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TOMORROW X TOGETHER、ステージの完成度はメンバー間の信頼の表れに 『Mステ』初パフォーマンスを観て

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リアルサウンド

 今年1月に1stシングル『MAGIC HOUR』で日本デビューを果たしたTOMORROW X TOGETHER、通称TXT。BTSの弟分ということもあり、本国でのデビュー前からここ日本でも耳目を集めている存在だ。

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 そんなTXTが1月24日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で、先述のデビューシングルより「9と4分の3番線で君を待つ (Run Away)[Japanese Ver.]」を披露。このパフォーマンスを踏まえ、TXTの持つユニークな魅力を考えてみたいと思う。

 まず活動曲となる「9と4分の3番線で君を待つ (Run Away)」からして、新人グループらしからぬ魅力を持っている。新人グループのデビュー曲は、グループの今後を占う意味でもとても重要だ。よって、その時々でのトレンドを踏襲し、キャッチーでありながらもグループの持つコンセプトとの掛け算が求められる。また、10代のグループであれば、フレッシュさやキュートな魅力を押し出すことが多い。

 しかし、「9と4分の3番線で君を待つ (Run Away)」はかなりコンセプチュアルだ。鉄琴を使ったメランコリーなリフや、ディストーションの効いたギターといったサウンド。そしてトレンドのディープハウスやトロピカルハウスを軸に据えた四つ打ちでもなければ、フューチャーベースやハードなトラップでもない。リードトラックというよりはアルバム収録曲のような奥深い魅力だ。

 恐らくだが、“BTSの弟分”だからこそトレンドをあまり気にすることなく、思い切りのある活動曲を用意できたのではないだろうか。

 冒頭で触れた『ミュージックステーション』では、よりその異色さが際立って見えた。事前のトークこそ可愛らしいものの、ステージはデビュー1年足らずのグループとは思えない完成度だ。見せる表情も楽曲の世界観を引き出し、“10代のかわいい男の子”のそれではなく、セクシーな魅力を放っていた。一方で、ステージを終え挨拶しようと他のメンバーが整列しようとする中、ヒュニンカイがポーズを崩さないままでいたのは、ステージとの愛らしいギャップを感じた。ともかく、外国での生放送というのはハードルとしてはかなり高いレベルにあると思うが、全くそれを感じさせないステージだった。

 コンセプトを引き出すメンバーの個性も多様だ。例えば、高いダンススキルを持つヨンジュンは尊敬するアーティストとして、韓国R&Bシーンで絶大な人気を誇るシンガー、DEANを挙げている。他にも好きなアーティストとして、ケンドリック・ラマー、トラビス・スコットを挙げており、HIP-HOP/R&Bへの高い素養を感じさせる。また、ボムギュはギター、ヒュニンカイはギター、ピアノ、ドラムの演奏をこなすことができる。最近のK-POPシーンでは自作曲は珍しいものでもなくなったが、近いうちセルフプロデュース曲なども期待できるかもしれない。

 また、1999年~2002年ラインと、近い年齢のメンバーで揃えられているのも特徴だ。個々のメンバーを見ると、マンネのテヒョンはグループで一番しっかりしていると言われていたり、リーダーのスビンは、グループではちょうど中間の年齢だが常に他のメンバーの悩み相談などに乗っているようだ。互いに年齢が近いからこそ、垣根のない関係を築けているのだろう。ステージの完成度の高さは、スキルだけでなく、メンバー間の信頼関係の厚さも表れているのかもしれない。

 “BTSの弟分”としてではなく、K-POPシーンの中で独自のポジションを確立してきているTXT。K-POPでコンセプトを重視するグループといえば、LOOΠΔやRed Velvet、NCTなどが挙げられるが、そのどれとも違う新たなタイプになるかもしれない。特に、昨年11月に公開された、Digipediが監督を務めた「Magic Island」のMVは13分以上あり、ショートフィルムのような内容になっていた。ひとまずは、日本1stシングルや、韓国1stミニアルバム『The Dream Chapter:MAGIC』のコンセプトがどのように展開していくのか、活動を追い続けたい。(ヤマダ)