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Ryu☆×かめりあ×DJ WILDPARTYが語り合う、音楽ゲームとダンスミュージックの変遷

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 KONAMIの音楽ゲーム『beatmania』シリーズなどで活躍するトラックメイカー・プロデューサーのRyu☆が、新レーベル<EDP(EXITTUNES Dance Production)>を設立。7月6日に第一弾作品として、コンピレーションアルバム『EDP presents ravemania 2016 summer』と、かめりあによる『MEGANTO METEOR』を同時リリースした。リアルサウンドでは今回、Ryu☆とかめりあ、そして『EDP presents ravemania 2016 summer』に参加したDJ WILDPARTYによる鼎談を行ない、「日本発のダンスミュージックを世界に」というコンセプトのもとに立ち上げられた同レーベルが目指すものや、音楽ゲームとダンスミュージックの変遷、それぞれの制作環境などについて、じっくりと話を訊いた。(編集部)

「次世代のダンストラッカーをもっと世界へ」(Ryu☆)

――まずはRyu☆さんに質問です。どういった経緯でレーベルとしての<EDP>を立ち上げることになったのでしょうか?

Ryu☆:ここにいる2人を含め、次世代と呼べる10代や20代に才能のあるダンストラッカーたちが続々と出てきたことで、シーン自体も盛り上がってきました。それを受けて、僕自身が今までやってきた色々なものを駆使して、彼らの音楽をもっと世界へ向けて広げていくことができたらと思い、レーベルを立ち上げることにしたんです。

20160804-edp6.jpgRyu☆

――第一弾リリースとして、かめりあさんの『MEGANT METEOR』とダンスコンピレーションアルバム『EDP presents ravemania 2016 summer』を選んだ理由は?

Ryu☆:『EDP presents ravemania 2016 summer』に関しては、常々日本のクリエイターによる書き下ろしを集めたダンスコンピを作りたいと思っていて、2016年1月に第一弾をリリースした作品なんです。色んな人の音源をまとめて聴くことができるので、タイミング的にも今だろうと思いました。かめりあ君のアルバムは、『EDP presents ravemania 2016 summer』のリリースが決まったあとに、レーベルとして1枚指針となるソロアルバムも欲しいなと思い、彼を指名させてもらいました。

かめりあ:誘っていただいたときは自分が第一弾だと思ってなかったので、すごく光栄な反面、責任も感じていましたが、先駆けとしての役割を果たすため精一杯作りました。

――今回の『EDP presents ravemania 2016 summer』は、「2016年の夏」というテーマのもと、各自が新曲を提供していますが、ほかにRyu☆さんから提示したお題のようなものはあったのでしょうか。

Ryu☆:お題の前に、「日本の優秀なダンストラックメイカー・クリエイターを世界へ」というEDPの目的にぴったりの方々をお誘いしました。裏テーマとして「和」という概念はありますが、そこは特に細かく指示せずとも、日本人として自然と出てくるものがあると考え、ある程度信頼できる方々に幅を持たせて依頼させて頂きました。結果として、それぞれの個性がうまく出ていると思います。

――確かに、「和」の要素をしっかりと音で表現したものもあれば、展開は全然違うのに楽器はサンプリング音なども含め、日本にまつわる音を用意している方もいましたね。

Ryu☆:そうなんですよ。「和メロ」のように音階でわかるようなものを作らずに、みんな各々に表現しているから面白いんです。あるアーティストは寺で録音したことで和のテイストを出そうとしていましたし(笑)。

かめりあ:全体を通して夏っぽい曲が多くて、聴いていて楽しくてテンションの上がる1枚でした。日本の四季に合わせて『winter』や『Spring』、『Autumn』も聴いてみたいです。

Ryu☆:よし、採用(笑)! あと、『Dancemania』にはスピード感がある楽曲も、そうでないものも沢山入っているのが面白いと思っていたので、ジャンル被りが少なくなるようにメンバーを選定し、作品の中で「対バン」的に勝負してもらうようなイメージでした。やってみたら予想以上のトラックが沢山届いて、楽しい思いをさせてもらいました(笑)。

