『病室で念仏を唱えないでください』ムロツヨシと火花を散らす伊藤英明 化学反応を起こすライバル関係に
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松本(伊藤英明)が過去に背負った後悔に焦点を当てた金曜ドラマ『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)第2話。濱田(ムロツヨシ)と火花を散らすシーンもあり、いよいよ松本と濱田のライバル関係の火蓋が切られる。
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第2話では、溺水の少年を助けるため、松本、田中(片寄涼太)らが現場に向かう。救命措置までに、予後不良に陥りやすいという25分が経っていた岡崎勉(渡邉蒼)に対し、松本は処置をしながらも後ろ向きな発言が目立つ。松本の過去を知っている三宅(中谷美紀)はそんな松本に「目の前の患者見なさいよ、過去じゃなくて」と核心を突いた一言でフォローした。松本はこの一件で、少年時代に川で救えなかった自分の友人を思い出し、友人の父・宮寺憲次(泉谷しげる)を訪ねる。憲次は松本を責めたりせず、優しく受け止めていた。そして飲みに誘うのだが、松本はまだ前に進む気持ちの整理がつかない。
その頃、岡崎の友人・丸山翼(田中奏生)もまた、同じように罪の意識に苛まれていた。丸山は、岡崎からイタズラ心で脅かされたことで散歩中の犬のリードを離したことから、犬が迷子になってしまったという。その腹いせで岡崎のペンケースを川に放ったのだ。丸山は、岡崎が大切にしていた亡父の形見のペンを見つけ、意識の戻らない岡崎の元に駆けつける。そして岡崎にペンを手渡すと、ぎゅっと握り返す動作が見えた。岡崎が意識を取り戻したのであった。この一件で、松本自身もやっと前に進めるようになる。改めて憲次と飲みに行く約束をし、自身の中で悔やんでいた過去を清算できたようだった。
松本が背負っていた後悔を乗り越える様子と、まわりの患者が後悔について向き合いながら闘病している様子がシンクロしながら描かれる。医師も患者も、死と隣り合わせの病院で過ごしながら時間をかけて“生きる”ことの意味を見出すのだ。さらに今回は、救急に腹部大動脈瘤を患ったホームレスの男性が運ばれてくる。彼を助けても治療費は病院の持ち出しになるが、松本は彼を受け入れた。そして救急医たちで応急処置を施す。そこに濱田が現れ、松本に小言や嫌味を連発。濱田は松本の処置を手助けするものの、手術後も病院の利益を一番に考える価値観で松本を批難する。
本人の前では静かに聞いていた松本も、これには怒り心頭。1話から怪しい空気が流れていた2人の相性の悪さが、ついに露見した。しかしこの2人のシーンは決してピリピリして緊張感を感じるものではない。濱田を演じるムロのコミカルさとシニカルさを合わせ持った芝居、松本を演じる伊藤の熱く力強い芝居が良い化学反応となり、どこかクスリと笑わせる展開になっている。お互いの考え方の違いがはっきりと描かれつつも、なんとなくツーショットで見たくなってしまう組み合わせだ。今後、歩み寄ることがあるのか、さらに反発を見せるのか、2人の関係にも注目していきたい。
次週では第2話の冒頭とラストで出演した宮島(ナオト・インティライミ)の様子がさらに描かれる。今回のラストに、病院から逃げ出した宮島。彼の病状や逃亡の意図はどう描かれるのだろうか。次週も松本の奮闘ぶりを見届けたい。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。