「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『ジョジョ・ラビット』
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リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、リアルサウンド映画部の安田・ラビットが『ジョジョ・ラビット』をプッシュします。
参考:タイカ・ワイティティ監督作『ジョジョ・ラビット』日本版最新予告公開 母親役スカーレット・ヨハンソンの姿も
■『ジョジョ・ラビット』
1月13日(日本時間)に第92回アカデミー賞ノミネートが発表されました。その中でも作品賞、助演女優賞、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、編集賞と6部門にノミネートされ、存在感を放つ『ジョジョ・ラビット』がついに公開となります。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督が、4度アカデミー賞作品賞に輝き、今年で創立25周年を迎えるFOXサーチライトと組み、第二次世界大戦中のドイツを舞台に戦時下の人々の生きる歓びと人生の真実を弾けるユーモアとともに描き出す本作。
第二次世界大戦中のドイツというと、様々な映画で語られる舞台ではありますが、「10歳の少年の目線で語られる戦争」というのは本作を新しいものにしていると思います。主人公のジョジョは、軍人として活躍してヒトラーに認められることが最高にクールなことと認識しており、なにをしているかも知らずにヒトラーに心酔していたり、ユダヤ人を異形の怪物だと信じ切っていたり、まるで物語の中を出来事を楽しむかのごとく戦争を受容している姿がとても面白い。そしてそんな少年がユダヤ人の女の子との出会いによって、その視界が徐々にひらけていき現実を認識し始める。少年が自分の頭で善悪を判断することを覚えていきます。
非常に考えさせられる内容ですが、説教くさくならずにきちんとエンタメ作品として機能しているのもまた見どころです。それを強く感じたのが漫画のようにはっきりキャラ立ちした登場人物たちです。タイカ・ワイティティ監督が演じた架空のアドルフ・ヒトラーは、10歳の少年が想像した存在なので、極端なことしか言いません。
加えて、サム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉は落ち武者ようであり、ナチスの軍人味を一切感じさせませんし、にこやかに「ハイル・ヒトラー」と挨拶をするゲシュタポや、ジョジョの唯一の“実在の友達”ヨーキーは紙で作られた軍服で出陣したりと、とにかくコミカルなキャラクターだらけ。このキャラクターたちを実写の映像として着地させることに成功している時点で感嘆に値します。こういったキャラクターたちが本作がフィクションである事実を強く印象付け、さらに笑いとして受容することを良しとします。アカデミー賞“脚色”賞の通り、史実に対する色付けが見事なまでのバランスで成り立っています。
来月のアカデミー賞授賞式でも大きな存在感を放つことが予想されます。1月は毎週のように必見作が公開されていますが、ぜひ鑑賞候補に入れてみてください。(リアルサウンド編集部)