“良質映画”の代名詞のようなシアーシャ・ローナンと、主役を張るのは久々のケイト・ウィンスレット。ふたりが初共演にして恋人同士を演じるとなれば、興味を引かれずにはいられない。
19世紀半ば、英国の海沿いの町を舞台にした本作は、どこか『燃ゆる女の肖像』を彷彿させる。荒々しい海、孤独な主人公、新しい出会いがもたらす情熱と希望。
だがこの映画の舞台はもっと閉鎖的だ。ケイト扮する古生物学者は、13歳で貴重な化石を発掘したにも関わらず、学会から無視され、いまは極貧に喘いでいる。そこに夫の命で身を寄せることになったのが、流産を経験した若き妻。対照的で反発し合うふたりは、いつしか惹かれ合うようになる。
たまたま恋に落ちた相手が同性だった、と同時に、封建的な社会で女同士ゆえに結ばれた特別な絆。その繊細なブレンドを、情感豊かに演じる女優たちが魅せる。