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『YG宝石箱』から誕生のTREASURE、デビューへ寄せる期待 YGエンターテインメントにとって新たな試みに

音楽

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リアルサウンド

 2020年1月6日、TREASUREの正式デビューの予定が発表された。彼らは大手事務所YGエンターテンイメント所属ということもあり注目度は高いものの、当初のデビュー計画の延期や、デビュー前にメンバーのハ・ユンビンが脱退してしまうなど、相次ぐトラブルを乗り越えてついにデビューすることとなる。TREASURE誕生のきっかけとなったサバイバル番組『YG宝石箱』では、これまでのYGエンターテインメントの方針とは異なり、デビューメンバーへの作詞作曲能力は求めず、同事務所の先輩にあたるBLACKPINKの成功の影響を受けてか“ビジュアル重視”が強調されてきた。YGエンターテインメントに所属する他のアーティストやグループとは異なるTREASUREの個性から、これからK-POPシーンに与え得る影響を予測していきたい。

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 TREASUREはYGエンターテインメントの新しい試みが盛り沢山のグループだ。それは、ビジュアル重視ということだけでなく、12人という大人数でアイドルグループを形成した点についても言える。昨今のK-POPでは、大人数グループが繰る“群舞”は一つのジャンルをなすほど定着してきた新たなトレンドであるが、それはYGエンターテインメントに所属するタレントの強みである“アーティスト性”とは異なる位置にあるように感じられる。サバイバル番組『YG宝石箱』でもYGエンターテインメントに所属してきたアーティストの楽曲に限らず、様々なK-POPスターの人気曲をカバーしてきたことから、TREASUREのロールモデルはこれまでのYGタレントとは別にあるようだ。その点で、TREASUREが12人でデビューすることに“YGらしさ”を感じられなくなるのではという懸念もある。しかし、“YGらしさ”は、最近も増え続ける他事務所の“自主制作アイドル”と比べてもアーティスト性が抜きん出て感じられるそれぞれの作詞、作曲スタイルではなく、YGエンターテインメントに所属するアーティストに共通するセルフプロデュース力の高さにあると考える。『YG宝石箱』では残酷なデビューメンバーの選出方法の傍ら、アイドル性を含む練習生によるハイレベルなパフォーマンスが繰り広げられてきたことが、YGらしいサバイバル番組であると感じた人も多いのではないだろうか。

 また、今回の正式デビュー発表の時点では、TREASUREのメンバーには要求していなかった作詞作曲についても言及されており、デビュー延期となった間もメンバー自身が制作した楽曲が評価を得たという理由で、制作にもメンバー自身が携わることになったことが発表された。これは、TREASUREが“ビジュアル重視”のグループとして結成されたものの、結果として“ビジュアル良し、スキル良しのハイスペック集団”としてデビューすることの発表だったと言っても過言ではない。しかし、これまでのYGエンターテインメントのアーティストのスタイルが12人もメンバーがいるTREASUREにそのまま適用できるかは、別問題だ。同じ容姿端麗のアーティストでもBLACKPINKは4人と少人数で、それぞれの個性がわかりやすかったが、12人全員が個性を発揮できるステージはどんな状況であっても難しいだろう。また、TREASUREの前身グループ・TREASURE13についてYGエンターテインメントのヤン・ヒョンソク代表は、「グループが7人以上で構成されると、メンバーが歌に参加できる限界が存在する」という考えを表明していた。それを踏まえると、TREASUREは元々全員が平等に個性を発揮できる場として準備されていなかったと考えられ、これまでのYGエンターテインメントのアーティストとは明らかに異なる特徴を持つことが期待される。TREASURE13は7人で構成されるTREASUREと6人で構成されるMAGNUMの合同活動として発表されていたが、今回の発表ではTREASUREとして統合されることが明らかになった。12人のメンバーが所属するTREASUREとYGサウンドの組み合わせに関しては未知数であり、パフォーマンスのスタイルとして“群舞”に挑戦する可能性も大いにあるだろう。

 TREASUREはYGエンターテインメントのグループの中では圧倒的にアイドル性の高いグループになりそうではあるが、同事務所に所属するアーティストに見られる特徴として年間のリリースが他事務所に比べて控えめなことが懸念される。つまりTREASUREのアイドル性を存分に発揮するためには、YGエンターテインメントが大手事務所として培ってきた能力とは別のプロモーション方法が求められるだろう。謎のベールに包まれているTREASURE。彼らをプロデュースする制作陣の狙いを知れるのはもう少し先かもしれない。(momotoxic)