w-inds.が“ジャンルで括れない曲”「DoU」で手にした、確固たるオリジナリティ
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シングル『Get Down』のリリース、全国ツアー『w-inds. LIVE TOUR 2019 “Future/Past”』の開催(8年ぶりの上海公演、10年ぶりの台北公演も実現!)など、2019年を駆け抜けてきたw-inds.から、2020年のスタートを告げるニューシングル『DoU』が到着した。表題曲「DoU」はディープハウス、EDM、トラップなどを融合させたダンスチューン。橘慶太のプロデュースのもと、海外の音楽シーンとリンクしながら進化を続けてきたw-inds.は、20周年を目前にして確固たるオリジナリティを手にしつつあるようだ。今回も橘慶太、千葉涼平、緒方龍一にインタビュー。シングル『DoU』の制作、キャッチーな振付を取り入れたMVから、ファンとの関係性、来年の展望などについても語ってもらった。(森朋之)【※インタビュー最後にリアルサウンドオリジナル動画あり】
いまのサウンドのトレンドはソロ向き? w-inds.らしい音楽性を求めて
ーー2020年第1弾シングル『DoU』がリリースされます。前作『Get Down』のインタビューでは、慶太さんが「メンバー、スタッフの全員が「いいね」って一致する曲がなかなかできなかった」とコメントしていましたが、今回の制作はどうでした?
慶太:今回はスムーズでしたね。ツアー(『w-inds. LIVE TOUR 2019 “Future/Past”』)中に「そろそろ新曲を作りましょうか」という話になって。「Get Down」の少し前に、制作に関わるスタッフがけっこう変わったんですけど、その人たちと「どういう曲にしようか?」とかなり話し込んだんです。「『Get Down』の延長線上は違うよね」「w-inds.らしいダンスナンバーがいいけど、真新しさも欲しい」とかいろんな話をして、イメージを絞り込んでから制作に入りました。あと「日本っぽさ」みたいなことも意識していましたね。
龍一:J-POPっぽさね。
慶太:うん。「Get Down」「Time Has Gone」「Dirty Talk」もそうだけど、英語のサビが続いていたので、今回は日本語でパンチラインを作ろうと。いろんな要素が出てきて、「果たして、全部混ぜたらどうなるんだろう?」と不安なところもあったんですけど、かなりいいものが出来て。個人的にも僕たち的にも手ごたえのある曲になりましたね。
ーージャンルで括れない曲ですよね。「どういう曲?」と聞かれても、説明に困るというか。
慶太:そうなんですよ。細かく言うと、サビがディープハウスで、BメロとイントロがEDM、Aメロはブレイクビーツとファンキーなベースで構成されてて、ラップのパートにはトラップの要素もあって。もはやw-inds.というジャンルですね。
龍一:お、カッコいい(笑)。「We Don’t Need To Talk Anymore」(2017年)から慶太くんが楽曲をプロデュースするようになって、毎回、「ここにこだわったんだろうな」と想像しながら聴いてるんですけど、「DoU」はとにかく展開が多くて。1番と2番でアレンジが変わってたり、細かいところまで工夫されている。
ーー多彩な要素が取り入れているのに、あっという間に終わりますよね。
慶太:そう、3分20秒くらいなので。
涼平:あと一段階くらい聴きたかったけど(笑)、これくらいがいいのかなって。
慶太:最初はブリッジを加えてたんですけど、4分過ぎちゃうから、ちょっと長いなと。サブスクが主流になって、4分を越える曲はほとんどないですからね。
涼平:うん。「DoU」のデモ音源を初めて聴いたのは、ライブ会場だったんですよ。リハーサルのときに聴かせてもらったんだけど、シビれましたね。めちゃくちゃカッコいいし、音も良くて。
慶太:……毎回褒めてくれるから、そろそろ馴れてきましたね(笑)。
龍一:(笑)。もっと褒めるところ探そう。
慶太:(笑)。「DoU」に関しては「これは全員OKだろうな」と思ったし、自信があったんです。普段はまずメンバーに聴かせて、反応を確かめてからスタッフに聴いてもらうんですけど、今回は「これでイケるでしょ」という確信があったから、みんなに一斉に聴いてもらって。強気のプレゼンでしたね。実際、みんなすぐに気に入ってくれたので良かったです。
ーー海外のシーンの流れとも一線を画していて。トレンドを追うのではなく、オリジナリティに重点を置き始めているのかなと。
慶太:トレンドを意識して作るのも好きだし、やりたいんですけど、いまのインディーR&Bの流れは日本の市場では難しいのかなと思っていて。あと、そういうサウンドはソロっぽい気がするんですよ。一人のアーティストが世界観を作るのには向いてるけど、そこを追いかけすぎるとw-inds.の良さが出しづらいのかなと。そのうちトレンドとw-inds.がしっかりリンクできる時期も来ると思いますけどね。
ーーなるほど。「DoU」は振付もキャッチーですよね。w-inds.の曲のなかでは比較的真似しやすし、TikTokなどでもウケそうだなと。
慶太:そうですね。サビの振付はもっと簡単にしようと思ってたんですけど、意外に覚えるのが大変で(笑)。どれくらい簡単にするのか、バランスの取り方が難しいんですよ。簡単にしすぎると、見栄えが良くないし。
涼平:全体的にシンプルなんだけど、だからこそちょっとアレンジするのが難しくて。サビの後半でいきなり速くなったり、切り替えもかなりあって。
龍一:体幹が大事ですね。ダンス自体も細分化されているんですけど、自分の形で踊ることで個性につながるのかなと。
慶太:でもキャッチーな仕上がりになって良かったです。真似できそうな振付って、「Feel The Fate」(2001年)くらいじゃない?
