小林よしひさ&上原りさが解説! 『映画 おかあさんといっしょ』の注目ポイント
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小林よしひさ&上原りさ
『映画 おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!』が本日から公開になる。本作は単にスクリーンを観るだけでなく、スクリーンのおにいさん、おねえさんと歌ったり、クイズに参加したり、記念撮影もできる“観客参加型”映画だ。そこには様々な仕掛けやノウハウがつまっているが、その根底にあるのは、毎朝放映されている番組の収録で子どもたちとふれあい、一緒に歌い、体操をしてきた出演者と作り手たちの知見だ。何年にも渡って子どもたちと共に過ごしてきた出演者だから語ることができる本作の魅力を、小林よしひさと上原りさに聞いた。
『おかあさんといっしょ』は1959年に放映を開始し、これまでに数々の名曲や人気キャラクターを生み出し、その時々の子供たちや家族と時間を過ごしてきた。一昨年には初めての映画『映画 おかあさんといっしょ はじめての大冒険』が公開されたが、本作は構成、スケールなどすべてがパワーアップしている。
小林 前作は初めての映画でしたので、今回は前回の経験をいかして、より子どもたちに多くのものが与えられるような演技や語りかけにしたいという想いはありました。もちろん実際に子どもたちに観てもらうまではわからないのですが、自分的には非常によくできたなと思っていますし、観終わったときにはすごく満足感がありました。
上原 前作は私たちも番組の“おにいさん、おねえさん”からハズれない設定で、冒険するお話と『ガラピコぷ~』のアニメーションの2本立てになっていたんですけど、今回はアニメーションも実写もすべてひとつのストーリーに沿って展開されていて、お話も子どもたちにも伝わりやすいし、お父さんお母さんにも投げかけられるメッセージがつまった作品になったと思います。
ちなみに本作は番組で人気のキャラクター“すりかえかめん”がフィーチャーされた作品で、歌あり、体操あり、物語、アニメーションもありで考え抜かれた構成になっている。そして上映時間は65分。これも長年に渡って子どもたちと付き合ってきたからこそ導き出された尺のようだ。
小林 番組の収録も1時間を超えないぐらいで終えるようになっているんです。というのも、ある時間を超えると子どもたちの集中力がどんどん切れてきてしまう。だからこの映画の上映時間も子どもたちの集中力の限界ぐらいに設定されているんだと思うんです。もちろん、映画の中にもポイントになる場所で子どもたちの集中力が切れないような仕掛けもあるんです!
上原 番組に関連したコンサートも上演時間がだいたい1時間なんですけど、その中でも工夫を凝らさないと離脱しちゃう子どもたちが増えてしまうんですね。そういう点では今回の映画は歌も随所にちりばめられていますし、歌がない部分には視覚的な変化だったり、観ている子どもたちに声を出してもらう場面があるので、飽きる部分がない作品になっています。
さらに本作は大きなスクリーンの映像と、おともだち(観客)が同じ空間に集まって一緒に映画を観ることにこだわった内容になっているのもポイントだ。
小林 いつもの番組をただ映画館で観るだけだと絶対に面白くないと思うんです。映画にしたからこその面白さがそこにないとダメだと思ってましたから、テレビではできないんだけど、映画館ならできる表現があると思いましたし、演じる上でも気をつけました。
上原 せっかく大きなスクリーンで迫力のある映像で映るわけですから、それに見合った演技をしたいと思いましたし、これまでよりは少し大きく動くシーンもありました。いつもの要素は変えずに“映画だからこそ成り立つもの”を意識することがポイントだったのかもしれません。
劇中ではおにいさん、おねえさんが何度もスクリーンから呼びかけ、映画館に集まったおともだちが応えることで映画が前に進んでいく。劇場に一体感が生まれ、参加しながら映画を楽しめる仕掛けだが、呼びかけのタイミングやポイントを間違ってしまうと映画館は静かなままだ。そこには長年に渡って子どもたちと一緒に番組をつくってきた出演者、作り手の経験や知見が活かされている。
小林 そこは経験でしか掴めないことがやはり多いですね。おにいさんになった頃はガムシャラにやっていましたけど、次第に“引く”ことも覚えて、どうすれば子どもたちが応えてくれるのか、どれぐらいの間を持たないと子どもたちが答え切れないとか……繰り返していく中で経験として出来上がってきた部分なんです。ですから、この映画の中に登場する“間”とかも、これまでの経験があるからこそできている部分だと思います。
上原 番組に初めて参加した時はまだ20歳でしたから、子どもたちとふれあう機会もそれまでには多くはなかったですし、先輩たちから学んで自分のものにしていった部分は多いです。そうして自分の中に積み重なっていったものがあったからこそ、私ひとりで子どもたちに呼びかけることができたと思います。
小林 収録で会う子たちとは“一期一会”なんですね。僕たちはその子に1度しか会えないかもしれないし、その子も1回しか収録には来れない。だからその1回を楽しんでもらうためには毎回が“勝負”だと思ってます。
上原 一生に一度のことなんですよね。おねえさんになった最初の頃からずっと言われてきたのが“あなたたちにとって収録はルーティーンになるかもしれないけど、収録に来る子どもたちは一生に一度のことなんだ”ってこと。そこはずっと根底にあります。
つまり本作は映画のサウンドトラックが半分入っていないような状態で上映が始まり、子どもたちの声が合わさって初めて“完成した映画”になるのだ。
小林 そうですよね。だから映画館で子どもたちが声を出してくれて初めて映画が完成するんだと思います。
上原 そもそも『おかあさんといっしょ』が、子どもたちがいないと成立しない世界を描いていますから、映画でもそこに子どもたちがいることを大前提としてコール&レスポンスの場面があるんだと思います。
小林 ですからぜひ映画館で一緒に声を出して、映画を完成させてほしいです!
『映画 おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!』
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(C)2020「映画 おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!」製作委員会
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