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井上ひさしの大作『天保十二年のシェイクスピア』が装いも新たによみがえる

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『天保十二年のシェイクスピア』

シェイクスピアの全作(!)を横糸に、江戸末期の人気講談『天保水滸伝』を縦糸にして織り込んだ、井上ひさし作の壮大にして遊び心あふれる戯曲『天保十二年のシェイクスピア』。1974年に初演され、2002年にはいのうえひでのり演出、2005年には蜷川幸雄演出によって再演された伝説的な音楽劇が、蜷川の演出助手を長く務めた藤田俊太郎の演出でよみがえる。

舞台は江戸末期の下総国清滝村。旅籠を取り仕切る鰤の十兵衛(辻萬長)は、跡継ぎを決めるにあたり、3人の娘に父への孝養を問う。父に取り入ろうと、美辞麗句を並び立てる長女・お文(樹里咲穂)と次女・お里(土井ケイト)。一方、三女・お光(唯月ふうか)だけは父を心から愛していたためおべっかの言葉が出ず、父の不興を買って家を追い出されてしまう。月日は流れ、天保12年。跡を継いだお文とお里が支配する清滝村に、醜い容姿と歪んだ心を持つ佐渡の三世次(高橋一生)が現れる。さらにはお文の息子・きじるしの王次(浦井健治)が父の訃報を聞き、無念を晴らすため村に帰ってきて……?

ほかに木場勝己や梅沢昌代ら、豪華キャストが集結。ミュージカルを中心に活動する俳優が多く揃っていること、そして宮川彬良が音楽を手がけることから、過去の上演以上に音楽劇的要素が強まりそうな気配もあるが、果たして……。注目の舞台は、2月8日(土)から29日(土)まで東京・日生劇場で、3月5日(木)から10日(火)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。

文:町田麻子