxi Driver』についてのトークも行なわれた。本番組で語られたスタンスや情報を踏まえてアルバムを聴くことで、作品に込められたメッセージを改めて紐解くことができるはずだ。
(文=中村拓海)
■番組情報
KKBOX presents『897 Selectors』
DJ:野村雅夫
放送日:毎月第一・第三週木曜20:00からInterFM897でオンエア
次回ゲスト:Gotch(6月29日放送)
番組ホームページ
■連載「アーティストが語る“ミュージックヒストリー”」バックナンバー
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第二回:大塚 愛が明かす、デビュー以降の“声の変化”と転機になった洋楽ソング
第三回:藤原さくらが“アレンジの重要性”に気付いた作品とは? 「クレジットをかじりつくように見た」
第四回:MACOの音楽に影響を与えたポップス・日本語ラップの作品は? 本人が語る“意外な”ルーツ
第五回:大沢伸一が明かす、MONDO GROSSO新作にも繋がった“ニューウェーブからの影響”