涼平:だいぶ昔だね(笑)。
龍一:18年前か。「DoU」もそうですけど、ライブでパフォーマンスすることで新しい発見もあるだろうし。いつもそうなんですよね。僕たちの曲はステージで披露することですべてが完成するので。
ーー「DoU」は〈まるで映画のScene〉というフレーズではじまりますが、MVもショートムービーのような雰囲気で。
慶太:そうですね。時代感としては80年代くらいなのかな? 僕がリーゼントヘアにしてたりするので(笑)。あと、これまでの曲の衣装を飾ったり、過去の曲の振付もちりばめているんですよ。物語性もあるし、いろんな見方をしてもらえるのかなと。最近はダンスを押し出したMVが続いてたから、ちょっと違うことをやりたくて。
涼平:本物の自動車工場で撮影したので、床がかなり滑りやすくて。動きをストップするのが大変で、だいぶ苦戦しましたね。
慶太:この人(龍一)が「踊れない」って文句言ってたから、なだめてました。
龍一:(笑)。
“人間観察”が活かされた「CANDY」の歌詞
ーー「DoU」の歌詞は男女のスリリングな関係を描いていますが、このイメージはどこから来たんですか?
慶太:そんなに意味はないというか(笑)、想像のなかで物語を作った感じですね。これは僕のいいところでもあり、悪いところでもあるんですが、世の中に対して言いたいことがなさ過ぎて。なのでフィクションの歌詞を作っちゃうんですよ。
龍一:フィクションで書くのもいいし、自分の気持ちを乗せるのもいいし、どっちもおもしろさはあるけどね。僕はいつも慶太くんの歌詞を勝手に考察して楽しんでるんですけど、大体、外れてますね(笑)。
慶太:ハハハハ。
龍一:カップリングの「CANDY」の歌詞はラブリーですよね。17歳の頃の慶太くんはこんな感じだった気がする。
慶太:そう?(笑)。
龍一:ただ、17歳のときにこの歌詞は書けなかったと思いますけどね。あの頃はもっと捻くれてたから。
慶太:それは今も変わらないけどね(笑)。
ーー「CANDY」はドープなトラックとポップなメロディのバランスがすごく良くて。歌詞のテーマは10代の恋愛ですか?
