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岡崎藝術座「+51」メキシコ・ペルーツアー終了、神里雄大「この作品は幸せに育った」

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岡崎藝術座「+51 アビアシオン, サンボルハ」より。(Photo by Carlos Alvar)(c)The Japan Foundation

岡崎藝術座「+51 アビアシオン, サンボルハ」が、12月13日から20日までメキシコとペルーで上演された。

本作は、2015年に初演され、その後ヨーロッパツアーも行われた神里雄大の作品。移民をテーマに創作を続けてきたペルー出身の神里が自身のルーツに迫る物語で、今回は国際交流基金の主催により、メキシコとペルーにて上演された。出演者には捩子ぴじん、福永武史、稲継美保が名を連ねている。

ツアーを終えた神里は「上演はどうだったかというと、まずはメキシコシティの標高からくる酸素の薄さ、乾燥に俳優たちは苦戦していたので、リハーサルよりも出来が悪いと言える箇所もあった(とはいえ慣れない環境によく順応してやっていたとも感じたのだが)。いっぽう、ぼくが一番気になったのは観客のことで、簡単に言うと、上演中に写真を撮りすぎ。客席がそういう行為をしやすいという環境だったのは確かだったが、それにしてもぼくが疑問に思ったのは、これをメキシコのカンパニーの公演でもやるのだろうか、ということだった」と上演環境に言及。「それでも集中を切らさず最後までやりきった俳優は立派だったと思うし、現地のスタッフたちも一生懸命にやってくれていたし、だからぼくはこの作品を代表しなくてはならないものとして、なにをするべきだったのかいまも考えている」と語った。

ペルー公演については、「ペルー、首都リマ。91歳の祖母が住んでいる。劇中に出てくる神内先駆者センター(デイケア的施設)も、タイトルのサンボルハ地区アビアシオン通りもある。スタッフの受け入れは熱心で、会場はメキシコシティよりコンパクト、なにより標高が下がったこと、湿気の多さに俳優たちの体は変わったようだった。リマではこれまで上演したどことも違う反応が返ってきた。俳優の一人がリマの街の話をし始めるとそれまでいぶかしげに見ていた観客も身を乗り出し、笑い、終演後には自分たちの街を外からの視点で見ることで、認識が変化する、みたいな感想を残して帰っていったのだった」と振り返る。さらに「リマの公演のことはいまはまだあんまり書けない」「5年前にこの作品ができたころには、まさかこんなことがあるなんて想像もしなかった」と感慨を述べつつ、「5年の時を経てリマの地で言葉にできない感覚にぼくは包まれて、そういうわけでセンチメンタルな感じもするし、戸惑いもあるし、とにかくうまく言葉にできないが、この作品は幸せに育った」と手応えを述べた。

最後に神里は「この作品をまたやるかはわからない。けれど、作品の評価は高く、リマで新たな仕事が生まれそうな話も出てきて、言葉にできないものをそのままに、今後もぼくたちは作品をつくって上演していろんな土地を回りたい」と思いを述べている。

岡崎藝術座「+51 アビアシオン, サンボルハ」

2019年12月13日(金)・14日(土)※公演終了。
メキシコ ベニート・フアレス劇場

2019年12月19日(木)・20日(金)※公演終了。
ペルー アリアンス・フランセーズ・リマ

作・演出:神里雄大
出演:捩子ぴじん、福永武史、稲継美保