20160804-edp7.jpgDJ WILDPARTY(左)とかめりあ(右)。

――ひとつの作品内でクリエイターが争うという意味では、DJ WILDPARTYさんが以前にリリースしていたミックスCD『VS.[Versus]』に近いような気がします。

DJ WILDPARTY:そうですね。もともと自分はクラブを中心にDJをやっているのですが、昔から同人音楽の周りの人たちとも仲良くさせてもらっていて、曲のクオリティが高いことも知っていたので、この2つのシーンを混ぜたものをパッケージとして出したら面白いのではないかと思ったんです。それで当時、国内と海外のクリエイターが1枚の中で真剣勝負するようなテーマで『VS.[Versus]』をリリースしました。

――<EDP>が掲げるコンセプトには、近しい立場として共感するところも多そうですね。

DJ WILDPARTY:同人活動でも、kors kさんのレーベル(<S2TB Recording>)と一緒にオリジナルのミックスCDを作らせてもらったりと、音楽ゲームに近しいクリエイターさんとも定期的に交流していますし、良いトラックメーカーたちを色んなところに紹介していきたいと思っていたので、大いに共感できます。今の自分は、秋葉原MOGRAでアニソンやJ-POPのイベントに出演したり、Maltine Recordsなどが主催するネットレーベル系イベントに出たかと思えば、AtomやT2といったディスコ箱で回したりと、色々な分野にかかわらせてもらっているので、僕なりの広め方もできればいいかなと考えています。

Ryu☆:国内のDJで、一番幅広くジャンルを網羅してるんじゃない?(笑)

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「スタートとゴールを明確に決める必要性がある」(DJ WILDPARTY)

――『EDP presents ravemania 2016 summer』では、3人もそれぞれ新曲を書き下ろしています。それぞれの新曲について伺っていきたいのですが、まずはRyu☆さんの「Over Drive」について。全体的に重めの音が多い今回のアルバムにおいて、飛びぬけて解放感のある楽曲だなと感じました。

Ryu☆:イメージ的にはダンスコンピレーション作品の一番最後あたりに入っているような、キャッチーでスピード感のある楽曲をイメージしました。これは前作を踏まえてわかったことなのですが、音楽ゲームのクリエイターって、普段の楽曲は速いものをオーダーされがちなので、自由度の高い作品としてお願いすると、BPM128前後のものを提出いただくことが多くて。そういった経緯もあり、自分はプロデューサーとして速い楽曲を担おうと思いました。

――全体を考えたうえでのチョイスだったんですね。ちなみに、Ryu☆さんはプロデューサー目線でワイパさん、かめりあさんの楽曲についてどういう印象を抱いているのでしょうか。

Ryu☆:ワイパ君の楽曲は、1ジャンルだけを突き詰めている人には到底思いつかないようなアイディアが入っていることが多くて。渋谷と秋葉原、六本木、代官山にいるオシャレなクラバーやギャル、アニメファンも全部アゲれるDJにしかできない芸当だし、フロア向きな楽曲を作るのが上手いなと思います。

DJ WILDPARTY:僕自身はDJ歴こそ長いのですが、DTM歴はまだ浅く、ここ3〜4年で本格的に作り始めた形なんです。毎回リミックスやオリジナル曲を作る時は、自分のDJで使いたくなるようなものを意識していますね。ただ、今回はなるべくひねったものを作る様にしました。

――ワイパさんの楽曲において、ボーカロイドを使用したのは今回が初めてですよね。

DJ WILDPARTY:そうですね。僕の中で「和」というテーマを考えたとき、真っ先にボカロが浮かんだんです。もともと歌詞を読み上げさせたり、曲を歌わせるつもりはなくて。だから今回のボーカロイドもあくまで楽器として使っているんです。

Ryu☆:ボカロを「和」と解釈したのは本当に新鮮で「そうきたか!」と思いました。あとはキメの作り方やブレイクの部分が、フロアで即戦力的に使える機能性を持っていて、DJっぽいなと感じました。こう作ってここで爆発みたいなフロアでどういう風に映えるか。感じのところがすごい分かっている即戦力タイプの曲だなーと思っていました。海外のトレンドも考えて作ってくれたと思うんだけど、やっぱり向こうはフューチャーベースがいまアツいのかな?

