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三月花形歌舞伎「桜姫東文章」に勘九郎・七之助が意気込み「艶っぽくできれば」

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「明治座 三月花形歌舞伎」製作発表より、左から中村七之助、中村勘九郎。

「明治座 三月花形歌舞伎」の製作発表が本日1月20日に東京都内で行われた。

「明治座 三月花形歌舞伎」は、若手歌舞伎俳優が大役に挑む話題作や、歌舞伎に馴染みのない観客も楽しめるエンタテインメント性にあふれた演目が上演される興行。今回は昼の部で「菅原伝授手習鑑 車引」「一本刀土俵入」「芝翫奴」「近江のお兼」、夜の部で「通し狂言 桜姫東文章」が上演される。

製作発表には、出演者の中村勘九郎と中村七之助、明治座の三田芳裕代表取締役社長、松竹の安孫子正代表取締役副社長が出席。明治座に出演するのが、今回で4年ぶりとなる勘九郎は「今まで(松本)幸四郎さん、(尾上)菊之助さんと一緒に明治座さんで楽しい舞台を勤めさせていただきました。今回も“花形”ということで、若いパワーを集結して、力強くハートフルでドラマティックな作品を届けることができれば」と気合い十分な様子を見せる。演じる役どころについては「(『一本刀土俵入』の)茂兵衛は、父から教わった大切な役。とても心が温まる物語で、日々新鮮に勤められる大好きな役の1つです。茂兵衛を演じるのは今回で3回目ですが、お蔦役の七之助とよく話し合って勤めたい」と語った。

七之助は「『一本刀土俵入』のお蔦も、『桜姫東文章』の桜姫も、若かりし頃に勤めたことのある役。初めて演じた頃とアプローチが違ってくることが、今から楽しみ」と笑顔を見せつつ、「お蔦はとっても人間味にあふれた女性。(市川)猿之助さんともお話しましたが、お蔦が茂兵衛を助けたことを覚えているか覚えていないかなど、解釈が幅広い役かと。お蔦が茂兵衛という純粋な人と出会い、偶然彼を助けたことが、後々自分を助けることになるという、実際にありえるような状況が描かれた素晴らしい作品だと思います」とコメントした。

勘九郎は、「桜姫東文章」で演じる清玄と釣鐘権助の2役について「清玄は因果因縁と言いますか、白菊丸や桜姫に翻弄されて、人生の歯車がどんどん崩れていってしまう役。清玄のような、破戒し堕落していく役はあまり演じたことがなかったので、とても楽しみです。一方の権助は、清玄とは違った、匂い立つような色気があるお役ですね。この2役をどう演じ分けるかがポイントだと思うので、(片岡)仁左衛門のおじさまによく伺って勤めたい」と話す。さらに「『桜姫東文章』は、コクーン歌舞伎で七之助が出演していましたけど、なんともぶっとんでいる話で(笑)。阿佐ヶ谷スパイダースも昨年上演しておりましたが、いろんな発見や解釈ができて、掘り下げる要素がたくさんあるお芝居」と作品の印象を語った。

コクーン歌舞伎で桜姫役を演じた七之助は、「前半部分は謎が謎を呼び、糸が絡み合うような展開で、鶴屋南北の頭の中が見てみたくなるような素晴らしい作品。ただ後半、権助が自分が敵であることを、酔っ払って暴露してしまうという……(笑)」とストーリー展開に触れると、勘九郎が「雑だよね!(笑)」と笑みをこぼす。七之助は頷きつつ、「コクーン歌舞伎は、古典の写実的な部分を掘り下げる企画。でも後半の雑な部分を掘り下げてしまうと、辻褄が合わなくなってしまうので(笑)、みんなで苦戦しました」とエピソードを明かし、「古典歌舞伎の演出の素晴らしいところは、そういった展開でもお客様を納得させてしまう魔力があるところ。今回はこの点を勉強したい」と意気込みを語る。また、「桜姫東文章」の指導と監修を坂東玉三郎が担当することを明かし、「桜姫と言ったら玉三郎さま。まだ稽古は始まっていないのですが、ご指導を受けるのが楽しみです」と微笑んだ。

勘九郎は、七之助とは何度も夫婦役や恋人役を演じてきたが「清玄と桜姫のような密な夫婦はあまり演じたことがない。美しく、色っぽく、艶めかしい感じにできれば」と目標を掲げる。報道陣から「兄弟で夫婦役や恋人役を演じて、意識してしまうことはないか」と問われると、勘九郎は「幼い頃からやっているので、そういう感覚はないですね」と回答。七之助が「観る側の方がそう思ってしまう部分はあるかと思いますが、私たちはほとんどゼロに近いですね」と続けると、勘九郎は「特に『桜姫東文章』は、そういう気持ちがあったら絶対できない作品なので(笑)。今で言う“BL要素”もありますし、若い方たちにはウケる作品じゃないでしょうか」と話した。

公演は3月2日から26日まで。チケットの「明治座めーる倶楽部」会員限定インターネット先行予約は1月18日10:00から24日17:00まで、明治座チケットセンター電話先行予約は1月25日と26日それぞれ10:00から17:00まで受け付けられ、一般販売は1月30日10:00にスタート。

「明治座 三月花形歌舞伎」

2020年3月2日(月)~26日(木)
東京都 明治座

昼の部

「菅原伝授手習鑑 車引」
松王丸:坂東彦三郎
梅王丸:坂東巳之助
桜丸:中村壱太郎
藤原時平:片岡亀蔵

「一本刀土俵入」
駒形茂兵衛:中村勘九郎
お蔦:中村七之助
船印彫師辰三郎:坂東彦三郎
堀下根吉:坂東巳之助
若船頭:中村橋之助
清大工:澤村由次郎
波一里儀十:片岡亀蔵
老船頭:坂東秀調

「芝翫奴」
奴駒平:中村橋之助

「近江のお兼」
近江のお兼:中村壱太郎

夜の部

「通し狂言 桜姫東文章」
清玄 / 釣鐘権助:中村勘九郎
白菊丸 / 桜姫:中村七之助
入間悪五郎:坂東巳之助
葛飾のお十:中村壱太郎
吉田松若:中村橋之助
長浦:中村歌女之丞
粟津七郎:坂東彦三郎
残月:片岡亀蔵

※2020年3月18日追記:本公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。