柴咲コウ「音楽には人生を変える力がある」 『エール』オペラ歌手を演じる上での取り組み
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3月30日よりスタートする、連続テレビ小説 第102作『エール』(NHK総合)。人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一(窪田正孝)とその妻・関内音(二階堂ふみ)の物語が紡がれていく。
そんな本作において、ふたりに大きな影響を与えるのが、柴咲コウ演じる世界的オペラ歌手・双浦環だ。連続テレビ小説初出演となる柴咲は、演じるにあたりどんな準備をしているのか。放送を前に話を聞いた。
●芝居のスイッチと歌のスイッチ
ーーNHKドラマの出演は、主演を務めた大河ドラマ『おんな城主 直虎』以来となります。
柴咲コウ(以下、柴咲):『直虎』の撮影時、隣で行われている『ひよっこ』の撮影風景を見て、まったくの別世界だなと感じていました。1週間に1回45分を放送する大河ドラマと、1週間に6回15分を放送(『エール』より週5回)する朝ドラでは、撮影のペース配分も当然違います。実際に撮影に参加してみても、現場のテンポの良さを感じています。
ーー主人公たちに影響を与えるオペラ歌手という役柄ですが、オファーを受けたときいかがでしたか。
柴咲:多くの方が観ている朝ドラに出演させていただけることは率直にうれしかったです。『直虎』のときもそうだったのですが、まったく予期していないタイミングでお話をいただいたので、本当にびっくりしました。ただ、今回は「世界で活躍するオペラ歌手」という役柄だったので、うれしさと同時に「説得力を持って演じられるか」という不安もありました。歌手としての心持ち、空気感のようなものは知っている部分がありましたが、オペラの声の出し方はまったく違います。今は声楽の基礎となるものから学び、練習を積み重ねているところです。
ーー今後の歌手活動にも生かされる?
柴咲:そうですね。まったくの別物というわけではなく、今回の役柄を通して歌手活動にもいい影響が及ぼされるだろうと感じています。
ーー今回は歌と芝居、両方が求められるわけですが、実際に撮影してみていかがですか。
柴咲:練習中に声が出ている! と思っていざ本番に入っても、今度はカメラの前でどう演じるかという“お芝居のスイッチ”が入って、どうしても練習中のような声が出ないことがあります。歌うことと、演じること、両方を成立させることが難しいですね。
ーー柴咲さんが演じる双浦環には、モデルと思われる実在の人物・三浦環さんがいます。演じる上で参考にされた部分は?
柴咲:三浦さんがどんな人生を送ったのか、ガイドラインは確認しましたが、細かく調べるということはしていません。本作に限らず、原作がある作品の場合なども、できるだけ台本以外は読まないようにしていました。脚本家さんが書いた言葉、生み出したキャラクターを私は演じるので、初めて読んだときの気持ちを一番大事にしたいなと。双浦環は多くの人物にさまざまな影響を与えていきます。私自身も演じることを通して、また新しい発見を得ることができるのではと思っています。
ーー『エール』は“音楽”が作品を通して大きなテーマとなっています。柴咲さんにとって、音楽はどんな存在でしょうか。
柴咲:辛いとき、困ったときに、心の支えになってくれる、動き出すきっかけをくれる力が音楽にはあると思います。音は見えないものですが、そんな成分が確実にあるというか。裕一さんと音さんは、環の歌声が人生を変えるきっかけとなります。私自身も音楽を通して人生が変わることを体験してきました。夢と希望に向かって突き進む裕一さんと音さんの姿から、視聴者の方々も勇気を受け取ってもらえるのではないかと思います。
(石井達也)