DJ WILDPARTY:もともとフューチャーベースって、インターネットを主戦場としているトラックメイカーたちが作ったものなのですが、最近はEDMで使われることも多くて、かつての複雑なキメがバンバン入るようなものから、一音一音が強いものに移り変わっているような気もします。一部ではフューチャーベースだと思ったら全く違う方向に変化する楽曲も登場してきましたし、まだまだ面白いクリエイターが集まってくるジャンルですね。

Ryu☆:こういうのを聞くと、日本も負けられないなと思いますね。音楽だけではなく、エンターテインメント全般にいえることですが、僕は「サプライズ」が重要だと考えていて。EDMが初めて出てきたときも、ブレイクで盛り上げてサビで落とすというドロップの概念に戸惑いましたが、kors kと色々話していて、「どれだけその場で驚かせて、最終的に『あれ? と思ったけどすごくいい!』という印象にできるかじゃない?」という結論になりました。お客さんをどれだけ喜ばせつつ、裏をかけるかが大事なんだと思います。

――かめりあさんの楽曲「yamabiko」についてはどうでしょう?

Ryu☆:とにかく作るのが早くて、今回の中でも一番だったので、『EDP presents ravemania 2016 summer』のCMにも使わせていただきました。楽曲に関しては、ワブルベースを日本で使わせたら1番じゃないかなと思うくらいのクオリティです。

――この曲は直球で「和」と感じさせる音をサンプリングしつつ、ダブステップを取り入れたものですよね。かめりあさんのアルバム収録曲であり、フューチャーベースと和のミックスが特徴的な「kodama」とも連動しているようですが、どちらを先に作ったのでしょうか。

かめりあ:順番としては、「yamabiko」が先ですね。最初に作る段階で楽曲の名前をリストアップしている時に、「yamabiko」という名前にピンときて、しばらく練ろうと思っていたら「kodama」というタイトルも一緒に浮かんできたので、これを対にできないかなと思い、そこから仕上げていきました。

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――今のエピソードが顕著だと思うのですが、かめりあさんの作品を聴いていると、理系っぽいというか、「ここにこういう曲を入れよう」と綿密に計算しているように感じます。

かめりあ:たしかに、今回の作品も15曲を書き下ろすと決まったとき、まずはジャンルを書き出して、15曲分のテンポをグラフで書いて、偏らないように気を付けたり並べ替えたりしました。そこから作れるものを進めていくという形だったので、最初の時点てある程度目標やプランがあった状態といえますね。

Ryu☆:簡単に言っているけど、「15ジャンルを作ろう!」と思ったとして、それを完成まで持っていくのは相当難しいよ。実際完成した作品を聴いたとき、15種類の宝石を見ているような気分にさせられましたし、「これはできるだけ多くの人に聴いてもらわなければ!」と思いました。

DJ WILDPARTY:個人的には、ななひらさんの使い方や電波ソングの取り入れ方もかなり面白いと思います。あと、ブレイクコアが入ってたのはかなり印象的でした。これまであまり作っているイメージがなかったので。

――確かに、ここまでアカデミックに仕上げてきているのに、最後にななひらさんが歌う電波系ハードコア「ウィー・ラヴ・ハードコア」で終わるのは面白いですよね。

かめりあ:アルバムの中でもストーリーを考えていて、戦いを経て最終的にはピースフルに終わるイメージをしたとき、最後はピースフルなアンセムを作るべきだろうと思ったんです。それも踏まえて2度3度聴いていただけると嬉しいですね。

Ryu☆:あと、かめりあ君って、一般層だけではなく、DTMをやっている方や音楽のプロたちの信頼がすごく高くて、BtoBとBtoCを両方クリアしている稀有なトラックメイカーで。スピードとクオリティがそれぞれハイレベルなので、頼もしくもあり、脅威を感じるクリエイターなんですよ(笑)。

DJ WILDPARTY:年間100曲を完パケしているって本当なんですか?

