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夏目 深雪
著述・編集業
ベルリン・アレクサンダープラッツ
『ベルリン・アレクサンダープラッツ』(5/20、23)ユーロライブ「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」(5/20〜23)で上映。MIRAIL(ミレール)、Amazon Prime Video、U-NEXTにてオンライン上映(5/20〜)。 ドイツ文学の金字塔でありファスビンダーによる長編ドラマでも有名な『ベルリン・アレクサンダー広場』を、『ロストックの長い夜』のブルハン・クルバニが映画化。ドイツで起こった難民襲撃事件を難民側、襲撃側と二つの視点から息詰まる惨劇を描いた『ロストックの長い夜』や、アフガニスタン人難民の息子としてドイツで生まれたクルバニ監督の出自を考えると、舞台を現代のドイツに、主人公をアフリカから来た難民に改変するという斬新さは納得できる。 麻薬や売春といったダークなテーマだが、政治的かつ“現実を撃つ”ものとなり得ているストーリーと、色彩やカメラワークの鮮烈さ、美しさが相俟って胸を抉る、奇跡のような傑作となっている。
21/5/5(水)