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星野源とマーク・ロンソンの貴重なセッションも披露 音楽の楽しさ届けたダブルヘッドライナーショー

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リアルサウンド

 星野源とマーク・ロンソンによるダブルヘッドライナーショー『LIVE IN JAPAN 2019 星野源×MARK RONSON』が12月9日、10日の横浜アリーナで開催された。

 上海、NY、日本、台湾で行われ、先日大盛況で幕を閉じた星野源のワールドツアー『Gen Hoshino POP VIRUS World Tour』の一環として開催された両者のダブルヘッドライナーショーは、昨年に続き2度目。前回は観られなかったコラボレーションが実現するなど、さらに充実したステージが繰り広げられた。

 最初に登場したのはマーク・ロンソン。12人編成のストリングスを率いて登場したマークは、まずピアノの前に立ち、「レイト・ナイト・プレリュード」のシックな雰囲気のメロディを奏でる。ディスコ、ソウルミュージック、ヒップホップなどを結びつけるサウンド、生のストリングスによるオーガニックな響きが溶け合い、未体験の音像を生み出していく。60〜80年代のルーツミュージックを現代的なダンスミュージックへと昇華してきたマークは、生楽器を大胆に取り入れることで、その音楽性をさらに進化させていた。

 「ストップ・ミーfeat. ダニエル・メリウェザー」ではダニエル・メリウェザーが登場し、ソウルフルなボーカルを響かせる。さらにマークが星野源を呼び込み、3人で映画『アリー/スター誕生』の主題歌「シャロウ〜『アリー/ スター誕生』愛のうた」をセッション(星野はアコギを演奏)。予想外のコラボレーションを目の当たりにした観客から大きな歓声が沸き起こった。

 星野、ダニエルがステージを去った後は、まさにマーク・ロンソンの独壇場。「アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ」が炸裂し、スタンディングのアリーナはダンスフロアに変貌。キック、ベースを強調したトラックもめちゃくちゃ気持ちいい。ラストはエイミー・ワインハウスの楽曲を中心に構成。ソウル、R&Bへの深い愛情、音楽的なトライアル、そして、観客に対するオープンマインドな態度がひとつになった素晴らしいアクトだった。

 星野源はアルバム『POP VIRUS』の表題曲「Pop Virus」からスタート。アコギとMPCで静かに音が立ち上がり、〈刻む 一拍の永遠を〉というフレーズがゆったりと広がる。「ただいま! 横浜!」という声を合図にストリングスが加わり、心地よい解放感へとつながっていく。アルバムのツアーのときに比べ、ややリラックスした雰囲気のバンドグルーヴが気持ちいい。

写真=田中聖太郎

 さらに「一緒に踊ろう!」と「SUN」を披露。星野、長岡亮介(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)が河村“カースケ”“智康(Dr)のまわりに集まって鋭利なイントロを奏でた「桜の森」を演奏し、星野は「『POP VIRUS World Tour』初の日本公演です〜。おもしろい」と笑顔で語った。続く「湯気」はファンク経由の硬いリズムと叙情的なメロディが溶け合い、不思議なエキゾチズムを含んだ音像がゆったりと広がる。ミラーボールの光のなかで演奏された「Ain’t Nobody Know」では“ブラックミュージック×J-POP”な星野のスタイルによって、会場全体が快楽的なバイブレーションに包み込まれる。バンドの演奏も、今回のワールドツアーを機にさらに深みを増していた。エンディングにおける、長岡のワウを効かせまくったギターソロも絶品だった。

 「楽しいな。気持ちいいな、久しぶりの横浜アリーナ」というMCの後は、「地獄でなぜ悪い」。軽快なサウンドにリアレンジされ、メロディの良さがしっかりと際立っていた。続く「KIDS」では、カースケとSTUTS(MPC)による“リズムバトル”も。両者のリズムの応酬を楽しそうに見ている星野の姿も印象的だった。

 さらに80年代ビートロック風の「プリン」では、(『POP VIRUS』のドームツアーと同じく)間奏のブレイクでメンバーのトークタイムへ。話題はワールドツアーのNY公演移動時に起きたSTUTSのハプニング話で盛り上がった後、ハマのベースを合図に再び「プリン」に戻る。このゆるい演出をエンターテインメントにできるのは、もちろん星野源だけだ。

 会場の子供たちを狂喜乱舞させた「ドラえもん」、メンバー紹介を挟みライブは後半へ。今回のワールドツアーで初めて披露された新曲「Same Thing(feat. Superorganism)」は、この日のライブのポイントだったと言っていい。

 EP『Same Thing』の表題曲「Same Thing(feat. Superorganism)」は、イギリス、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど多国籍のメンバー8人によるバンド・Superorganismとのコラボ曲。英語詞による作詞と作曲を星野、編曲はSuperorganismが担当している。音源を聴いたときは“Superorganismのテイストが強い”という印象だったのだが、この日の演奏にはバンドメンバーのセンスと技術がしっかりと作用、有機的なグルーヴが加わることで、肉体性を感じさせるダンスチューンに変貌していたのだ。“Wabi sabi/Make it messy”というサビで大合唱が生まれるなど、ライブの盛り上がりも申し分なし。インディーポップ風の原曲も魅力的だが、ライブならではの表現を体感できたことは大きな収穫だった。

写真=田中聖太郎

 「踊りましょう。覚えている限りでいいですから」と披露された「恋」では星野がステージ左右の花道に進み、観客の至近距離でパフォーマンス。最後に星野源の幅広い音楽性を凝縮した「アイデア」を演奏し、本編は終了した。

 アンコール1曲目の「Week End」ではマーク・ロンソンがギターで参加。ソウルフルなギターカッティングで楽曲に色を添えた。「好きなように踊ろう!」と呼びかける星野もこの貴重なセッションを心から楽しんでいるようだ。

「今年はいままでやったことがないことをやろうと。踏み出してみて思ったのは、すごく普通なんですけど、音楽って楽しいなっていう。曲作りもそうだし、ライブもそうだし、いろんなところで音楽が鳴って、自分が作った音楽があなたとかあなたとか、しかも海を越えていろんな人に届いて。そして、いろんなところでダンスが生まれて、また歌が生まれて。その連鎖のなかに僕がいれることを本当に幸せに思います」

 そんな言葉の後で演奏されたのは、「Hello Song」。〈いつかあの日を/超える未来〉〈笑顔で会いましょう〉というフレーズが響き渡るなか、ライブはエンディングを迎えた。

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写真=田中聖太郎
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(文=森朋之/写真=田中聖太郎)

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