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EXO、K-POPシーンに“大人数ドル”の潮流を生んだ偉業 グループ支えるファン=EXO-Lの存在もポイントに

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リアルサウンド

 メンバー・チェンの電撃的な結婚報告でK-POPシーンに衝撃を与えたEXO。このニュースは韓国国内だけでなく、日本をはじめ世界中を駆け巡り、大きな話題になった。それはEXOというグループが、長い間世界に向けて活動をしてきたからだろう。

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 EXOは2012年にデビューをして今年で9年目を迎える。すでに韓国の音楽シーンではベテランと呼ばれる域になった。今回のコラムでは彼らが歩んだ8年間を振り返ってみたい。

■100日間という異例のデビュープロモーションと壮大なコンセプト
 SMエンターテインメントが2012年新しいグループをデビューさせると発表したのは、2011年11月のことだった。彼らをデビューさせるにあたり、12月22日より100日間をかけてグループの正体を明かしていくという、異例のデビュープロモーションが行われる。最初に公開されたティザーでは新グループが歌唱したと思われる音楽に乗り、メンバーの一人がダンスをしながら姿を表した。最初に公開されたのはカイだ。その時点ではメンバーの人数は明らかにされず、ファンたちは徐々に公開されていくティザーを見ながら、EXOという新しいグループの正体をドキドキしながら待ったのだ。

 最後の23本目のティーザーまでの間に全員の姿が全て明かされ、メンバー構成も露わになった。長いプロモーション期間の中でファンの期待は上がっていたに違いないだろう。新しい形を追求するとてもSMらしい売り出し方だった。韓国と中国のメンバーを有するグローバルなこのグループは、韓国人メンバーで構成されたEXO-K、そして中国人と韓国人のメンバーで構成されたEXO-Mという2つの異なるグループを持つスタイルも新しかった。そしてプロローグシングル2枚と、韓国・中国におけるショーケースを経て、2012年4月8日に『MAMA』で韓中で同時デビューをする。

 EXOは太陽系外惑星を意味するExoplanetをモチーフに、“未知の世界から来た新たなスター”という意味で、各メンバーが超能力を持つというコンセプトだった。「MAMA」のMVでは冒頭のシーンで「天と地が一つだった時、伝説は12個の力で生命の木の世話をした~」というEXOが生まれた経緯が語られ、マントをかぶり顔を隠したメンバーが現れる。そして壮大なEXOの世界が始まっていく。それはアイドルグループのMVではなく、まるで1本のSF映画のような仕上がりだった。EXO-KとEXO-Mでそれぞれが対になった別バージョンMVでその世界を堪能して欲しい。

 EXOはどこか異次元の世界から来たような他のアイドルにはない雰囲気をデビュー当時から持っていた。その魅力に多くのファンたちが惹かれていった。

■ファンとともに乗り越えた8年
 デビューしてから1年以上は韓国と中国でバラバラで活動をしてきたEXOだが、デビュー以降一度もカムバックをせず、バラエティなどの出演もほぼなかったため、韓国内での知名度はまだまだだった。その後、12人の“完全体”で2013年にリリースされたアルバム『XOXO』に収録された「Wolf」と「Growl」で一気にトップにのし上がっていった。

 しかし、2014年の4枚目のミニアルバム『Overdose』のリリース直後に中国人メンバーのクリスが事務所を訴えて脱退を表明した。まさに青天の霹靂。初の単独コンサートの直前に起きたクリスの脱退は、大きな衝撃を与えたが、メンバーの絆を強くし、3日間のコンサートを終えることができた。

 その後、アジアツアー『EXO FROM EXO PLANET #1-THE LOST PLANET』を開始する。しかし、順風満帆には行かなかった。ツアーの途中、中国人メンバーのルハンが「体調不良」を理由に活動休止。そしてツアーの最終公演、北京公演には参加したものの、その直後の2014年10月にクリス同様に事務所に契約不履行を訴えてグループから脱退。そして、2015年8月には同じく中国人メンバーのタオも脱退してしまう。韓中グローバルなグループとして出発したEXOは、中国人メンバーはレイを残すのみとなってしまった。

 こうした出来事もあった中、大きく人気を落とさなかったのは、グループとしての実力やメンバー間の絆はもちろん、すでにそのような出来事には屈さないほどの大きなファンダムを構成してきたこともあるだろう。彼らはデビューしてから、2018年までにリリースされた5枚のフルアルバムは全て100万枚を超えるセールスを記録し、2017年にはクアドラプル(4枚連続)ミリオンセラーの達成および韓国の音楽賞・ゴールデンディスク賞、ソウル歌謡大賞、Mnet Asian Music Awardsでそれぞれ歴代初の大賞4連覇を記録するなどと、いくつもの偉業を生み出している。その背景には彼らを支えてきたファン=EXO-Lの存在は欠かせないのだ。

■“大人数ドル”の流行を生んだEXOの存在感
 先に紹介した偉業の他に、2015年に発表された「Love Shot」は、EXOらしいダークなサウンドにセクシーでインパクトのあるダンスが相成り、後輩グループたちがこぞってカバーをするような代表的な曲になった。2018年に開催された『平昌オリンピック』の閉会式では、韓国のグループ代表として堂々とパフォーマンスを行った。その姿は、全世界に放送され多くの人の目に触れただろう。

 13人のSEVENTEEN、11人のTHE BOYZ、9人のSF9、PENTAGONなど、8人以上の大人数のメンバーで構成された“大人数ドル”が多く存在するが、この流行を生み出したのも、EXOの成功が大きいと思われる。それまではSUPER JUNIOR(現在9人)を除き6人までのグループがほとんどだった。EXOが12人という大所帯で成功してから、K-POPシーンでは大人数で構成されたグループが一気に増えており、こうした事実を踏まえるとEXOがK-POPシーンの流れを支えてきたと言える。

 EXOは現在、シウミンとD.O.の2人が入隊中だ。今後も中国人のレイ以外のメンバーたちの入隊が控えている。安定した人気を保ちながらグループを長く続けていくのは韓国の音楽マーケットでは難しいと言われているが、最近はデビュー22年を迎えた神話、15年を迎えたSUPER JUNIORなど息の長いグループも増えてきた。EXOも9年目を迎え落ち着きを見せているが、2019年11月にリリースされたアルバム『OBSESSION』では、EXOらしいダークな世界観を見せてくれた。これからもK-POPシーンの大御所と言われるようなグループとして続いてくれると期待している。(西門香央里)