1980年代、『プラトーン』や『ランボー』のヒットでベトナム戦争やベトナム帰還兵を描いた作品が数多く作られた。本作も、そんな中の一本と記憶していて、レンタルビデオ店に貼られたポスターにも「『プラトーン』を超えるベトナム戦争映画」みたいなコピーがあった気がする。
その時期にレンタルビデオで観ているのだが、当時小学生だった身からすると、知っている俳優はいないし、展開は乏しいしで、“地味な映画”という印象だった。
今回のリバイバル上映に合わせて久しぶりに観たのだが……これがとんでもない名作だった。
ともかく、戦場の迫力が生々しい。容赦なく、無惨に若き兵たちが死んでいく。何の目的の作戦かもよく知らないまま、密林を歩き、丘を登り、そして撃たれる。ひとつひとつの死が、あまりに痛切に描かれる。
配役の地味さも、展開の少なさも、その生々しさを伝える上で見事に効果を出していたのだ。
声高にメッセージを訴える作品ではない。ひたすら戦場の地獄が映し出される。今の自分には、その方が好みだ。