桑田佳祐、「SMILE~晴れ渡る空のように~」は日本をひとつにする応援歌 初オンエアで感じた“2020年の主題歌”
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1月24日、地上波で歴史的な番組が放送された。民放5系列114局の同時生放送による、『一緒にやろう2020大発表スペシャル』。東京オリンピックが開催される2020年、局の垣根を越えて日本を盛り上げていこう、という趣旨の「一緒にやろう2020」プロジェクトを華々しく伝えるもので、キー局のスターアナウンサーの共演も話題になった。そして何より、視聴者の関心が集まったのは、事前に歌詞が伝えられていた桑田佳祐による応援ソング「SMILE~晴れ渡る空のように~」の初公開だ。
日本中の思いを一つにするための“旗印”であり、国民的一曲になることが運命づけられたこの曲は、人々の心を優しく鼓舞し、晴れやかな気持ちを広げるものになった。“2020年の主題歌”ともいえるアンセムを手がけるのはやはり、幅広い世代から愛され、時代を彩る数々の名曲を送り出してきた桑田佳祐をおいて他にいなかった、と誰もが納得したことだろう。
そんな記念すべき一曲が翌25日、桑田がパーソナリティを務めるラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(JFN系38局ネット)で初オンエアされた。冒頭、特別番組に触れて、「緊張したよ、もう64歳なのに」と桑田。いつものようにお茶目に、視聴者を笑わせる準備もしていたそうだが、「緊張して何も言えなかった(笑)」と、番組を振り返る。国民的アーティスト・桑田佳祐をしても、この大役は身が引き締まるものだったようだ。「今夜は新曲『SMILE~晴れ渡る空のように~』をラジオで聴かせていただけるということで、とっても楽しみです」というリスナーからのメールに対しては、「“聴かせていただく”じゃなくて、こっちが“聴いていただく”の」と答えており、その真摯な姿勢が、たった一度の放送で人々の心に沁み渡った、今回の楽曲に繋がっているのだろう。
「SMILE~晴れ渡る空のように~」は昨年の8月に制作をスタートし、サザンオールスターズのデビュー40周年全国ツアー明けから引き続き多忙を極めていたなかで、「何度も何度もやり直した」(桑田)という。タイトルにある「晴れ渡る空のように」という言葉にふさわしく開放感のある民放公式スペシャルムービーは、1月4日、ビクタースタジオの屋上と、そこからほど近い新国立競技場で撮影されたもの。「一緒にやろう」YouTube公式チャンネルで公開されているこちらの映像についてもさっそく、リスナーからメールが届いており、「サザンや桑田さんのライブでおなじみのダンサーさんを発見!」という、ファンならではの声も。ナーバスになっていたところに、「仲間がきた、という感じがして助けられました」と、桑田は語っていた。今回の楽曲に限った話ではないが、過密スケジュールのなかでも、桑田がいかに真剣に音楽に取り組み、神経を使っているかが伝わるエピソードだ。
そしていよいよ、「SMILE~晴れ渡る空のように~」が、ラジオで初オンエアされる。まずは新曲を披露する際の恒例になっている、桑田自身による歌詞の朗読から。〈長きこの地球の 歴史の一幕に 立ち会う事を 奇跡と呼ぶのだろう〉の一節から始まる歌詞は、夢を追う孤独や、必ずしも追い風とは限らない運命、また、次の世代に残すべきものは何かーーなど、切実なテーマに満ちているが、タイトルにあるように、晴れ渡る空のような笑顔を想像させ、また〈心折れないで でなきゃモテないじゃん!!〉というくだりには、桑田にしか表現できない個性と共に、ある種の軽やかさをも感じさせる。
桑田の歌唱は穏やかで、かつ力強い。大切なメッセージをギュッと凝縮して心に投げ込み、最後は優しく背中を押すような構成で、ひとりで聴く深夜のラジオでも、熱気が高まる試合前の国立競技場でも、おそらくどんな場面でもリスナーの胸を熱くしてくれる、まさに「応援歌」と呼ぶにふさわしい一曲だ。おそらく今後、さまざまな場面で流れるだろう「SMILE~晴れ渡る空のように~」。そのときに声を合わせられるように、いまから繰り返し聴いておきたい。(文=橋川良寛)