既成概念を破壊する新時代のアイドル ŹOOĻ、『Bang!Bang!Bang!』が新たな一手に
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4人組アイドルグループ・ŹOOĻが2020年1月15日、2枚目のシングル『Bang!Bang!Bang!』をリリースした。

ŹOOĻーー才能溢れる、規格外の4人であることは間違いない。リーダーを務めるのは、歌唱やラップに確かな実力を持った本格派・狗丸トウマ。そして狗丸と共にセンターを務め、圧倒的なボーカルとダンスで注目される亥清悠。曲作りでŹOOĻの音楽の根幹を支えるのは、俳優としても活躍する棗巳波。セクシーな美貌と堂々とした振る舞いで世の女性を虜にする御堂虎於は、ホテルチェーン創業家に生まれた本物のセレブリティだ。
そんな彼らのデビューは鮮烈だった。ビジュアル・実力共にアイドルとして最高レベルであるということ以上に、ŹOOĻのスタイルは前代未聞だからだ。デビュー曲「Poisonous Gangster」は、その名の通り甘い毒のように刺激的。攻撃的な歌詞、最先端を感じさせる隙のないクールなサウンド、ハイレベルなステージで世の中の視線を独占した。彼らは常に強気で自信たっぷりの反逆者だった。歯に衣着せない毒舌と気まぐれな態度で自由に振る舞った。
だがその攻めの姿勢は、ハッタリではない。彼らは圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、自分たちへの熱狂を求める。「LOOK AT…」という楽曲は、当時の彼らそのものだ。それぞれの魅力を遺憾なく発揮してメロディとラップが交互に織り重なり、リスナーを狂気的に煽ってゆく。その視線を他に向けることを許さない、甘美な魅力であふれている。
ストイックなまでに“清く正しい良い子”であることを求められる現代。抑圧された私たちには難しいことを、ŹOOĻは軽々とやってのける。彼らを見ていると、胸がスッとする、勇気をもらえる、楽しい気持ちになれる……そんな人も多いのではないだろうか。
彼らが“痛み”と共にあることも、重要なポイントだろう。亥清悠の空に突き抜けるような澄んだシャウトや、狗丸トウマの地の底から湧き上がるようなラップや歌唱には、どこかに強い憤りや悲痛さが潜んでいた。ファンは“痛み”の正体が何かを探るよりも、叫びそのものに呼応した。彼らは図らずも傷ついた人々の代弁者となり、我々はますます彼らに熱狂していった。その意味で、ŹOOĻというグループは時代が生み出したとも言える。私たちは、潜在的に彼らのような存在を求めていたのだ。そうして彼らは、一気にトップアイドルたちの仲間入りを果たした。
そんなŹOOĻがパフォーマンスのスタイルを大きく変えた曲こそ、今回のシングルに収録されている「ZONE OF OVERLAP」。それまでの狗丸トウマと亥清悠の2ボーカル、棗巳波と御堂虎於の2パフォーマーという形を崩し、4人が揃ってメインボーカルを務めるスタイルにシフトチェンジした。これまでパフォーマーに徹していた2人のボーカルが、かなり魅力的かつ高レベルだったことに驚いたファンも多いだろう。甘く柔らかな棗巳波、セクシーな低音を持つ御堂虎於――この2人の美声が加わったことで、ŹOOĻの音楽は可能性を大きく広げた。
サウンドの方向性が大きく変わったわけではなく、ギャングスターとしての魅力は健在だ。だが歌詞や歌声は、明らかに変化している。「どんな傷でも必要だって思えるように」と痛みを受け入れる勇気を持った彼らは、そのスキルを単純な攻撃ではなく、自分たちやリスナーを鼓舞する方向へぶつけたのだ。
そして、今回発売されるシングルの表題曲「Bang!Bang!Bang!」。今のŹOOĻの疾走感がよく表されたメロディと、熱を感じさせる歌詞。「ZONE OF OVERLAP」でも顕著だったが、今の彼らは自らの弱さや葛藤を曝け出しながら〈本当の自分 騙せるわけねえ〉と自分たちの道を貫く大きな旗を掲げた。
デビュー直後、強烈過ぎるメンバーそれぞれの個性は、見据える先すらバラバラだと感じさせることもあった。だが、どこか刹那的だった雰囲気が一掃され、揃って〈Bang!Bang!Bang!〉と勢いよく歌い上げる4人は今、確実に同じ方向を向いている。アイドルとしての多くの舞台経験や出会いが、彼らに変化をもたらしたのだろう。身体能力の高さを見せつけ、スタイリッシュかつセクシーなŹOOĻらしさを遺憾なく発揮したMVも話題だ。絶対的な自信を感じさせる揃ったダンスや、それぞれ意志の強さを滲ませた瞳も印象的である。
昨年末、全国主要都市の大型ビジョンで放映された特別映像や、渋谷駅で展開された大型広告でも話題となった、“BĻACK or WHiTE”でのステージは記憶に新しい。彼らについたコピー「#黒く塗りつぶせ」は、Twitterでも長時間トレンド入りし、彼らへの高い関心を窺わせた。そしてその期待に、この『Bang!Bang!Bang!』で見事応えて見せた。
今回のシングルは、次なる高みへ臨む彼らなりの新たな一手だ。NOと言ってもいい。変わることを恐れなくてもいい、己を貫くことのかっこよさを、これまでのアイドルとは別の形で示してくれるーー。時代が生み、世の中が求めたギャングスターアイドル・ŹOOĻ。この先も、彼らの活躍が楽しみでならない。
■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中。Twitterアカウント(@_hanae_)