かめりあ:はい。今のところ3年連続です。

DJ WILDPARTY:3年で300曲……イチロー並みの安定感ですね(笑)。それは別として、かめりあ君も幅広い音楽性ですよね。ワブルに長けてるとはいえ、何でも作れるようなイメージです。

Ryu☆:でも、DAWはすごく変わったものを使ってるよね?

かめりあ:そうなんです。アメリカのCockos社が作っているREAPERというDAWを使っています。元々DAWに触るよりも前にMIDIベースで作曲をしていて、DAWに移行する際に調べていたら、ニコニコ動画界隈では音MAD動画を作るのにREAPERが有名なフリーダウンロードツールとして多用されていたんですね。僕もREAPERにしてみたら、手放せなくなっちゃったんです。変えてもよかったんですけど、タイミングを逃して気づけば今日まで来てしまいました。

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――Ryu☆さんの機材については以前にお伺いしました(http://musicfactorytokyo.com/special_detail.html?id=1104)が、ワイパさんはどのような環境で制作を行っているのでしょう?

DJ WILDPARTY:オリジナルはFL Studioで、マッシュアップやエディット、DJMIXの制作はAbleton Liveと使い分けています。FLは波形編集にあまり向いていないので、既存曲にアカペラを乗せるといったことはAbleton Liveのほうが得意なんです。音源の管理には、測定も正確なパイオニアの「Pioneer DJ rekordbox」が欠かせないですね。

Ryu☆:わかる! 僕もBPM測定は「rekordbox」だ。

――曲作りに関して、自分らしさを盛り込むためにしている工夫などはありますか。

Ryu☆:メロディー主体で作るので、メロディーだけは負けないようにしています。1回聴いて、サビのメロはがっちり覚えて貰って帰ってもらう。昔は弾いて作っていましたけど、手癖になりがちだったので、最近は頭の中で想像してすぐ打ち込むようにしています(笑)。

かめりあ:僕はむしろ自分らしさを極力出さないようにしていますね。依頼があれば、ジャズも手掛けますし、ピアノのソロ音源も作りましたし。一方で、アルバムのようなハードコアも作るので、なんにでも柔軟に対応できる音楽性の広さが自分らしさだと思います。

DJ WILDPARTY:僕はサンプリングに近いのですが、最近すごくハマっている楽曲を数曲リファレンスにして作っていくことで、自分らしさを出せていると思います。「このメロディーが合いそうだから拝借しよう」という、DJ的な視点というか。自分は理論だったり技術がまだそんなに追いついていないので、それを補うために、いろいろ試行錯誤していますね。

Ryu☆:面白い。モジュールみたいな考え方だね。楽曲のエッセンスを抽出して再構築するというか。

DJ WILDPARTY:もともとサラリーマンとしてプログラマーを1年やっていて、そこでスタートとゴールを明確に決める必要性を感じたので、楽曲制作においてもその部分は顕著に出ていると思います。曲作りって、細かくしようと思えば終わりが見えなくなるので。

Ryu☆:たしかに、機材の発達で作り方も考え方も変わってきて、より突き詰められるようになりましたからね。若い世代のトラックメイカーは、ハードの制約がないようなものだから、色んな音を駆使して突拍子もないアイディアが生まれてきたり。

DJ WILDPARTY:逆にハードで曲を作る人も増えましたよね。テクノとかでハード機材使うことにポリシーがある人もいます。かめりあ君はプリセットを使わないでイチから作るんですか?

