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Hey! Say! JUMP 中島裕翔、“自分探し”を描く表現力 『僕はどこから』出演を機に考察

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 Hey! Say! JUMPの中島裕翔主演のドラマ『僕はどこから』(テレビ東京系)で、1月8日よりスタートした。原作は、市川マサの同名漫画。中島は、書き写すことで他人の思考をコピーすることができる特殊な能力を持つ、小説家志望の主人公・竹内薫を演じる。

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 これまでも多くの作品に出演し、以前から高い評価を得てきた中島の演技。なかでも、視聴者の胸を掴むのは、追い詰められるキャラクターだ。まっすぐに生きようともがくのに、理不尽な境遇に悩まされる、いわゆる善良な一般人を演じるのが抜群にうまい。

 元来、中島は恵まれた側の人間だ。ジャニーズに入るいなや人気者となり、先輩アイドルの作品にも抜擢され、CDデビュー前から雑誌の表紙を飾ったほど。家族愛あふれるエピソードが多く語られ、カメラや乗馬など多くの趣味を持ちプライベートも充実。今では、アイドルのみならず、モデル、俳優としても、その才能を発揮させ、まさに順風満帆な人生に見える。

 そんな彼が、苦悩に満ちた人生を送るキャラクターを演じるのがうまいのは、なぜか。それは、彼が大きな挫折を経験したから。Hey! Say! JUMPとしてCDデビューした直後、彼はグループのセンターに立っていた。だが、すぐにその座には山田涼介が立つことになる。

 今でこそ、雑誌の対談などで「あのころは嫌いだった」と笑いながら言い合えるようになった中島と山田。彼らは今や、最高のライバルとしてお互いに切磋琢磨する仲だ。今シーズンも、中島が本作で主演を務めれば、山田の主演映画『記憶屋』が公開される。だが、そんなふうに認め合えるようになるまでには、お互いに葛藤があった。中島に至っては、もともと多くを持っていればこそ、思い通りにいかなかったときのショックが大きかったはずだ。

 深く傷つきながらも心を立て直し、求められることを全うしながら、苦しい体験を演技へと昇華したのは、見事の一言。アイドルとしての華々しいオーラをただ放出するだけでなく、その場に応じて調整していく。それゆえに、彼は追い詰められる弱者を見事に演じきることができるようになった。

 本作で、中島が扮する薫も、認知症を患った母を介護しながら、アルバイトで生計を立てる苦悩に満ちた青年だ。小説を持ち込めば編集者から「キミってものがないのか」と叱咤され、バイト先でこびりついたガムを剥がそうとすれば「床が傷つくよ」と注意され、常にペコペコしっぱなし。せっかくの特殊能力も活かす術を考える余裕もなく、その日その日を必死に生き延びる日々。

 「僕は、僕はどこから来るんですか……」絞り出すようにつぶやいた薫のセリフが、切なく響くのは、もしかしたら大きく傷ついたかつての中島とリンクしているからかもしれない。母親のケガをきっかけにさらに追い込まれる薫。今は小説に勤しむしかない、とできることに没頭していく姿も、鬼気迫るものがある。そんな薫のもとに、特殊能力を利用しようと元同級生の智美(間宮祥太朗)が訪れる。さらなる大きな運命のうねりに翻弄されていく、薫こと中島の表情が楽しみだ。

 そして、本作を彩る主題歌「I am」もHey! Say! JUMPが歌う。4つ打ちのビートがまるで高鳴る心音のように迫りくる。力強いリズムと、Hey! Say! JUMPの軽やかな歌声の対比が際立って聴こえる。真っ当に、誠実に、潔白に歩みたいと願いながらも、黒い気持ちに支配されそうになるのが人生。迫りくる闇と、それを振り切るように光の指す方へと走り抜けていくしかない。演技で、歌で、“自分探し”を描く中島の表現力に期待が高まる。(佐藤結衣)