慶太:気持ちは女子高生ですね(笑)。男性アイドルが好きな女子高生を主人公にして、恋愛を絡めた歌詞にしてみたいと思って。アイドルのコンサートに来る女の子って、好きなアイドルの笑顔を見るだけで「ヤバいヤバイ」って言うじゃないですか。
龍一:「ヤバ! こっち見た!」って。
慶太:あと、ゴシップが出たときは、不安になりつつも「私は信じてる」って90%くらいの人が言うだろうし。そういう若い女の子の気持ちを憑依させて書いた歌詞ですね。
ーーアイドル好きの女の子を主人公にした曲をw-inds.がパフォーマンスするという構造がおもしろいですね。ファンと自分たちの関係も俯瞰で見ているというか。
慶太:そこも捻くれてる部分なんでしょうね。普段からよく人間観察をしてるし、「なんでこういう発言をしたんだろう」と考えるのも好きで。出待ちや追っかけをしているファンの人たちに対しても、「どういう気持ちなんだろうな?」って思うんですよ。駅とかでファンの人に会ったときも普通に話をして、いろいろ聞いたり。
涼平:へー。
慶太:ファンの人は、その会話が歌詞の参考にされているとは思ってないでしょうけど(笑)。こう言うと偉そうかもしれないけど、w-inds.のファンって、めっちゃいい人たちなんですよ。あまりにもピュアで周りが見えなくなるときがあるから、そこは注意しますけどね。「前から人が来てるから、邪魔にならないようにね」とか「声の大きさに気を付けようね」とか(笑)。
涼平:そうなんだ。僕は歩くのが速いので、置き去りにしますけどね(笑)。
慶太:龍一くんはフラットに話すよね。
龍一:そうだね(笑)。(ファンの人たちとの)距離感の調整は大事ですよね、このご時世。
ーーSNSが普及して以来、アーティストとファンの心理的な距離はすごく近づいてますからね。
慶太:そうですよね。以前は話しかけられるのがイヤで、音楽を聴いてないのにヘッドフォンを付けたりしてたんですよ。でも、いまは自分で発信している人も多いし、そんなことを気にしてしょうがないのかなと。それよりも(日常のなかでファンと関わる)その時間を有意義なものにしたほうがいいので。
ーーシングルの3曲目には「We Don’t Need To Talk Anymore Remix feat.SKY-HI」を収録。
慶太:今年のw-inds.フェス(『w-inds. Fes ADSR 2019 -Attitude Dance Sing Rhythm-』10月20日豊洲PIT)でゲストのみなさんとコラボレーションをしたんですけど、日高(光啓/SKY-HI)とは仲がいいし、新たにヴァースを書いてもらおうと思って。「We Don’t~」は最近のw-inds.の代表作だし、一緒にやれてよかったですね。ただ、フェスの本番の3日前まで歌詞が出来てなかったんですよ。「イメージはあるから、すぐ出来る」って(笑)。結局、ダンスリハが終わった後に送ってきて、それを僕がエディットして。
龍一:日高くんのパート、アレンジも変えてたよね。慶太くん、よっぽどヒマだったんだな。
慶太:なんでだよ(笑)。レコーディングは僕の家でやって、その後、一緒にごはんを食べて。「歌詞で言いたいことがないんだよね」って言ったら、日高が「俺は言いたいことがありすぎる」って(笑)。両極端な二人ですけど、仲良くしてますね。
ーーアイドル的な括りから、アーティスト、クリエイターとして確立したという意味では、似てるところがあるのでは?
慶太:そうですね。反骨精神というか、イメージから脱却しようとするパワーを持っている人にシンパシーを覚えるし、仲良くなれるので。清水翔太くんなんかもそうですね。
ーーシングル『DoU』から始まるw-inds.の2020年、どんな年になりそうですか?
慶太:東京オリンピックの年か……あっという間ですね。来年は僕ら20年目なんですよ。
涼平:19周年ですね。……すごいな。
龍一:まずはファンクラブツアー(「w-inds. FAN CLUB LIVE TOUR 2020 EDW-electro dance w-inds.-」)ですね。Zeppが中心なんですけど、ライブハウスは久しぶりだし、近い距離で楽しみたいなと。「DoU」も映えると思いますね。
涼平:早い時期にスタートを切れるし、どんどん楽曲やパフォーマンスを届けられたらなと。その先には20周年が見えてくるだろうし。
慶太:新しいアルバムを作って、ツアーもやりたいですね。そのためには急いで準備しないと(笑)。がんばります!
◆リアルサウンド オリジナル動画◆
■リリース情報
42nd Single『DoU』
2020年1月22日(水)発売
配信はこちら
初回盤(CD+DVD)¥1,364+税
<収録曲>
01. DoU
02. CANDY
03. DoU (Instrumental)
04. CANDY (Instrumental)
<DVD収録内容>
01. DoU Music Video
02. Making of DoU Music Video
通常盤(CD only)¥1,091+税
<収録曲>
01. DoU
02. CANDY
03. We Don’t Need To Talk Anymore Remix feat. SKY-HI
04. DoU (Instrumental)
05. CANDY (Instrumental)
06. We Don’t Need To Talk Anymore Remix (Instrumental)
<全国CDショップ予約購入先着特典>
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