かめりあ:そうですね、むしろそっちが好きです。単純なワブルを一発だけ、とかなら、プリセットのほうが効率がいいのでそうしますが、基本的には作るほうに醍醐味を感じています。

DJ WILDPARTY:なるほど、僕はもっぱらプリセットですね。元々ある曲のリファレンスのこの音が欲しいっていうのは大体プリセットで賄えるし、知り合いとも「出したい音がプリセットに出ているんだったら使ったほうがいい」という話になったので。

Ryu☆:「プリセットは楽」という風に思う人もいるかもしれないけど、それを選択するセンスでどのようにでも変わりますからね。スタックするだけでも、慣れない人はベースの音圧が下がっていたりとか、細かい部分の技術も重要ですし、結局アウトプットが良ければ万事OKなんですよ。みんなが同じ音を出せるようになりつつある環境で差別化を図るなら、すでに似たようなプリセットが出ている音を作るのではなく、斬新なアイディア・サプライズを盛り込む時間に回すべきだと思います。

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「音楽ゲームの楽曲は進化が早まっている」(かめりあ)

――そういえば、『revemania』の楽曲は『beatmania II DX』や『jubeat plus/REFLEC BEAT plus』といったKONAMI社の音楽ゲームにも追って収録されるんですよね?

Ryu☆:そうです。15年ほど携わらせていただいて、音楽ゲームは楽曲に触れてもらう一つの優秀なフォーマットだと感じているので、リスナーにはこれを機にゲームをプレイしてもらいたいですし、ゲームで収録楽曲に触れて興味を持ったユーザーは、ぜひともアルバムを聴いてほしいですね。

DJ WILDPARTY:海外のトラックメイカーも、最近は『DANCE DANCE REVOLUTION』でクラブミュージックを知ったという人も多いらしいですね。ポーター・ロビンソンもそのうちの一人ですし。

Ryu☆:いま、メインストリームに出ている世界的なDJに音楽ゲームを通っている人が増えていますし、特に日本はその傾向が顕著で。サイバートランスのブーム後、クラブの力が弱っていた時期だった2000年代頭から後半にかけて音楽ゲームが流行しているので、10代から20代後半くらいのボカロPやダンストラッカーには大きく影響を及ぼしているのを感じます。

かめりあ:音楽ゲームに収録されることは、明らかに若い人たちに届くという感覚がありますね。クラブって未成年は入れないですし。未成年がダンスミュージックに触れる機会が一番あるのが音楽ゲームだと思います。

DJ WILDPARTY:僕も同じ意見ですね。『SOUND VOLTEX』で一時期エフェクトや譜面を担当させていただいていたのですが、DJ目線で色々とやっていたら、他の作る人と違う印象を持っていただけたらしくて。現場から新しいものを持ち込むこともできると思います。

――なるほど。3人はクラブミュージックとゲームミュージック、両方に携わっていく中で、繋がりや共通項を見出している部分はありますか?

かめりあ:音楽ゲームに収録されているダンス系の楽曲については、基本的にクラブミュージックへ根ざしたものだと解釈しています。僕自身も、クラブミュージックよりも先に音楽ゲームに触れていて、音楽ゲームの曲を「クラブミュージック」として認識していました。今はそこから少しフェーズが変わって、音楽ゲームで純粋培養されて、音楽ゲームに収録されることを目指してクリエイトするトラックメーカーが多く育ってきているので、良い意味で逸脱してきていると思います。

DJ WILDPARTY:僕はユーザーとして音楽ゲームに触れたことはありません。ですが、PlayStationの『wipEout』というゲーム(プロディジーの「Firestarter」が起用された)だったり、『R4 -RIDGE RACER TYPE 4-』の音楽が好きで。しばらく経ってから、それらのゲーム音楽を掘り下げていくとクラブミュージックやハウスに行き着くんだということに気付いたんです。あと、9歳離れた兄が「これはカッコいい、これもカッコいい」と文脈を無視してフラットに紹介してくれたので、単純に良い音楽としてクラブミュージックも音楽ゲーム発の楽曲も聴いていました。

Ryu☆:まさか『R4』が出てくるとは……。僕もこのゲームには影響を受けていて、音楽を手掛けていた細江慎治さん(sampling masters MEGA名義などで活動)は、ロッテルダムテクノ(ガバ)をゲームに持ち込んだ第一人者ですし、僕自身も過去に『RIDGE RACER』のソフトをCDプレーヤーに入れてよく聴いていたり、「VOX UP」という楽曲でコラボさせていただいたのは夢のようでしたね。

