青葉市子、10周年ライブで多彩な新旧楽曲を演奏「これからも美しいと思える歌に向かって」
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青葉市子「"gift" 青葉市子 10th anniversary concert I」の様子。(Photo by Kodai Kobayashi, Seita Hiramatsu)
青葉市子のデビュー10周年を記念したソロコンサート「"gift" 青葉市子 10th anniversary concert I」が、1月11日に東京・草月ホールで行われた。
このコンサートは青葉が“これまで見守ってきてくださった方々”への感謝の気持ちを込めて企画した公演。タイトルの「gift」にちなみ、入場時には来場者全員にオリジナルステッカーと青葉からのメッセージがプレゼントされた。
客電が落ちると、会場はステージに差すわずかな照明と2つの電気スタンドの明かりだけとなり、まるで青葉の自室に招かれたような親密な空気に包まれる。柔らかなピンクのワンピースに髪飾りを身に着けた青葉は舞台中央の椅子に着席すると、前日1月10日に配信リリースしたばかりの新曲「守り哥」をアカペラで歌い上げた。息をのんで聴き入っていた観客に「ようこそ草月ホールへ。今日は最後まで楽しんでいってください」と短く挨拶をした彼女は、いつもの弾き語りスタイルで最新アルバム「qp」より「テリフリアメ」「みなしごの雨」をゆったりと届けていく。
19歳のときに作ったというデビューアルバム「剃刀乙女」の収録曲「ココロノセカイ」で透明感あふれる高音を響かせた青葉。「浴室のリバーブが好きで、家族がお風呂に入っていない時間に忍び込んではギターを弾いていました」と、この曲が浴室で誕生したことを明かし、同じ浴室から生まれたもう1曲として「不和リン」を歌唱した。「お風呂場まで旅をしてきました」と当時を振り返った彼女は、「音楽の素晴らしいところはたくさんありますが、思い出とか香りとか手触りとかそういうものを覚えていてくれるところ。私たちは新しい暮らし、新しい時間、新しい空気の中で生きることを更新していくわけですが、そのポイントで作ってきた音楽や出会ってきた音楽は、そのときの自分をよくよく覚えていてくれる。だから安心して忘れてください。いろんなことを」と優しく客席に語りかけた。続けて野外で歌うことをイメージして作ったという「レースのむこう」を穏やかな声音で披露。昨年行われた芸術祭「Reborn-Art Festival 2019」の参加体験をもとに制作したオリジナルCD-R「鮎川のしづく」から「星のプレゼント」も届けられた。
休憩を挟んだステージ後半は「少女と檻」で幕を開ける。シリアスな曲調の「機械仕掛乃宇宙」では青葉が疾走感あるギターを熱演し、楽曲が持つ独特な世界観にオーディエンスを引き込んだ。「ポシェットのおうた」、アニメ「楽しいムーミン一家」のエンディング曲「遠いあこがれ」のカバーといった切なさをはらんだ曲を歌い終えた青葉は「活動を初めて10年が経ち、いろんなことがありましたが、新しい気持ちと一緒にレーベルを立ち上げました」と自主レーベル「hermine(エルミン)」の成り立ちについて話し、改めて「これからも美しいと思える歌に向かって生きていきます。どうぞよろしくお願いします」と決意を述べた。そして今夜が満月であることを前置きして「月の丘」を披露したのち、「奇跡はいつでも」を伸びやかに歌いあげた。
アンコールでは最新シングル「amuletum bouquet」のカップリング曲「bouquet」を初パフォーマンス。さらにスタンドマイクから離れステージの縁に腰かけた青葉は、最後に「おめでとうの唄」をプラグレスで演奏し、深く一礼してステージをあとにした。
青葉市子「"gift" 青葉市子 10th anniversary concert I」2020年1月11日 草月ホール セットリスト
01. 守り哥
02. テリフリアメ
03. みなしごの雨
04. ココロノセカイ
05. 不和リン
06. レースのむこう
07. 星のプレゼント
08. 太陽さん
09. 少女と檻
10. 鬼ヶ島
11. 機械仕掛乃宇宙
12. ポシェットのおうた
13. 遠いあこがれ
14. 月の丘
15. 奇跡はいつでも
<アンコール>
16. bouquet
17. おめでとうの唄