「影裏」は綾野剛と松田龍平のドキュメンタリー?大友啓史がキャスティング理由明かす
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「影裏」完成披露試写会の様子。左から大友啓史、綾野剛、松田龍平。
「影裏」の完成披露試写会が本日1月30日に東京・新宿バルト9で開催され、キャストの綾野剛、松田龍平、監督の大友啓史が登壇した。
岩手・盛岡を舞台とする本作は、会社員の今野がある日突然失踪した元同僚・日浅の足跡をたどりながら彼の裏の顔を知っていくさまを描く人間ドラマ。綾野が今野、松田が日浅を演じた。
綾野はオファーを受けたときを振り返って「大友さんとまたご一緒できるということが素直にうれしかったです。龍平くんとしっかり共演するのは初めてだったので、うれしさにあふれていたのを覚えています」とコメント。「ハゲタカ」で大友と組んだ経験がある松田は、「また大友さんとやりたいとずっと思っていたので、このタイミングでご一緒できたことに意味があると思います。実りのある豊かな撮影でした」と述べる。
原作について「ものすごく流麗な文章」「登場人物たちの感情の埋蔵量がすごい」と話した大友。綾野と松田へのオファー理由を「本を読んでいるときに2人の顔が浮かんできて、それ以外考えられなくなった。この2人じゃなかったらやっていないです」と明かして、強い思いをうかがわせた。また、現場での演出は「特にないんです」と言い、「キャスティングした時点で、半分は2人のドキュメンタリーを撮るような気持ちでした。彼らのやり取りをじっと観察して逃さず撮れば、何かが生まれるだろうと」と回想する。
役作りについて尋ねられた綾野が「盛岡で全編撮影できたことが、最大の役作りになりました。現場に行ってその土地やそこで協力してくれる方々とともに創作していく作業は、映画の醍醐味だと感じています」と答えると、続く松田は劇中で使った方言の難しさについて話し出す。「セリフは脚本にないけど、2人で一緒に何かをしているようなシーンで、ぱっと何か言葉が思い浮かんでも方言では言えなくて……」とアドリブに苦戦したことを説明し、「なので前もって言いたいことを胸にしまっておいたんですが、いざ出そうとすると忘れちゃったりと大変でしたね」と笑みをこぼした。
また、作品になぞらえて「意外な一面のような、誰かの“影裏”を見てしまったことは?」という質問が飛ぶシーンも。大友は「撮影に入る前に俳優と会うと、映像で観てきたものとは全然違うイメージを彼らから受けたりするんです。なので、一緒に仕事をする前にはなるべく本人と直接話をして、何を感じているかを知ることがけっこう大事になりますね」と回答する。「映画の言っている“影裏”ってなんなのか考え続けてます。影の裏はあまり見たくないなって……」と考え込む様子を見せた松田は、「ただ以前にスーパーでおいしそうなイチゴを買って、お皿に盛ろうと上のイチゴをどけたら、その下というか裏側に野イチゴみたいなサイズのものがいっぱい入っていたことがあって……」と独特な“影裏エピソード”を披露。「でも小さいイチゴのほうがおいしかったんです」とオチを付けて会場に笑いを起こした。
「影裏」は2月14日より全国ロードショー。
(c)2020「影裏」製作委員会