かめりあ:音楽ゲームの楽曲は、どんどん進化が早まっているジャンルだと思っています。もちろん、クラブミュージック全般が移り変わりやすいジャンルでもあるのですが、音楽ゲームも新しい楽曲、新しいアイディア、新しい音使いがどんどん更新されて、それらを参考に次から次へと新たなクリエイターが育ってくるという、非常にいいサイクルで回っていますよね。ここ最近だと、曲の中での展開が多くなっていることが顕著だと感じますし、昔はイントロから下がってサビになり、アウトロに持っていくという4展開だったのですが、ユーザーのレベルアップに合わせて展開も8つくらいあるものが平均になっているのを感じるんでしたよね。り、どんどんフレーズがきめ細かくなっていますよね。自分もそこに火を付けている一人なんですけど。

Ryu☆:自分も一翼を担うひとりだから大丈夫(笑)。

かめりあ:そう言っていただけると心強いです(笑)。オーディションや楽曲公募もその進化に寄与しているのではないかと考えています。選考となると、コンペ的に一発目のフレーズがダメなら不採用という切られ方をすると思うので、必然的に作り手の作り込み力やパンチ力、テクニックも上がっていく。それは利点でもあり欠点でもあると思っていますが、少なくとも変化を起こしているのは確かかなと。

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――では、ダンスミュージックの作り手として、2016年も中盤に差し掛かった段階で面白いと思う動きはありますか?

Ryu☆:ひとつキーワードを挙げるなら「回帰」かなあ。オールドスクールなアンセムを再評価する流れが来ている気がするんです。

DJ WILDPARTY:最近だと、アーミン(Armin van Buuren)がHuman Resourceの「Dominator」を使っていたり、ダブビジョン(DubVision)がCeCe・ロジャースの「Someday」(1987年リリース)という大ネタを使った「Sweet Harmony」をリリースしていますよね。

Ryu☆:トップDJがこぞってやっているのも面白いよね。個人的には懐かしさを感じますが。

DJ WILDPARTY:僕はUKのダンスミュージックに面白さを感じています。UKテクノはストイックな曲が多く、最近はカセットテープリリースや配信のみなど、販売形態もフレキシブルですし。かつてはコマーシャルな音楽に対する抵抗もあって、ツーステップやガラージをアンダーグラウンドな環境のままやっていたのですが、今はハードウェルのようなEDM側のクリエイターがこれらの音楽に接近していて、面白そうな動きだなと観察しています。

――先ほど、ワイパさんの口から「現場」という言葉が出ましたが、音楽ゲームにまつわる現場って、ここ数年でようやく増えてきたという印象で。とくに『EDP(EXIT TUNES DANCEPARTY)』の影響は大きかったんじゃないかと思います。

Ryu☆:そうですね、特に先日豊洲PITで行なった『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』は、音楽ゲームを突き詰めると3000人規模のライブイベントができるということを証明できたと思います。

かめりあ:あれは鳥肌が立ちましたね。

Ryu☆:さっきかめりあ君も話してくれたように、若い時期にダンスミュージックへ触れる機会として音楽ゲームが果たした役割は大きいと思います。プレステ版の『ビートマニア』が107万本も売れていたり、『DANCE DANCE REVOLUTION』のブームがあったり、全国の家庭にPCが普及したのもその時期ですし、いろんな要因が重なって、<beatnation RHYZE>などの若手クリエイター陣も音楽ゲームに影響を受けて育ったわけで。ニコニコ動画も含め、音楽ゲームへの入り口も増えて、そこをきっかけとしてダンスミュージックを好きになったリスナーが年々増えていることで、ライブの動員増加にも繋がっているんです。

――8月21日にCIRCUS Tokyoで開催するイベント『EDP presents ravemania / MEGANTO METEOR Release Party』は、これまで主催してきたフェスとは違い、クラブイベントに近いものですよね。

