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日本で上映されるアジア映画はおまかせ

紀平 重成

コラムニスト(元毎日新聞記者)

海辺の彼女たち

在日ミャンマー人の移民問題を扱った『僕の帰る場所』の藤元明緒監督による「出稼ぎ外国人労働者シリーズ」第2弾。監督がネットで知り合った技能実習生の女性が過酷な労働の末、行方不明となったことに着想を得て、彼女と同じ境遇にある女性たちを取材しオリジナルの脚本を書き上げました。 技能実習生として来日した3人のベトナム人女性は搾取されていた職場から脱走しブローカーの手を借りて雪深い港町にたどり着きます。どうにか稼ぎ口を手に入れ故郷にいる家族のために懸命に働きますが、パスポートや在留カードを前の職場に置いたままなので不法滞在で摘発されることを恐れ病院にも行けません。そんな折り体調を崩したフォンが妊娠していることが分かります。がんじがらめになった彼女の覚悟と生き様が胸に迫ります。日本の社会が避けて通ってきた感のある「移民問題」ですが、藤元監督は自身のライフワークと位置付けています。 この作品からは三つの「越境」が浮かび上がります。一つはフィクションなのにまるでドキュメンタリーのように見える生々しい映像の現実化。二つ目は豊かさを求めてアジア各国から「移民」してくる地域構造の固定化。三つめはテーマの国際性や普遍性を認め作品のセールス・宣伝のパートナーに名を連ねた香港のエイジアンシャドウズの参加があげられます。ロウ・イエ、ワン・ビン両監督などの作品を手掛ける会社と聞けば、サンセバスチャン国際映画祭・新人監督部門に選出という実績もうなづけます。

21/4/18(日)

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