マルモイ ことばあつめ
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笑い顔良し、泣き顔良し。お人よしも小悪党も自由自在に演じてきた名優ユ・ヘジン。『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』『1987、ある闘いの真実』『黒く濁る村』『王の男』などなど、彼が演じる市井の男に出会うたび、一寸の虫にも五分の魂、ということわざが頭に浮かぶ。
『タクシー運転手…』の脚本を手掛けたオム・ユナの初監督作『マルモイ ことばあつめ』でも然り。日本統治時代、民族の言葉を守るべく危険を冒した人々の物語。事典づくりに挑む知識階級たちを助けるのが、ユが演じる非識字者のパンスだ。卑小さと崇高さを併せ持つそのキャラクターは、笑いと涙の力をもって観客を近現代史の中にぐいと引き込む。優れた役者は、あらゆる境目を越えて人の心を動かすダイナモなのだ。