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『PRODUCE X 101』からX1が誕生するまで 解散発表を機に振り返るメンバー間の厚い友情

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リアルサウンド

 韓国の男性アイドルグループ、X1が解散を発表。6カ月の活動に終止符を打った。

(関連:『PRODUCE X 101』から誕生のX1、名実ともにトップグループへ 番組出演者による新グループも

 X1は韓国の人気オーディション番組『PRODUCE X 101』(以下、プデュ)を勝ち抜いた11人のメンバーによるアイドルグループだ。“プデュ”出身のグループは、活動期間が設けられるのも特徴のひとつ。なかでもX1は過去最長の5年間が設定され、グループの継続的な活躍に大きな期待が寄せられていた。しかし、番組自体に票数操作疑惑など、様々な問題が発生し、ついには解散に至ってしまった。解散に至るまでの経緯や、その是非については今回は割愛しようと思う。本稿ではX1に連なる『PRODUCE X 101』の物語、そして彼らが我々“ONE IT(ファン)”に見せてくれた素晴らしい活動について、振り返ってみたい。

 X1には、すでにアイドルとして活動していたメンバーも含まれている。UP10TIONのキム・ウソク、VICTONのハン・スンウ、UNIQのチョ・スンヨンの3名だ。彼らはグループの中でも年長者にあたる年齢で、活動経験や練習生期間が長いこともありグループを引っ張っていった3人でもある。すでにデビューしているにも関わらず、改めて『PRODUCE X 101』に出演した理由は様々だ。しかし、もう一度アイドルとしてステージに立ちたいという夢を追いかけ続ける一心だったことは間違いないと思う。

 また、UP10TIONからはイ・ジニョクも番組に参加していた。彼はウソクとともに番組最後のデビュー評価に進んだが、あと一歩及ばず落ちてしまった。こうなってくると本当に落ちてしまったのかは不確実だが、とにかく番組としては落ちてしまった。番組当初から2人は他のメンバーを引っ張っていただけに、一緒にデビューできなかったことは一視聴者として心を痛めた。

 ウソクは、順位が発表された際、以下のようにコメントしている。

「多くの人から愛される機会を持つことは、本当に難しいことだと思っていました。4カ月前はそんな貴重な機会が与えられるなんて、想像もしてませんでした。(中略)ジニョク。僕の人生に現れてくれてありがとう。愛してる」

 また、同じくデビュー評価まで進んだものの、残念ながら落ちてしまったキム・ミンギュと、X1のソン・ヒョンジュンのストーリーにも触れたい。

 ミンギュとヒョンジュンはともに番組当初からの上位メンバーだった。よって、二人ともデビュー確実とみていたファンは多かったと思う。しかし、惜しくもミンギュはデビューの機会を逃した。

 彼らは番組当初のランク分けテストの時に、席が隣だったことから交流が始まったようだ。デビュー評価まで残った20人の中でも、特に信頼しあっていたメンバーのようで、そんな関係が感じられるシーンが、番組最終回にお互いに贈りあったビデオメッセージに表れている。

 まずはヒョンジュンからミンギュへと送ったメッセージだ。

「ミンギュ。Xランク(筆者注:練習生が分けられる5つのクラスの中で一番下のランクのクラス)の時から最初に僕を気にかけてくれてありがとう。頼れる存在としてそばにいてくれて感謝してる。いつも心配してくれてありがとう。一緒にデビューしたい」

 そしてミンギュからヒョンジュンへ。

「ランク分けテストで近くに座った時、お菓子を渡して挨拶してくれたよね。コンセプト評価の時、僕が移動になってつらくて諦めたかった(筆者注:ミンギュはコンセプト評価の課題曲が練習中に変更になった)。でも君の“今までうまく乗り越えられたんだから、一緒にデビューできる”って言葉が大きな力になった。最後の評価でいい結果を出して一緒に活動したい。デビューしよう、ありがとう」

 二人の厚い友情が感じられるメッセージだ。他にも、様々なメンバーにストーリーやバックグラウンドがある。X1は、こうした練習生同士の支え合いの100日間の蓄積を背負って結成されたグループとも言える。練習生みんなの希望が必ずしも全て叶えられたわけではないが、11人はそうした想いを胸に抱いて活動していたはずだ。

 X1は歴代の“プデュ”出身グループの中でも、取り立てて仲が良いグループにも見える。番組中の、国民プロデューサー代表、イ・ドンウクとの深い交流は、歴代でも珍しい光景だった。もちろん、他の“プデュ”出身グループも仲良しであることは付け加えておく。

 とくにそうした仲の良さ、メンバー間の絆の深さを感じられたのが、X1活動開始後、キム・ヨハンが足を怪我してしまった時だ。怪我により踊れなくなってしまったヨハンは、ステージに椅子を置きボーカルのみで参加していたのだが、それを気遣うメンバーの振る舞いに心うたれた。

 それは、特に「Like always」のステージで顕著だったように思う。ラストサビ、メンバーがフォーメーションを崩して、ステージを目一杯に動き回る振り付けがあるのだが、そこでみんなが椅子に座ったヨハンの元に駆け寄りちょっかいを出すのだ。そして最後の決めポーズでは、全員でヨハンを囲む。

 非公式のファンカムなどでも、そうした姿が確認できる。もちろん、振り付け上の工夫としての意図もあるだろうが、表情からは皆の優しさが読み取れる。

 筆者も豊洲PITで行われたK-POPフェス『12th KMF2019』でのX1のステージを見たことがある。彼らの仲の良さというか、和気あいあいとした雰囲気には心癒された。実際、MC中では同時通訳の声が聞き取れないほどメンバー同士で喋り合っていて、思わず苦笑したのを覚えている。

 X1は思えば最初から苦境が多かったグループだった。ヨハンの怪我もそうだが、前述のイベントの際は、日韓関係が急速に悪化している最中で、そもそもの来日が危ぶまれた。さらに言えば本人たちの過密スケジュールも相当なものだったろう。

 しかし、彼らはそうした困難を乗り越えながら我々ONE ITにとびきりの笑顔とパフォーマンスを届けてくれた。それがわずか6カ月という短い活動期間になってしまったことは、非常に胸が痛むし残念に思う。筆者もまだ心の整理がつけられていないのが正直なところだ。

 だが、彼らなら今回の逆境もきっと乗り越えられると信じている。“プデュ”では落ちてしまったメンバーたちも、番組をきっかけに手にしたチャンスを生かしそれぞれ活動を続けている。X1のメンバーたちも、またどこかであの笑顔を見せてくれるだろう。心が折れてしまうような状況だと思うが、今は少しゆっくりして、家族や友人たちと心休まる時間を過ごしてほしい。そして、まだ夢を諦められない気持ちがあるのなら、また努力を続けてほしい。彼らが花道だけを歩いていけることを祈る。〈포기 하지 마(諦めるな)〉。
*本文中メンバーのセリフは番組中の字幕より。 (ヤマダ)