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IZ*ONE、『BLOOM*IZ』はグループを“福”に導く作品に 新記録達成の理由はメンバーの結束力にも

音楽

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リアルサウンド

 やはりと言うべきか、当然と言うべきか。グローバルアイドルグループ・IZ*ONE(アイズワン)の待望の1stフルアルバム『BLOOM*IZ』がリリースされるやいなや、大きな反響を呼んでいる。

(関連:IZ*ONE、活動再開への期待 メンバーを支える“ファン=WIZ*ONE”の動きも

 発売初日に売れたのは約184,000枚(HANTEOチャート集計)。この数字だけ見るとピンとこないかもしれないが、それまでのK-POPガールズグループの作品で発売後1週目の売り上げトップは、TWICEの『Feel Special』で約154,000枚(同上)だったと言えば驚くに違いない。つまりIZ*ONEはたった1日でこの記録を破ったのだ。

 快進撃はまだまだ続く。『BLOOM*IZ』は発売2日目にデビューミニアルバム『COLOR*IZ』の総販売量を抜いてしまう。本稿を執筆している2月22日時点では前作『HEART*IZ』の総販売量を抜いていないが、それも時間の問題だろう。

 配信も好調だ。韓国の主要音楽サイトのチャートではリードトラックの「FIESTA」が1位もしくは2位にランクインしている。海外の反応も良く、iTunesのアルバムチャートでは日本をはじめアメリカや香港など多くの国と地域で1位を獲得した。

 これほどまでにヒットしたのは、約3カ月の活動休止でWIZ*ONE(IZ*ONEのファンの総称)の渇望感が最高潮に達したからこそ。それを否定する人はいないはずだ。だがしかし、ようやく届けられた新作を聴いてみると収録曲のクオリティの高さもかなり貢献したのではないかと思えてくる。

 アルバムタイトルの“BLOOM*IZ”は、PR用の資料によると“花を咲かせる”という意味を持つ“BLOOM”とIZ*ONEの合成語で、美しさの絶頂にいる彼女たちが満開になっていく様子を表現したという。中でも「FIESTA」は満開という言葉が最も似合う華やかな楽曲であり、リードトラックにしたのも当然だろう。

 ヒット曲「La Vie en Rose」と「Violeta」での優雅で上品なイメージを残しつつも、切なさと疾走感を加えた「FIESTA」は、“これが私たちのカラーなのだ”という確固たる自信が感じられて頼もしい限りだ。リリース前に一部を聴いたときはグループとしての一体感をアピールしていると思ったものの、フルサイズで聴いてみると各メンバーのカラーもしっかり出ていることに気付く。

 特に今回はキム・チェウォンと本田仁美のアーティストとしての成長ぶりが目立つ。チェウォンが“時が来た 長く待った時間は終わり”と短いフレーズを歌っただけで、リスナーは幻想的な世界に誘い込まれる。もともと歌唱力が高かったが、よりキュートかつ表情豊かになったように思う。

 本田は可愛らしさよりも妖艶さが印象に残るパフォーマンスを披露。目力(めぢから)も以前よりもだいぶ強くなっている。デビュー後に(良い意味で)いちばん変わったのは彼女ではないだろうか。組織票のないクリーンなファン投票で知られるサイト「ベストアイドル」でトップになるなどIZ*ONEのメンバーの中でも1、2を争う人気者だが、「FIESTA」の活動でさらにファンを増やしそうだ。

 デビューヒット「La Vie en Rose」はムーンバートンというジャンルに入る曲で、ここで試みた音作りは以降もグループにとって欠かせないものとなっている。それは『BLOOM*IZ』でもムーンバートンをベースにした作品がいくつかあることからもわかるだろう。

 だからと言って安易に同じ手法を繰り返したわけではない。ダンスホールレゲエのテイストを加えた「DREAMLIKE」、初の単独公演『EYES ON ME』では6人のメンバーで歌った「AYAYAYA」をアルバムでは9人のバージョンで収めるなど、どちらも基本はムーンバートンだが聴き手を飽きさせない工夫をしている。

 メンバーが楽曲制作に関わったナンバーも注目に値するものばかりだ。「SPACESHIP」はクォン・ウンビが作詞・作曲に参加。“ひとつの夢を描いた時間は光になるの”と明るく歌うキラキラしたダンスポップでライブでも盛り上がること間違いなしだろう。キム・ミンジュが作詞に加わった「YOU & I」はアコースティックギターによるしっとりとしたバラード。初の単独公演で感じたことを歌詞に込めたそうだ。そしてチョ・ユリが曲作りに参加したバラード「いつか私たちの夜も過ぎていくでしょう(Our Night Will Pass Someday)」のロマンチックな音像はグループの新たな一面を見せてくれる。

 ラストの「OPEN YOUR EYES」も要チェックである。複数のソングライターが曲を書いているが、そのうちの一人、Black Editionはヒップホップ系の男性アーティスト・MCモンの変名だ。クールとコミカルを足して2で割ったようなサウンドメイクは彼ならでは。クセのあるこの曲でアルバムを締めくくることにより、音楽的にもしっかり成長している姿を示したかったとみるのは深読みしすぎだろうか。

「『BLOOM*IZ』という作品には12曲が収められているんですけども、その12曲がファンのみなさんに届くっていうのが言葉にできないぐらい嬉しくて……」

 先日放送されたラジオ番組『今夜、咲良の木の下で』(bayfm)でこのように語っていたのはメンバーの宮脇咲良だ。カムバックステージのパフォーマンスでもその喜びは十分に伝わってきた。アルバムのクオリティの高さを、活動休止を経て強くなったメンバーの結束力でさらに引き上げたというべきか、当初の予定通りに昨年11月に発売したとしても、今ほどの評価と売り上げにはならなかったかもしれない。

 災い転じて福となす。そんなことわざを地で行くような展開であった。『BLOOM*IZ』は前代未聞の騒動に巻き込まれたグループを“福”へ導いた作品として、WIZ*ONEのみならず、多くのリスナーに長く愛されることだろう。(まつもとたくお)