このコーナーを担当してとても嬉しいことの一つが、「見知らぬ国」の映画に出会えることだ。
そこに映し出される風景、街並み、住宅、服装、風習……その全てがとても興味深く、それらを観ているだけでも楽しい。
本作もそうだ。なにせマケドニア映画。アレクサンドロス大王くらいしかイメージの湧かない国なだけに、何もかもが新鮮に思えた。
そして、それは作品の重要なエッセンスでもある。
司祭が川に投げ入れた「幸せの十字架」を裸の男たちが争う女性禁止の祭に乱入し、それを拾ったヒロインの巻き起こす騒動が描かれる。
寒々しく荒涼としたマケドニアの景色がヒロインを取り巻く過酷な状況にマッチ、その理不尽さを際立たせていた。