『恋はつづくよどこまでも』“癒し”の毎熊克哉が動き出す? 魔王・佐藤健にも変化が
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「俺も、ゲームに参加してみようかなと思って」
火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)第3話。運命の一目惚れから、出勤初日の告白&玉砕と波乱続きの七瀬(上白石萌音)。しかも、相手は「魔王」と呼ばれるドSドクター・天堂(佐藤健)だったことから、すっかり職場の仲間たちからも「勇者」として応援されることに。その中には、天堂と同期の優男ドクター・来生(毎熊克哉)も。人が欲しがっているものこそ欲しくなる“シュークリーム作戦“を企て、わざと天堂の前で七瀬に気がある素振りを見せていた来生だったが、知らず知らずのうちに一生懸命で前向きな七瀬が気になり始める。そんな来生の視線を優等生新人ナース・酒井(吉川愛)も追っていて……と、相関図の矢印が複雑に絡み合うラブコメらしい展開に!
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また、病にかかった恋人を救えなかった悲しみから、医師という仕事にストイックになっていった天堂の過去も語られる。救えなかったからこそ、医者を辞めたいと思ったことは「ない」と即答し、「必ず治す、助ける。そう誓ってきた」と自らを奮い立たせるようにして生きてきた天堂。その天堂が愛したかつての恋人・みのり(蓮佛美沙子)も、七瀬のようにまっすぐに突っ走るタイプの女性だった。来生は、そんな七瀬のひたむきさに、みのりの面影を見たに違いない。その恋を応援することで、友の笑顔が戻ればと思っていたはずだった。
第3話では、七瀬の計算なしの健気な言動が来生と天堂、2人の心を揺さぶった回でもあった。天堂の過去を語ってくれた来生には「幸せですね。天堂先生は。来生先生みたいな友達がいて」と言った七瀬。この言葉で、来生の中にあった七瀬のイメージが大きく変わったのだろう。自分の想いを原動力に、周囲への影響を考えずに、強引に突き進むブルドーザーのようなタイプと思いきや、天堂の過去も含めて相手を理解しようという逃げない強さ、そしてその過去とずっと寄り添ってきた来生の優しさにも気づくことができる繊細さ。その両方を持ち合わせていることに気づく。
きっと七瀬にとっては、日頃の来生の優しさに救われてきたことへの感謝の気持ちも含まれていたのだろう。シュークリーム作戦のみならず、いつも気にかけて話を聞いてくれること、そして針刺しの練習台にも率先してなってくれようとしてくれたこと……。来生が何気なくしてきたことに対して、当たり前と思わずに「そういう人がいてくれることは幸せなこと」だと伝える。普段厳しい人が急に寄り添うと、周りはそれを「優しくなった」と大騒ぎするが、もともと優しい人が優しくし続けることに、あえて注目する人は少ない。いつも見過ごされてしまう自分の良さを、流すことなく見つめてくれた七瀬に、来生の心が揺れないわけがないのだ。しかも、人は間接的に褒められると、よりその気持ちを受け入れやすい。
一方、そんな天堂の過去を知ったからこそ、まずはナースとして一人前になりたいと決意する七瀬。新人歓迎会の場で、改めてその想いを熱く語り、「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」と頭を下げる。一見すると、今までどおりのブルドーザーな七瀬。だが、その中にある強さと繊細さを知った来生から見ると、その決意の強さを感じずにはいられない。また酒井も、テクニックはまだまだだが患者と向き合う姿勢に恋心だけではない仕事への熱心さを感じたことから、「私も負けてられないですね」と襟元を正す。七瀬の不器用ながらも一途な思いは、決してスマートではないけれど、どこかで憧れずにはいられない。自分もあんなふうにエネルギッシュに生きられたら、と。
そして、この熱のこもった言葉が、ついに天堂の心にも刺さる。「私が笑わせます、先生を……。苦笑いでも、半笑いでも、高笑いでも。なーんでもいいです。先生が幸せなら、私もハッピハッピハッピー」。七瀬から向けられた恋心の中に、自分を救うという気持ちが入っていたことを知る天堂。きっと、その熱意に「必ず治す、助ける。そう誓ってきた」という医師として生きる自分の根幹に近いものを感じたはずだ。かつての恋人に対して、同じ志を抱いていた天堂のこと。この七瀬の発言によって、止まっていた心の時計が動き始める気配がしたのではないだろうか。
いつだって紳士的な来生が、シュークリーム作戦ではなく、本気で落としにかかったら、どれだけの破壊力があるのか。はたまた、いつだって手厳しい天堂が「立派な看護師になりたい、本気でそう思うなら。それなら俺はお前を育てる。見込みのないやつには言わない。必ず戦力になる。だから、自信持って、壁にぶつかったとしても乗り越えろ」と、こちらも本気で育てにきたら、どれだけのドSっぷりが炸裂するのか。自分を癒やしてくれる来生か、自分を強くしてくれる天堂か。あなたはどちらの恋がお好みだろうか。
(文=佐藤結衣)