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『パラサイト』舞台挨拶に草なぎ剛が登壇 ポン・ジュノ&ソン・ガンホに韓国語でラブコール

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リアルサウンド

 2月24日に都内で『パラサイト 半地下の家族』の舞台挨拶が行われ、ポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホに加え、サプライズでポン・ジュノ監督の大ファンであるチョナン・カン(草なぎ剛)が登壇した。

参考:【ほか撮り下ろし写真多数】ポン・ジュノ監督と抱き合う草なぎ剛

『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホが来日! 日本の観客へのメッセージも
 本作は、半地下に暮らす家族と富裕層の社会的格差を描いたブラックコメディ。第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門受賞を果たし、外国語映画で史上初めて作品賞を受賞した。日本でも爆発的ヒットとなっていたが、オスカー獲得でその勢いは増すばかり。

 大きな拍手に包まれ登場したポン・ジュノ監督とソン・ガンホ。ポン・ジュノ監督は、「アカデミー賞の受賞に関連して、お祝いをたくさんいただきましたが、日本のファンの方がオスカー獲得よりも前から劇場に足を運んでくださり、熱いエールを送ってくださっていたことをとても嬉しく思っています」と挨拶した。2人は作品についてや、アカデミー賞受賞に関して丁寧に質問に答える。時折冗談を交えながら和気あいあいとトークを続け、くす玉を割るなどお祝いムード一色で舞台挨拶は進行。すると、突然そこに花束を持った草なぎが登場する。

 登場するやいなや、流暢な韓国語でポン・ジュノ監督とソン・ガンホに愛を語る草なぎ。「ポン・ジュノ監督とソン・ガンホさんの熱烈なファンです。ソン・ガンホさんは一番尊敬する俳優さんです。演技を見ながら、自分が芝居をするときの参考にしています」と話し、満面の笑み。草なぎは、実は2人と対面するのは今回が初めてだという。司会者から、「チョナン・カン(草なぎ剛)さんをご存知ですか?」と聞かれたソン・ガンホは、「ずっと、僕のファンでいてくれていると聞いています。会いたいと思っていました。今日はついにお会いできたので、本当に記念すべき日ですね」と草なぎからの愛に応える。

 一方、ポン・ジュノ監督は「様々な活動をしているので存じ上げていました。ソウルで『ぼくに炎の戦車を~Bring me my chariot of fire~』の公演をしていたことがありますよね。その時に香川照之さんと舞台に立たれていたので、僕も公演を観に行きました」と草なぎの芝居を鑑賞したことがあることを告白。草なぎはしきりに感動していた。さらに、『パラサイト 半地下の家族』の感想については、「退屈する時間がひと時もなかった! 観終わった後に、他の人と話したくなる作品ですよね。しっかりと家族愛も描かれていて、また観たくなりました」と語る。さらに韓国語で「『無計画が最高の計画だ』というセリフが劇中で出てきますが、そのシーンが特に好きなシーンでした。計画を立てなければ失敗することがないという。基本的に僕もノープランなので、心に響くものがありました」と続け、笑いを誘った。

 さらに、草なぎの“パラサイト愛”はとどまるところを知らない。「ポン・ジュノ監督とソン・ガンホさんのタッグは『殺人の追憶』(2003年)とかも好きなのですが、鬼気迫った部分でもブラックユーモアが効いていて、いいですよね。こんな大変な時でも、人って違うこと考えたりするのかなとか、そういった心理描写がリアルだなと感じます。今回の『パラサイト 半地下の家族』も、人間の持っている喜怒哀楽が様々な場所に散りばめられていて好きな作品です。だからもう……全部好きです!」と力強く語った。

 その一方で、作品の中の小道具について「ソン・ガンホさんが被っていたインディアンの被り物がすごく好きなのですが、赤色をしていたじゃないですか。でも、パク社長のものは黒色で。ソン・ガンホさんには赤がとてもよく似合っていましたし、シーン的にも赤が意味を持っていたように感じます。何か重要な意味があったのですか?」とポン・ジュノ監督に質問する。

 するとポン・ジュノ監督は、「今草なぎさんにそう言われて、なんとなくそんな意味もあったのかなという気がしてきました。この後、もしインタビューを受ける機会があったら、今の話を引用してもいいですか」と笑いながら答える。さらに、ソン・ガンホは「私が被ったのは赤でしたが、赤の方が確かに原始的ですよね。そして先住民のイメージがあったと思います。パク社長のものは黒でしたが、黒の方が侵略者を意味していたような気もします。ですが、実は今草なぎさんが話してくださったことは、監督も私も全く考えていなかったことです。草なぎさんに言っていただいて、本当にそうだなと納得しました」と小道具の意味について解説しつつ、想定外の質問だったことを明かした。ポン・ジュノ監督もソン・ガンホも、草なぎの視点に感心し、ポン・ジュノ監督は“今後のインタビューで使う”としきりに口にしていた。

 フォトセッションを終えて、舞台挨拶は終了。草なぎの熱い思いがファンの気持ちを代弁し、より豊かな映画体験となる舞台挨拶であった。 (取材・文・写真=Nana Numoto)