Ryu☆:<EDP>としては、CDリリースだけではなく、ライブやグッズ、ゲーム展開など全方向をやりたくて。『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』では豪華な出演者陣が顔をそろえましたが、一人の持ち時間は2~3曲だったので、ファンの方も満足しきれない部分があったのではないかと思うんです。なので、今回のイベントは各自40分前後のロングセットで出演してもらい、出演者もバランス良く出ていただき、ご来場いただいた方の新しい扉を開くことができるような、バランスがいいと思ってもらえる配置や振り付けを見せられればいいです。ワイパ君も大箱で開催するEDPの15分セットなんて普段やらないだろうから(笑)期待してます。

かめりあ:僕は出演者の多い『EDP』で、よくアクセル全開で暴れまわるのですが、今回それをやるときっと体力が持たないので(笑)、ペース配分をしっかりしつつ、いちDJとしてリリースパーティを盛り上げる楽しいライブができればいいなと思っています。僕のアルバム「MEGANTO METEOR」のリリースパーティも兼ねているので、当日はアルバムから多くの楽曲を披露させていただきます。

(取材・文=中村拓海/写真=三橋優美子)

■イベント情報
『EDP presents ravemania/MEGANTO METEOR Release Party』
開催日:8月21日(日) OPEN/START:14:00/14:30
会場:CIRCUS Tokyo
出演:Ryu☆、kors k、かめりあ、HyperJuice、DJ WILDPARTY、BlackY、Nhato、andmore
追加出演者:Hommarju、Xceon/GUEST:MayumiMorinaga 
チケット:DOOR ¥4,320 ADV ¥3,800
【ADV受付専用URL】http://eplus.jp/edp-hp/(PC・携帯・スマホ)
2016年8月5日(金)10:00~
※入場時ドリンク代別途必要
※3歳以下入場不可/4歳以上はチケット必要
※整理番号順での入場ではありません
主催・企画・制作・運営:EDP
お問い合わせ:EXITTUNES 03-4520-9819
イベント特設サイト

■リリース情報
かめりあ『MEGANTO METEOR』
発売:7月6日(水)
価格:¥2,300+税

<収録曲>
01. THE LAUNCH OF THE MEGANTO METEOR/かめりあ
02. Witness of Eternity/かめりあ
03. Bass Weapon: LAZERFLAME/かめりあ
04. Glitch Nerds (from EDP Presents ravemania)/かめりあ
05. Singularity (The Day When The A.I. Becomes More Human Than Human)/かめりあ
06. NEURO-ROCK-OUT/かめりあ
07. Nightmare of Hornets Squad/かめりあ
08. Devil’s tattling/かめりあ
09. MEGANTO METEOR/かめりあ
10. イーディーエム・ジャンパーズ (from EDM Extreme)/かめりあ feat. ななひら
11. Glasya-Labolas/かめりあ VS. PHQUASE
12. FIRETHROWER/かめりあ
13. kodama/かめりあ
14. Free To Free/Quarks(kradness×Camellia)
15. Enantiomorphs/かめりあ
16. Berserkerz’ Warfare 345/かめりあ
17. ウィー・ラヴ・ハードコア/かめりあ feat. ななひら

特設サイト

【2016/7/6 Release】MEGANTO METEOR / かめりあ【Crossfade Demo】

『EDP presents ravemania 2016 summer』
発売:7月6日(水)
価格:¥2,500+税

<収録曲>
01. POWER STORM/K SUKE
02. Hibana/Nhato
03. Chuck Chuck/Masayoshi Iimori
04. Temple Riot/HyperJuice
05. Hydrangea (ravemania mix)/REMO-CON
06. yamabiko/かめりあ
07. WAM/Hommarju
08. P.I.o.t.S./Xceon
09. Turn Round/DJ WILDPARTY
10. Seasonable hours/KAN TAKAHIKO feat. Numb’n’dub
11. Distant Summer/kors k
12. Runaway Tonight/DJ Shimamura
13. FUNNY SUMMER VACATION/P*Light
14. Over Drive/Ryu☆
15. Burning Oasis/BlackY
16. Pica Pica/RoughSketch

特設サイト

【2016/7/6 Release】EDP presents ravemania 2016 summer【Crossfade Demo】